一水会最高顧問の鈴木邦男氏と哲学者の能川元一氏の対談の一部
元新右翼とネット右翼研究家 『いま排外主義の病理を撃つ』 「在特会」よ、君らは卑怯者だ! (週刊金曜日2010/11/12号)
≪民族差別に満ちた汚い罵声を浴びせながら、各地で暴力的行為を繰り広げる「在特会」―。 「市民運動」などと称して排外主義を煽る彼らこそこの国の恥部であり、暗部でもあるのだ。 ―この数年、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」、あるいはそれとメンバーが重複する「主権回復を目指す会」と称する団体が、全国各地で暴力行為を伴った排外主義的な活動を繰り広げています。この六月には彼らがイルカ漁をテーマにした映画『ザ・コーブ』を上映する横浜市の映画館に押しかけ、その場で話し合いを呼びかけた鈴木さんに暴行を加える事件が起きました。 能川 彼らはそれまで警察からまったく野放しにされていたのですが、その後八月になって、京都朝鮮初級学校に押しかけ授業を妨害したとして、メンバー四人が逮捕されました。続いて九月には、「在特会」の副会長を含むメンバー計十九人が、徳島県教職員組合の事務所に侵入し、業務を妨害したとして、威力妨害などの容疑で逮捕されています。ようやくという感じがしますが。 鈴木 野放しというか、公安と一体でしたからね。街頭での行動なんか、互いに事前に打ち合わせている。しかも「目指す会」のリーダーが、公安に誰々を「排除しろ」とか「マスコミをどかせろ」なんて車の中から指令しているほど。横浜の場合、僕は表現者として「まず公開させるべきだ。上映の妨害は間違っている」と思いリーダーと討論しようと近づいたら、公安に止められた。もし右翼が上映を妨害しようと街宣車を映画館に近づけたら、即刻逮捕です。 ―なぜ今になって、逮捕者が。 鈴木 彼らは横浜の映画館の支配人宅に押しかけ、敷地内に入り、玄関で何の関係もない老いたお母さんを吊るし上げた。立派な家宅侵入罪です。しかも、それをネットの動画で得意げに流している。いくら何でもやりすぎで、京都にしろ徳島にしろ、被害者が出ているのでもう警察もかばいきれなくなった。 能川 「在特会」は、自身について「右翼ではない」と言い、「市民運動」と規定していますね。でも、言っていることは実に過激で汚い言葉で排外主義を煽る。なのに公安は唱えている主張ではなく、右翼団体と自己規定しない限りそうしたものとして見なさない傾向にあるようです。だから、お目こぼしの対象になる。 鈴木 それはあるでしょうね。 能川 ただ、主張している内容は従来の右翼とかなり共通していますが、「在特会」のように在日朝鮮・韓国人を直接ターゲットにして押しかけ、「朝鮮人は帰れ」などと罵声を浴びせる右翼はいなかったでしょう。 鈴木 僕も、「北朝鮮に帰れ」なんて言われました。彼らは、自分たちに反対するのは全部「朝鮮人」なんですよ。何か、この国の一番嫌な部分を見せつけられているような気がしてならないんです。排外主義的な面というか、「キムチ臭い」なんて言葉を平気で浴びせる。右翼は、そうした民族差別的なことは言いません。右翼の中にも在日の出身者はいますし、社会的に差別された階層の人もいるんですから。 ・・・(中略) ―「在特会」的な流れは、ネット右翼から始まったとされますね。 鈴木 やはり、インターネットの悪い面が影響していますよ。一昔前なら到底活字媒体で載せられなかったような差別的な発言、あるいは陰に隠れてしかできなかった表現が、バーンとネットに出てくる。 ・・・(中略) 能川 いまや一つのパターンができていて、『産経』など、右派メディアがあることないことを書き立てる。そうした題材を、新聞では使えないような表現でネットで書かれる。読んだ「在特会」などが表に出てきて抗議行動をし、その様子が動画で臨場感を伴って流され、人々の関心を高めていく―という感じです。 鈴木 嫌な時代になったもんだね 「彼らは、自分たちに反対するのは全部「朝鮮人」なんですよ。何か、この国の一番嫌な部分を見せつけられているような気がしてならないんです。排外主義的な面というか、「キムチ臭い」なんて言葉を平気で浴びせる。」(BY鈴木)
確かに、この国の最も病んだ部分かも知れない。
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