強行採決が迫る?!
高度プロフェッショナル制度(高プロ)を含む法案が、どうやら再来週にも強行採決されそうな状況になってきました。
現在、非常にまずい状況です。
政府・与党は、当初は5月18日に衆院の厚労委での採決を狙ったようですが、さすがにこれはできず、再来週(予想では23日)にずれたようです。
しかし、私が何度も指摘してきたとおり、高度プロフェッショナル制度は非常に危険な制度です。
このような労働者の命を危険にさらす法案を、「働き方改革」などと称して通すべきではありません。
私は、少し前に以下の記事を書きました。
・高プロ制度は地獄の入り口 ~ High-pro systm is the gate to hell~
この記事で指摘した、24時間働かせることも可能という点について、国会でも質問があったようで、加藤厚労大臣が次のように答弁したと報じられています。
そんな「要件」はない
さて?
一体、何のことを言っているのでしょうか?
そのような「要件」は法案には存在しません。
ですので、私は素直にこの報道に驚きました。
もし朝日新聞が報道した通りの答弁であれば、これは明らかな虚偽答弁です。ウソの答弁です。
そもそも、高プロ制度は、「労働者が自ら働く時間帯を決める制度」でさえありません。
法案にはそのような規定はありません。
高プロ制度は、労働基準法にある労働時間規制を適用しない制度です。
つまり、1日8時間とか、週40時間とか、6時間に45分・8時間で1時間の休憩とか、もちろん残業代(割増賃金)とか、そういった労働時間に関する規制を、全て外す制度なのです。
加藤大臣が言うような、労働者が働く時間帯を決めるなどとは、どこにも書いてありません。
裁量労働制よりも危険な制度
そもそも、高プロは、裁量労働制よりも、労働者にとって危険な制度です。
裁量労働制であれば、「みなし時間」があるので、早く帰っても、みなした時間働いたとされるのですが、高プロは、「みなし時間」という概念がありません。
したがって、使用者が労働者が働くべき労働時間を設定することが可能です。
そして、その労働時間の設定において、労基法の労働時間に関する規制が及ばないのですから、1日8時間を超える労働時間を設定することも可能ということになります。
もちろん、休憩なしの労働時間の設定も余裕でOKとなります。
したがって、前の記事でも書きましたが、極端な話、24時間を労働時間として設定することも可能なのです。
そして、裁量労働制の場合、業務の遂行方法に裁量がないといけないという建前がありますが、高プロはその建前さえありません。
労働者に裁量がなくてもいいのです。
加藤大臣の不誠実な答弁
もともと、加藤大臣の答弁はひどいという話がありました(そのひどい答弁は、ごはん論法と言われています)。
当然ですが、加藤大臣は、厚労省の責任者ですから、この高プロの仕組みを理解していないはずがありません。
ということは、加藤大臣が述べた「要件」が法案には存在しないことを知っているのです。
にもかかわらず、そのような「要件」があるという答弁をすることは、端的に言えば、それはウソつきです。
いくらなんでも、ウソはよくないでしょう。
野党議員には、このウソをぜひ追及してもらいたいと思いますし、こんな答弁をしているようでは、まじめな議論が成立しません。
高プロは、労働者にとって非常に危険な制度です。
まずは、法案からこの制度を外して、「働き方改革」の名にふさわしい実のある議論をすることを望みます。