【平安名純代・米国特約記者】米海兵隊機関紙マリンコー・タイムズは10日、昨年8月にオーストラリア東部の沖合で米軍普天間飛行場所属のMV22オスプレイ1機が墜落し、乗員3人が死亡した事故原因について、エンジンの排気熱によるダウンウォッシュ(下方への風圧)を受け、操縦不能となっていた可能性が高いと報じた。識者は、オスプレイの操縦の複雑さが事故につながった要因と指摘した。
同紙は、墜落時の状況を検証した事故調査委員会メンバーの証言として、墜落機は揚陸艦への着艦を試みた際に発生したダウンウォッシュがローターに流れ込んだため出力を失い、操縦士が体勢を立て直せないまま揚陸艦に接触した後、海中に墜落したなどと報じた。
また、緊急時の脱出訓練を徹底していれば、死亡した3人は助かっていた可能性があるなどとの事故調査委の証言も伝えた。
米国防分析研究所(IDA)元主任分析官でオスプレイの専門家レックス・リボロ氏は、本紙の取材に対し「オスプレイは、着陸時に他機種の約2倍に相当する吹き下ろし気流が発生し、周囲のものを吹き飛ばしたり着陸を困難にする。他機種より複雑な操縦技術を要するため、小さな操縦ミスが大事故につながる」と指摘した。
墜落機は、米豪の合同軍事演習「タリスマン・セーバー」に参加していた。