食品ロス推計646万トン 15年度外食など事業系増える
2018年04月18日
農水省と環境省は17日、食べられるにもかかわらず捨てられている「食品ロス」が2015年度で646万トンに上るとの推計値を発表した。飢餓に苦しむ人に向けた世界の食糧援助量をはるかに上回る量だ。推計値を公表し始めた12年度以降で最も多く、14年度に比べて25万トン増えた。農水省は「外食産業の市場規模が拡大し、それに伴ってロスも増えている。外食での食べ残しなどの対策が重要になっている」と分析する。
646万トンのうち、外食産業や食品製造業など事業系の食品ロスは推計357万トンと55%を占めた。残り45%は家庭系。事業系の食品ロス量は、14年度に比べて推計18万トン増えた。内訳は、食品製造業が39%、外食産業37%、食品小売業19%、食品卸売業5%だった。
同省は、食品製造業での食品ロス対策は一定の成果を上げているとしており、今後は“川下”である外食産業やスーパーなど小売店で食品ロスを減らすことが課題となる。外食店では食べ切りを促すとともに、食べ残した料理は自己責任で持ち帰ってもらうなどの対策を広げていく考え。小売店では手前から商品を取る、見切り品を買うなどを消費者に推奨する。
農水省は「消費者を巻き込んで、いかに対策に取り組むことができるか。それが食品ロスを減らす鍵になる」とみる。
同日は、食品ロス削減に向けた新たな啓発資材も発表した。
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食品ロス646万トン もったいない どう共有?
646万トンのうち、外食産業や食品製造業など事業系の食品ロスは推計357万トンと55%を占めた。残り45%は家庭系。事業系の食品ロス量は、14年度に比べて推計18万トン増えた。内訳は、食品製造業が39%、外食産業37%、食品小売業19%、食品卸売業5%だった。
同省は、食品製造業での食品ロス対策は一定の成果を上げているとしており、今後は“川下”である外食産業やスーパーなど小売店で食品ロスを減らすことが課題となる。外食店では食べ切りを促すとともに、食べ残した料理は自己責任で持ち帰ってもらうなどの対策を広げていく考え。小売店では手前から商品を取る、見切り品を買うなどを消費者に推奨する。
農水省は「消費者を巻き込んで、いかに対策に取り組むことができるか。それが食品ロスを減らす鍵になる」とみる。
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リンゴジュース輸出好調 5年で定着 生果とセットで提案 青森・JAアオレン
青森県JAアオレンのリンゴジュースの輸出が好調だ。2017年度の輸出量は332トンと、5年前に比べて5倍近くに増えた。台湾や香港などにリンゴとセットで提案し、周年で味わえる利点をアピールして需要を掘り起こした。添加剤を使っておらず、安全・安心を求める声にも応えている。今後も350トン前後の輸出規模を維持し、海外での県産リンゴのファン獲得に一役買いたい考えだ。
JAアオレンは、加工用の県産リンゴを仕入れ、果汁商品の製造、販売を手掛けている。輸出は、さまざまな品種の果汁を使ったジュース「希望の雫(しずく)」が主力。1リットル瓶(希望小売価格は500円前後)と280ミリリットル入りペットボトル(同150円前後)の2種類を、台湾、香港を中心に売り込んでいる。
輸出は09年度から始めた。リンゴを輸出している地域をターゲットに、生果を出荷できない夏場にも味わえる商材として提案すれば、商機があると分析。商談会などの機会を通じて現地の商社に販路を開拓。定期的に試飲イベントも開いて需要を掘り起こし、輸出を増やしてきた。
商品の売りは、酸化防止剤などの添加剤を使用していないストレート果汁だ。台湾や香港などでは中国産のリンゴジュースと競合するが、その多くが添加剤を使用しており、国産ジュースとの差別化ができると判断。国産の現地での店頭価格は、国内の2倍程度と中国産と比較しても割高だが、高所得者層を中心に売れ行きは好調だという。
JAアオレンはベトナムなど新たな販路の開拓も視野に、今後もジュースの輸出提案に力を入れる方針。営業部の神貢部長は「ジュースを通じて、海外に国産リンゴの需要を増やしたい。農家の所得向上にも結び付く」と強調する。
2018年05月11日
硫黄山噴火 被災農家の支援急ぐ 農相 作物転換や水源確保
斎藤健農相は8日、宮崎県の霧島連山・えびの高原(硫黄山)の噴火の影響で、今期の水稲作付けを断念した農家に対して、支援策の検討を急ぐ考えを示した。大豆など作物転換への支援など緊急対策に加え、代替水源の確保に向けた中長期的な対策を検討する。
2018年05月09日
中小企業等経営強化法 農林業者の活用増 17年度末前年比12倍、1247件
農機などの設備投資を支援する「中小企業等経営強化法」を活用する農林業者が増えてきた。2017年度末現在で、認定された件数は1247件に上り、前年度の12倍に増えた。固定資産税を3年間半減するなど手厚い支援に加え、手続きが比較的簡単なこともあり、農水省は活用を呼び掛けている。
2018年05月05日
シソ香り成分に腸炎緩和の効果 東京理科大など発見
東京理科大学と東京大学の研究グループは、シソの香り成分に腸炎を緩和させる効果があることを発見した。腸炎のマウスに食べさせたところ成長が改善。人での換算では成人で1日2、3枚の葉を食べると効果があるという。腸内環境を改善するシソを使った特定保健用食品(トクホ)などの開発につながると期待する。
シソは、漢方原料にも使われ、発汗や解熱作用があることが知られていた。研究グループは、香りの主成分である「ペリルアルデヒド」で効果を調べた。
人工的に薬で腸炎を引き起こしたマウスの子に与えて効果を確認。マウスは、腸炎になると正常に成長できなくなるが、同成分入りの水を飲ませると症状が緩和した。腸から栄養を吸収できるようになったためとみる。
同成分は、赤ジソ、ちりめん青ジソなどに多く含まれているという。東京理科大学は「加熱するとなくなるため、生が一番いい」として、シソの機能性に注目した食品やサプリメントなどの開発が見込めるという。
2018年05月08日
米の全国組織 産地、実需結び付け 東西で夏と冬 業務用安定へフェア
業務用米の安定的な取引の拡大に向け、全国農業再生推進機構(米の全国組織)などは2018年度、産地と実需者のマッチング(結び付き)を支援する展示商談会とセミナーを開く。業務用米の不足感が指摘される中、JAや大規模生産法人など産地と実需者の結び付きを後押しし、複数年契約や播種(はしゅ)前契約といった安定取引につなげるのが狙いだ。
業務用米のマッチング支援などを目的に昨年12月に発足した同機構にとって、初の具体的な取り組み。「米マッチングフェア2018」として、農水省の米穀周年供給・需要拡大支援事業を活用して開く。
同フェアは米の収穫前後の夏と冬に、東京と大阪の2会場で開催。大阪で7月4~6日と1月16~18日、東京で8月8~10日と2月6~8日に予定する。
両会場とも1、2日目は展示商談会とセミナー。出展するJAや農家の米の試食、業務用向けの注目品種紹介の他、実需者の中食・外食業者らとの個別商談のスペースを設ける。セミナーでは、マッチングの成功事例や実需者に求められる米などについての講演を予定する。
3日目は現地交流会。業務用米に取り組む産地を見学、意見交換する。
これに先立ち、産地向けの募集説明会を5、6月に全国8会場で開く。現在、同説明会への参加者を受け付けている。参加者は優先的にマッチングフェアの出展者として登録する。
募集説明会の日時と場所は次の通り。締め切りは各開催日の1週間前まで。問い合わせ先は事務局のグレイン・エス・ピー、(電)03(3816)0672。
▽23日=TKPガーデンシティ東梅田(大阪市)▽29日=TKPガーデンシティ博多新幹線口(福岡市)▽30日=TKPガーデンシティPREMIUM広島駅前(広島市)▽6月1日=TKPガーデンシティPREMIUM名古屋新幹線口(名古屋市)▽8日=TKPガーデンシティ竹橋(東京都千代田区)▽12日=TKP仙台カンファレンスセンター(仙台市)▽15日=ホテルサンルート新潟(新潟市)▽19日=TKP札幌駅カンファレンスセンター(札幌市)
2018年05月09日
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2018年05月11日
「ありがとう」笑顔咲かせて
「母の日」を間近に控え、神奈川県内有数のカーネーション産地である秦野市で出荷が大詰めを迎えた。JAはだの花き部会カーネーション部の部員らは、摘み取りや出荷などに汗を流している。
部長の櫛田雅洋さん(57)は、妻の真弓さん(56)と約9アールのハウスで15品種を栽培。JA農産物直売所「はだのじばさんず」や東京都の市場などに約10万本を出荷する見込みだ。
同市のカーネーション栽培は、葉タバコの後継作物として1960年代に発展。最盛期には190戸を超えたが、現在は12戸が産地を支えている。櫛田部長は「色の鮮やかさや花持ちの良さから、消費者や市場の信頼を獲得してきた。伝統を守っていきたい」と話した。
2018年05月10日
好調維持し後半戦へ 需給締まりペース速い 17年産米販売数量
産地が米卸に売り渡した2017年産米の累計販売数量が3月末で132万9000トンとなった。農水省がまとめた。集荷数量に対する販売比率は47%で、過去5年間で最も高い。需給の引き締まりを受けて速いペースを維持したまま、17年産取引は後半戦に入った。
17年産の販売比率は、好調だった前年の同月を1ポイント上回る。銘柄別に販売数量を見ると、流通量が多い新潟・一般「コシヒカリ」は6万8100トンと、前年同月より13%増えた。「ネームバリューがあり、主力銘柄に変わりない」(東京都内の米卸)とし、家庭用の販売が好調な理由を挙げる。
家庭用ブランド米として人気の高い山形「つや姫」は2万1000トンと同25%増。首都圏の米卸は「スーパーへの販売進度は悪くない」と話し、販売先への売り渡しが進んでいるとみる。
産地が米卸と交わした契約数量は248万6000トンで、集荷数量に対する契約比率は88%。前年同月より1ポイント高い。前年同月から約10ポイント上回っていた出来秋ごろと比べてペースは若干落ち着いてきたが、過去5年間で最も高い。群馬「あさひの夢」や新潟・岩船「コシヒカリ」など21産地銘柄が100%に達した。
集荷数量は283万8000トンで、前年同月を6%下回っている。
5000トン以上を取り扱うJAや全農県本部などの出荷業者を対象に、集荷や契約、販売状況を調べた。
2018年05月10日
頼れる相談役 農地・施設取得 新規就農者の悩み解決 JA、行政…
新規就農者が増える中で、突き当たる大きな壁が農地の取得だ。農地確保自体が容易ではないが、好条件の農地となると手放す農家は少なく、ハードルはさらに上がる。“新規参入組”は、土地や施設の確保など大きな壁が立ちはだかる中、土地改良や技術習得、第三者継承など、JAや自治体などの支援が欠かせない。(川崎勇、吉本理子)
共同部署が営農指導 水はけ改善 愛知県新城市
愛知県新城市作手地区の鈴木雅貴さん(28)は2014年のUターン就農直後、課題に直面した。栽培するホウレンソウが、出荷可能な大きさに育たない。原因は、圃場の排水性だった。
同地区は中山間地の水田地帯で水はけが悪く、借りた圃場は「雨が降るとハウス内が目に見えて水浸しになった」という。暗きょや明きょが巡っているものの効果は十分でなかった。
岐阜県の一般企業に1年間勤務後、地元への愛着からUターン就農した鈴木さんは「新規でいい場所を確保するのは難しい。最初からつまずいた」と振り返る。
同市はJA愛知東、農業公社しんしろ、県が連携し、研修や技術指導、資金・農地の確保など各機関が強みを生かす形で就農支援策を充実させている。鈴木さんも手厚い支援を受け、農地確保もとんとん拍子に進んだ。
ただ、地域の土質が栽培のハードルとなった。収益面から市は新規就農者に園芸品目を薦めているが、もともと水田地帯。水はけのいい土地を好むホウレンソウにとって、最適な土地は少ない。地区ではホウレンソウ生産は始まったばかりで、栽培技術が十分に確立されていなかった。状況打破へ、先輩農家やJA、普及センターと共に、手探りで改善を模索した。
JAの営農指導員から、生産性向上には客土が良いと聞いていたが、当初25アールで数千万円単位の費用がかかると知り、踏み出せなかった。タイミングよく公共事業で残土が出たことを公社から聞き、格安で工事できることになり実現した。
同市は、公社やJAと農業関連の共同部署を立ち上げており、職員が常に同じフロアで勤務している。鈴木さんが苦労している情報も共有していたことから、対策が進んだ。営農指導を受け、サブソイラーでの土壌破砕や、毎作ごとのもみ殻投入で排水性を改善。現在は年間7、8回転で、10アール当たり約8トン収穫できるまでになった。
17年3月に10アール拡大したが、拡大分は経験を基に栽培に向く圃場を探し、所有者と直接交渉した。現在、同地区のホウレンソウ生産者は3人、全員が新規就農者だ。10年前にほぼゼロだった作付面積は1・14ヘクタールに伸びた。JAは県内で珍しい周年供給の産地として、売り込みを強めている。
酪農で“居抜き”仲介 第三者継承 北海道美深町
昨年11月に新規就農した北海道美深町の酪農家、高橋雅之さん(35)。同町の酪農家による新規就農者受け入れ組織「R&Rおんねない」の仲介で、牧場だけでなく住宅や土地なども引き継ぐ“居抜き”で継承した。人間関係が原因で、第三者継承が立ち行かなくなるケースは多く、高橋さんは仲介組織の必要性を訴える。
「R&Rがなかったら就農できていなかった」と高橋さんは振り返る。飲食店勤務や、道内の牧場勤務を経て、行政の紹介で同町を知った。やる気と覚悟が認められ、2年間の研修をスタートした。最後の1年間は継承する予定の会員の牧場で研修したが、前経営者と考え方が合わない部分もあり、R&Rに相談することが多かったという。
同組織は、後継者がいない7戸の酪農家が居抜き継承を前提に2003年に発足させた。会員の牧場で研修を受け入れ、会員の経営者と新規就農者の仲介役として活動してきた。
服部修前会長は「新規就農者は人生を懸けて、それなりの投資をしている。前の人の気持ちを全て押し付けるのは良くない」と言い切る。
人にも牛にも負担の少ない経営を目指す高橋さん。飼養頭数は75頭で、大規模化はしないつもりだ。地域では、JA北はるかや町、農業改良普及センターなども、勉強会を開催するなど技術や経営、新規就農者を支援する。高橋さんは「就農前から心配はあったが、相談がしやすいので安心」と話す。
第三者継承の取り組みは、北海道の酪農地帯を中心に広がり、都府県でも普及の兆しがあるという。
北海道大学農学部の柳村俊介教授は「事業をそのまま引き継げるのは、地域にとっても利点がある。一から始めるより失敗は少ない」と、酪農を中心に広がった経緯を分析する。また、経営者と新規就農者の人間関係が最も大きな課題とし「仲介組織がいかに両者に踏み込めるかが鍵」と指摘する。
2018年05月10日
レタス苦戦2割安 好天で茨城、長野産重なる
レタスの相場が軟調だ。5月上旬の日農平均価格(8日まで、各地区大手7卸のデータを集計)は1キロ114円と、過去5年平均(平年)の2割安。春以降の好天で前進した長野産の出荷が増え、茨城産と重なって出回りが潤沢なためだ。ただ、茨城産が切り上がる今月末には入荷が落ち着く見込み。卸売会社は「サラダ商材で需要はある。相場は徐々に平年並みに回復する」と見通す。
今シーズンのレタスは、3月後半から出回りが潤沢で、安値相場が続いている。5月に入ると後続の長野産も出始め、荷動きがさらに鈍った。
東京都中央卸売市場大田市場では8日、茨城産が1ケース(10キロ・中値・相対)1080円と前年同日の23%安だった。卸売会社は「大型連休明けで売り込みも落ち着き、荷余り感が強い」とみる。
JA全農いばらきによると、生育の前進で3、4月に出荷が集中したものの、現在でも1日当たり出荷量は7000~5000ケース(1ケース10キロ)ある。「例年通り月前半でまとまった出荷を終える」とみる。
後続の長野・準高冷地産も生育が前進。JA全農長野は「病虫害も少なく、例年より1週間から10日ほど生育が早い」と説明。JA佐久浅間は「出荷は日量7000ケースで平年より4割多い」と明かす。L級中心と肥大は良好だ。
小売りの動きも鈍い。首都圏のスーパーは群馬産を1玉128円(税別)、特売は98円で売り込む。だが、大型連休以降の売り上げは前年より1割少ない。バイヤーは「特に玉売りが鈍い。買っても使い切れないと消費者が感じているようだ」と指摘。一方、カット商品は販売が伸びているという。
非結球レタスも安値が続く。サニーレタスの上旬(8日まで)の日農平均価格は1キロ145円と平年の5割安だった。結球レタスと同様、茨城産が終盤となる月末には相場が上向く見通しだ。
2018年05月09日
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2018年05月09日
イチゴ「まりひめ」 香港、台湾へ輸出 贈答需要狙い大粒果 和歌山県オリジナル品種
和歌山県は2018年度、県が育成したオリジナルのイチゴ品種「まりひめ」の輸出に乗り出す。県内のイチゴ生産量は全国でも少ないが、県は「食味が良く高値で販売されている。輸出で成功する可能性が高い」(食品流通課)と判断。贈答需要を狙い、現地の旧正月に合わせて香港や台湾向けに輸出する。
「まりひめ」は県農業試験場が育成し、10年に品種登録された。果肉が赤色を帯び、甘味が強く、程よい酸味が特徴。17年度の栽培面積は14・7ヘクタールで、10年から約3倍に増えた。紀の川市を中心に県内全域で栽培が広がっている。
「まりひめ」のうち、糖度9以上、果重35グラム以上の大玉果をプレミアム品「毬(まり)姫様」として販売する。県によると、48グラム以上(1箱9粒入り)の品は、東京の果実専門店で1箱1万2960円で販売された。「贈答用のあまおう、とちおとめなどと比べて見劣りしない」と同課。2月に東京で販売した際は、消費者やバイヤーからも食味の良さが好評だったという。
輸出向けは、贈答需要を狙い大粒果を想定。旧正月を狙い、来年1月中・下旬から2月にかけ、香港や台湾の百貨店の果実売り場やスーパーでの販売を計画する。輸出量や輸出向けの産地は今後、検討する。
同課は「香港はイチゴの輸入が多く、日本のイチゴが受け入れられやすい土壌がある。輸出を成功させ、ブランド力を高めたい」と意気込む。
農水省の統計によると、17年度のイチゴの輸出量は約890トンで、輸出額は18億円。香港や台湾が多い。
2018年05月09日
卸売市場改革で本紙調査 自治体運営 5割超 1割が一部外部化検討
政府の卸売市場改革を巡り、全国の青果物を扱う中央卸売市場の開設自治体の5割超が、今後も市場の整備や運営に主体的に携わる方針であることが日本農業新聞の調査で分かった。残りの4割は無回答など方針を決めておらず、1割弱は一部外部化を検討するだった。改革は開設者の民間参入を認めるとともに、国の関与を弱める内容だが、自治体の5割は現状維持の回答で、公設市場を必要視している。専門家は「市場の運営が継続できるよう、国の手厚い支援が欠かせない」と指摘する。(山崎崇正)
政府が今国会に提出した卸売市場法改正案には、既存の開設自治体が中央卸売市場への関与を後退させる懸念がある。改革への対応について、青果物を扱う中央卸売市場を開設する全国の37都府県・市に対し、4月中・下旬にアンケートを実施。8割に当たる31自治体から回答を得た。
改革後も市場の整備や運営に携わるか聞いたところ、52%に当たる16自治体が「これまでと変わらず、自治体が主導して整備や運営に携わる」と答えた。消費地ではない地方の自治体ほど、回答が多い傾向にあった。
理由は「市民への生鮮食料品の安定供給という公共的役割がある」(金沢市)、「生鮮食料品の安定供給には、引き続き市が開設者となり、対応していくことが必要」(徳島市)などと、供給面から行政の関与を必要視する声が多かった。
2自治体が「一部外部化を検討する」と答え、市場の活性化に民間の活用を求めるとした。無回答などが13自治体と全体の4割を占め、態度を固めていない地域も多い。
中央卸売市場の統廃合や縮小の可能性も聞いた。65%に当たる20自治体が「統廃合や縮小を検討していない」と回答。未回答などの11自治体も含めて、統廃合や縮小をするとの声はなかった。
卸売市場法の改正に合わせ、認定制に対応するため、19自治体が市場の業務規程を変更する方針だと回答。うち8割が法改正後、施行までに手続きを済ませるとした。取引ルールの見直し対象として、「第三者販売の禁止」「商物一致の原則」「直荷引きの禁止」を挙げる声も一部あった。
公設欠かせぬ 政府は支援を
■東京聖栄大学の藤島廣二客員教授の話
現場は卸売市場の公設が欠かせないと認識していることが浮き彫りになった。多くの卸や仲卸、流通業者が市場で生鮮食料品を取引するのは、公設により使用料が低いからだ。市場の運営はコストがかかるだけに、行政の関与が弱まれば使用料の値上げは避けられず、取引参加者が減って安定供給にも水を差しかねない。今後も地方自治体が市場の整備や運営に継続して携われるよう、政府は財政面も含めた支援を手厚く続けるべきだ。
2018年05月08日
「母の日」向け カーネ潤沢1割安 高温で花持ち懸念も
「母の日」(5月13日)向け取引の最盛期を迎えたカーネーション類が苦戦している。7日の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は1本70円と前年より1割安い。好天続きで生育が進み、4月下旬から入荷量が前年を上回っている。一方、小売りは、高温で花持ちへの懸念があるとして仕入れに慎重だ。卸売会社は「今期は前年を下回る相場で母の日商戦を終えそうだ」とみる。
同日のスタンダード系の価格は1本74円と前年比10%安。スプレイ系は66円と同12%安だった。販売量はそれぞれ58万本、65万本と共に前年より少なかったが、4月下旬(母の日の9営業日前)から5月1週までの6営業日では全て前年を1割前後上回っていた。
産地からの出荷は潤沢だ。主力の千葉産はピークとなる今週、「好天が続いたことで、出荷量は前年よりやや多い」(JA全農ちば)と話す。静岡県も「増量した4月中旬以降、十分な量の出荷が続いている」(JA静岡経済連)という。
一方で小売りの仕入れ意欲は鈍い。高温でやや開花が進んでいることで「母の日の直前に仕入れる小売店も増えている」と都内の仲卸業者はみる。さらに「昨秋以降の配送料の値上がりで、宅配ギフト関連の受注を抑え、仕入れを控える生花店も出ている」(市場関係者)。
卸売会社は取引ピークを9日までとみるが、週内は雨天の予報もあり、「国産の極端な増量はなく、品目によっては品薄になる可能性もある」とみる。しかし「宿根カスミソウなど他の洋花類も軟調で、前年を超える相場展開となる可能性は低い」と見通す。
輸入物のカーネーションは「前年と比べて極端な数量の増減はない」(大手輸入商社)という。その上で「想定外の安値が続いており、来年以降の輸入数量を見直す商社も出てくる」(同)との見方が出ている。
2018年05月08日
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2018年05月08日