hirosaki12_今回は番外編として、ニッカのシングルアップルブランデー弘前 フルーティ&スイート12年を飲んでみます。

ニッカは大日本果汁として創業後、余市のリンゴを使った100%ジュースを販売していました。
しかし、ペクチン分を取り除いた黄金色のリンゴジュースを見慣れた人には、白濁したままのジュースに違和感を感じ、当時の流通上のハンデも大きくて価格も高価であったことから、思うほどの売り上げにはなりませんでした。
そこで創業者、竹鶴正孝の妻リタがアイデアを出し、リンゴジュースを加工してジャム、ワイン、シードル、ソース、ケチャップを開発、販売していきました。
そのアップルワインを蒸留して作られたのがニッカブランデーです。

その後、アップルワインやブランデーの生産は余市から、同じくリンゴの産地である青森県の弘前市に移され、現在もアップルワイン、ニッカブランデー、シードルを製造しています。

私が中学生のころに、修学旅行でこの弘前工場を見学したことがありましたが、現在は見学ができません。

さて、蒸留所限定で販売されているのが、今回紹介するシングルアップルブランデー弘前 フルーティ&スイート12年です。

それではストレートで飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は濃厚な褐色、香りはアルコールの刺激の奥にリンゴの香りを感じ取れます。

口に含むと、グラスから感じられたアルコールの刺激は意外に少なく、その後にリンゴを主体としてライム、ウエハース、バニラ、ウッディの香りがやってきます。
味わいは、多少のえぐみがあるものの、奥から甘さをしっかり感じ取れます。

軽く加水すると、ライムのさわやかさがさらに立ち上がり、リンゴというより青りんごっぽいさわやかさを想起させます。
味わいも酸味が前に出てくるようになり、えぐみが抑えられます。そして最後に甘みが訪れます。

最後に炭酸水で割ってみると、リンゴの香りがしっかり広がる濃厚なシードルのようになります。
味わいも酸味は少なめで、甘さを感じ取れます。

以前にニッカブランデーVSOPも飲みましたが、それに比べると樽での熟成が進んで甘さや酸味が濃厚になった印象に思えます。

500mL、アルコール度数40度で、価格は6500円ほど。
ウイスキーはきつくて飲みにくいという方や、カルヴァドスなどのアップルブランデーがお好きな方にはお勧めできるでしょう。

<個人的評価>

  • 香り B: アルコールの刺激が先に来るが、後からリンゴの香りが訪れる。あとからライム、バニラ、ウッディ。
  • 味わい A: ストレートではえぐみが感じられるが、あとからフルーツの酸味、そして甘さが追いかける。
  • 総評 A: レギュラーのニッカブランデーよりも濃厚で香りが広がる。