困っている人がいる。と、そこへちょうど通りかかった誰かが、その人が困っているのを見て、助けの手を差し伸べる。
とてもシンプルなことなのだが、実際には、案外難しいことなのかもしれない。
ニューヨークに住むデニス・ウィルソンさんは、帰宅途中の地下鉄の中で偶然そのような場面に遭遇した。人間が人間を助ける姿に感動したウィルソンさんによるフェイスブックの投稿が話題となっている。
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地下鉄内で分数の個人授業
こちらがウィルソンさんによる投稿だ。赤い服の男性は、3年生の息子に教えるために、昔習った算数の知識を思い出そうと苦戦していた。と、その隣に座った男性が、「自分は数学の教師だったのだが…」と赤い服の男性に個人教授をしてくれたのである。
今日、帰宅途中で、向かいの席の赤い服の男性がフォルダーを開いて何か読み始めたの。
何駅か過ぎたところで、その隣の男性が、「何を勉強しているんだい、ちょっと苦戦してるようだけど、僕が力になれるんじゃないかな」って聞いたのね。
赤い服の人は、「息子が算数の試験に失敗しちゃってね。分数の所なんだけど、自分が教えてやれないかと思ってさ。だけど自分はもう42歳で全部忘れちゃってるから、こうして復習してるのさ」って答えた。
そうしたら、黒い服の人は、自分はずっと数学の教師をしていたというのよ。それで、わからないところを教えてくれ、ってことになって、間違ったところや混乱していたところを全部解説して正してくれたのね。
私が降りる駅に着くまでに、赤い服の人は分数をずっとよく理解して、家へ帰って子どもに教えることができるようになってた。
こんな場面を見られたことがとても嬉しいの、特にニューヨークでは。
だって、みんな隣にいる人が何に困っているかなんて気にもかけないじゃない。
分数以外に教わったこと
ウィルソンさんの投稿はネット上で話題になり、CBSのニュースでも取り上げられた。
Photo Of Good Samaritan Straphanger Helping Man With Math Goes Viral
CBSは「赤い服の男性」、コリィ・シモンズさんを捜し出し、インタビューしている。それに答える中で、シモンズさんは、隣にいる息子にこう語っている。
image credit: YouTube
失敗したってことは問題じゃない。失敗したその後で何をするかが大切なんだ。
時には、他人の助けが必要なこともある。(その時に)舌を噛み切りたいなんて思わなくていいんだ。助けを求めることを躊躇わなくていいんだよ。
そして最新の情報では、シモンズさんの息子は無事に算数のテストに合格したとのことだ。
シモンズさんの息子はテストの後こう語った。
試験の前の晩には、僕はもう全部分かってたよ。テストはとても簡単だった。最初に『どうして前回は失敗したんだろう?』って思ったくらいさ!
References: CBS New York / Faith Pot など / written by K.Y.K. / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
やさしいせかい
2. 匿名処理班
アメリカ人ってすげー話しかけるイメージあるけど、流石にニューヨークとかだと珍しいんだね
隣の人がなにに困ってるか気にも留めないってアメリカでもあるもんなんだな
3. 匿名処理班
ええ話や(涙をぬぐう)
4. 匿名処理班
ピリオドないと読みづらいな
5. 匿名処理班
世界をほんの少し良い場所にして去ること
(エマーソン)
それが人間に出来るせめてもの行いじゃないかと思う
6. 匿名処理班
子供の為に勉強する父親
それを教えてあげる元教師
全てが良い。心が温まる。
7. 匿名処理班
>失敗したってことは問題じゃない。失敗したその後で何をするかが大切なんだ。
これ。失敗が続いても最後に成功すればいいんだよ。
逆に言うと、失敗を許容できないときはそれ以前のところに問題がある。
仕事でも失敗を上手くリカバーできるとそっちの方で評価が上がることもある。
8.
9.
10. 匿名処理班
いい話だ、うれしくなる
11. 匿名処理班
いいね、こう言うことが連鎖してくれると嬉しい。
12. 匿名処理班
先日の、飛行機で子守をしてくれた男性の話といい、こんなふうにスマートに人に手を差し伸べられる人間になりたいなあと思うのだけど、声をかけたものの自分の手に負えなかったら恥ずかしいなとか、余計なお世話なんじゃないかとか、色々考えちゃって難しい…
ところで内容とは関係ないけど、投稿した人の英語がコンマもピリオドもなくて読み辛い
日本人でもたまに句読点なしでダラダラ書き連ねる人いるけど、今のアメリカの「生きた英語」ってこうなの?
13. 匿名処理班
ネット上でボール遊びの教え方をレクチャーした人がいたのを思い出した
こういうのはもっと増えていい
14. 匿名処理班
私にも教えて欲しい
分数はまだ大丈夫だけど二次方程式あたりからすっかり忘れてるんだ…
15. 匿名処理班
ほっこりするわー
16. 匿名処理班
手助けはしたいけど、不快に思われるんじゃないかとか色々考えてしまう
学校の先生だからそういう気持ちもクリアしていたのかなぁ
いい顔の先生だ
17.
18. 匿名処理班
なんか、映画「ペイ・フォワード」のリアル版という内容の記事だった。
ちなみに、この映画はあるフリーの記者が、外出中に突発的に遭遇した事件を取材中に、乗っていた車が事件に巻き込まれ大破したところ、たまたまそこを通りがかった見ず知らずの男性から彼の車を無条件で譲られ、そこから、西海岸の片隅で一人の少年が始めた「恩送り(自分のトラブルが他人の親切で解決した場合は、自分が他人のトラブルを解決することで次に送るというもの)」にたどり着く。こういう内容だけど。
ちなみに、記者に車を譲った男性は、彼の娘が喘息の発作を起こして救急病院に運ばれたが、なかなか順番が来ずに娘の容態が悪化したところ、その前の順番の黒人男性が順番を譲ってくれたことが、きっかけで記者に車を譲ったのだった。
で、その先を記者がたどっていくと、主人公の少年に行き着いたというお話。
願わくば、今回の記事の少年が自分が受けた親切を、次の人に渡していくように祈ろうか。
あるいは、電車に乗っていた元数学の先生も、誰かから受けた親切を次に送ろうとしたのかもね。
19. 匿名処理班
知識を持ってるだけでは無く、それを分け与えることができる
知識は財産だから、それを人に分け与えられることの出来る人は本当に素晴らしいよ
20.
21. 匿名処理班
ちょっと乗ってくる
22. 匿名処理班
白人が黒人に対して救いの手を差し伸べているのはとてもレアケースな気がする
こういうんが広がるとええな
23. 匿名処理班
暖かくなったぜ…私もいつか他人の心に小さなともしびを灯せる一人になりたい。
24. 匿名処理班
教え方がうまいと、相手は一気に理解するよね。
教科書読んでるだけの日本では、学校でも塾でも家庭教師でも、子供の頭のでき任せになってるけど。
25. 匿名処理班
白人と黒人の格差って実際のところ
どのくらいなんだろう
アメリカ🇺🇸で警官に射殺されるのは
黒人男性が半分以上を占めているとか
黒人には家族や親戚や友人知人の中に
ムショに入っている人が1人はいるとか
そんな事聞くけど
26. 匿名処理班
誰かが人生でつまずいたら手を差し伸べる思いやりがほしい
27. 匿名処理班
人に知識を分け与えることが好きなんだろうな。教職は天職なんだろう。
28. 匿名処理班
良い話だ、ちょうど大きい失敗して落ち込んでたんだけどこの親父の言葉に胸打たれたよ
29.