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【政治】

「18歳成人」若者保護策は 親同意なく契約可能 消費者被害拡大懸念

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 成人年齢を十八歳に引き下げる民法改正案が十一日、衆院法務委員会で実質審議入りした。政府は二〇二二年四月の施行を目指す。成立すれば、一八七六年に二十歳と定められてから初の引き下げとなる。この日の審議では、悪質契約からの若者層保護に議論が集中した。今後は飲酒、喫煙などで維持される「二十歳」との二重基準による混乱回避策なども議論となる。 (大杉はるか)

 上川陽子法相は、引き下げの意義を「十八、十九歳を経済取引で大人と扱う。自覚を高めて積極的に活躍いただき、社会に活力をもたらす」と説明した。

 引き下げられれば、十八、十九歳も親の同意なくローンや売買契約が可能になる。与野党議員のほとんどが、社会経験の乏しい若者層を狙った悪質契約による消費者被害拡大の懸念を指摘。政府は対応策として、不安や恋愛感情を利用した契約の取り消しを可能とする消費者契約法改正案を提出し、同日の衆院本会議で審議入りした。

 成人式のタイミングも議論になった。これまで多くの自治体が開催してきたのは一月第二月曜日の「成人の日」前後だが、十八歳に引き下げられれば、受験期と重なる。

 離婚後の養育費支払期限も取り上げられた。最高裁家庭局長は「養育費支払いは、子が未成熟で自立が期待できない場合に判断される」と、成人になったことは支払い打ち切りの理由にならないことを説明した。

 一方、「二十歳」が維持された規定もある。飲酒、喫煙、ギャンブルや猟銃所持は、現行通り二十歳未満禁止。国民年金保険料の支払いも現行通り二十歳からになる。小児慢性特定疾病の医療費助成、児童養護施設など保護施設入所や自立支援も、必要なら二十歳になるまで受けられる。混乱防止のための周知方法が必要になる。

◆宮本みち子・放送大名誉教授 生活築くまでの支援必要

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 成人年齢の18歳への引き下げが適当と判断した法制審議会で委員を務めた宮本みち子・放送大名誉教授(社会学)=写真=に、意義や今後の課題などを聞いた。

 先進国では早くから、若者の社会への参画政策を進めてきた。若者が発言できる機会が極めて少ない日本にとって、成人年齢を引き下げることを若者の参画推進の転機とするべきだ。高校教育が義務教育に近い現状では、十八歳で進路が分かれることが多い。十八歳は、選挙権など社会の一員としての資格を与える良い時期だ。

 ただ、成人としての責任を与えるのと暮らしの保障がセットでなければならない。安定した生活基盤を築くまでの支援は必要だ。児童福祉法の対象は十八歳までに限られる。児童養護施設なども実態に合わせて対応しつつあるが、法的保障はなく、不安定だ。若者の実態に合わせた保護の手を緩めてはならない。 (聞き手・柚木まり)

 

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