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2018年05月11日

今回の騒動に対するお詫び。




この画像は当社が創業120周年を迎えた時に、地元新聞紙の熊本日日新聞の夕刊一面に出した広告です。
写真に写っているのは昭和初期の店内と、当社2代目で祖父の高柳隆。
セイコーの置き時計を修理している時の様子です。

そして、メインで写っているのは祖父から譲り受けた、形見のグランドセイコー、ハイビート。

この写真を撮影するとき、プロのカメラマンに依頼し、一軒家のスタジオでの撮影には私も立ち会い、思い描くイメージになるように、何度も何度も撮影し直したことを覚えております。
私にとっては今現在も変わらず、持っている時計の中で一番大切な宝物ですし、120周年を飾るにふさわしい時計を選んだと今でも自負しております。

今まで電話対応や来客への対応等で余裕がなかったのですが、先ほど、ちょっとだけツイッターのコメントを拝見させて頂きました。
また、こちらのコメントもちょっと目を通させて頂きました。

沢山のご意見がございました。
本当にありがとうございます。
未熟な身を痛感する次第です。

そんな中、どうしても見逃せないコメントがまだ目に焼き付いています。

お願い致します。どうかセイコーの時計を嫌わないでください。

もう買いたくないなどとは仰らないでください。

捨てるなどとは仰らないでください。

時計自体もさることながら、その時計を購入したり、プレゼントとして受け取ったときの気持ちはなにものにも変えがたい思い出です。
そのとき、その瞬間が心に刻み込まれたタイムカプセルです。
こんな私の愚かな行動で疎かにして良いものではありません。

時計は、きちんとメンテナンスして頂ければ、永くお手元で、文句一つ言わずに時を刻んでくれます。

時計が止まってしまったとき。
お疲れさま、とゼンマイを巻いてあげたり、電池を交換してあげたりしてあげると、また機嫌を直して動いてくれます。
たまにはゆっくり温泉旅行をプレゼントする気分でメンテナンスに出して、油を注してあげると、もう絶好調です。

良いものづくりの環境で生み出された時計は、例えば私のグランドセイコーのように、孫の代でもきちんと動き続けてくれます。

セイコーの時計は世界に誇るべき日本の宝です。

塩尻セイコーエプソンの工場を訪問した際はNCマシンが立ち並ぶ威容に圧倒され、宝飾時計の石留めの凄さをまざまざと見せつけられました。
特にグランドセイコーのラインでは、私がつけていた祖父の形見のGSを見られた職人の方が、製造中断前に自分も組み立てていたモデルなので、もしかしたら本当に組み立てたのは自分かもしれないと盛り上がったり。

盛岡セイコー工業を訪ねた際に、製造現場の方々の物作りに対する姿勢や想い、熱意を感じながら交流させて頂いたときのことは、今でも鮮明に思い出すことができます。
特にや現代の名工の照井さん、櫻田さん。
照井さんの生み出す彫金モデルの美しさ。
金属プレートに、一緒に彫金を施させて頂いた想い出。
櫻田さんの神の指先で組み上げられ、調整される超極薄ムーヴメント。
仕事中の鋭いまなざしから一転、宴席でお酒が入った時の変貌ぶり。
憧れの存在が一気に身近に感じられたものでした。

クレドールのダイヤモンドなどの宝石を留める石留めは顕微鏡を覗きながら行われ、仕上げられています。
宝石ががセットされた時計をセーターに押し当てて、擦り付けても生地に全く引っかからないくらい素晴らしいです。
これほどまで丁寧に仕事が施された時計は世界を探してもそうそうは見つかりません。

彫金モデルの美しさは顕微鏡で覗いても惚れ惚れする仕上がりです。
日本伝統のモチーフと現代の名工の職人技が合わさった、額装して飾ると絵画にも見劣りしない気品があります。
もっともっと評価されるべき逸品だと思います。

私が好きだったのは、ピラーホイールを採用した6S78ムーヴメントを搭載した、今はもうデフコンになってしまったフェニックスクロノグラフ。
クロノグラフ動作の軽やかさ、4体構造の文字盤の存在感。絶対の自信をもってお勧めできたモデルでした。

塩尻のセイコーエプソンで製造されているスプリングドライブはセイコーが生み出した世界に二つとないメカニズム。
ゼンマイの力で駆動し、水晶と磁力で調速する完全オリジナルのムーヴメントです。
秒針が文字盤の上を流れるように滑っていく美しい動きは、普通の時計が時を刻む時計だとすれば、時が流れていく時計。

更にはミニッツリピーターやトゥールビヨンといったコンプリケーションモデルなど、スイスの雲上ブランドと比較してもヒケを取らないモデルすらありました。

黄金の頂きという意味のクレドール。

精度を追求したグランドセイコーとはまた違う、美しさを追求した時計です。

そんなクレドールをご紹介させて頂ける機会が失われてしまった、そのことが残念でなりませんでした。

単純に私の販売力のなさが原因であれば潔く諦めたのですが、仮店舗への移転以降、今後について様々に走り回る中で、どうしても接客する時間が満足に取れなかったこと。
売り場面積が半減してしまったにもかかわらず2店舗に分かれてしまい、1店舗の人員で2店舗を運営するという、店舗運営に支障が出ている現状。
そして、改装費用や移転費用、解体費、設計費、建設費用といった支払いがかさむ中、一時的に店頭在庫は売り減らしで縮小せざるを得なかったこと。

販売努力が足りないとのご批判は承知しておりますし、言い訳にしかなりませんが、どうしても売上維持ができなかった。


正確な日付はもはや分かりませんが、私が東京国際宝飾展で出張しているときに書面が届けられ(一時混乱して2月とお応えしてしまったことを訂正いたします)、出張から戻って書面を拝見し、渡されたときの伝達事項を聞かされたとき、激昂して書面を捨ててしまいました。
ところが先日。
破棄した書類を家内が回収し、ファイリングしていたものを再発見し内容を読み返して当時の気持ちがまざまざと蘇ってしまいました。
その結果、感情に任せてツイッターで公開してしまうという浅慮な行動をとってしまい、私自身の信用と、なによりセイコーの時計への評価を貶めてしまいました。

投稿を削除した理由は、沢山のお世話になっている方々に大変なご心配をおかけしてしまったからです。
大切な方々から、本当に心配する電話やメッセージ、中には実際に来店されてのご心配と応援、労りのお声まで頂戴致しました。
ツイッター上での書き込みを見られたらしく、あることないこと書かれていて悔しいと心を痛めるお姿に、本当に申し訳なかったという思いを痛感するとともに、これ以上お世話になっている皆さまに更なるご心配をおかけしてしまうことをしたくなかったからです。

繰り返しになりますが、私は今の営業方針には全く納得できませんし、今回の対応に関しては思うところが多々ありますが、セイコーの時計自体は本当に大好きです。

セイコーの物作りの現場も大好きです。
だからこそ、私は自社初のオリジナルウォッチもセイコーにお願いしたいと依頼を出し、制作を受けて頂きました。
一時は部品の調達ができないため完売状態だった時計を、当社の被災支援のためと、部品をかき集めれるだけかき集めて再度準備して頂いたことなど、感謝してもしきれない思いもあります。

セイコーの製品一つ一つを手に取ると、もっとここがこうだったらもっと素晴らしいのに、とか、ここはもっとこうして欲しいのですが、といった要望が口から出てしまい、お客さまから『接客しているのか批判しているんか分からん!社長のくせに販売するつもりはないのか!』とおしかりを受けてしまった事もあります。

私が生まれた時からセイコーの時計に囲まれてきて、幼いころはセイコーの営業マンに子守をしていただいたり、遊びに連れて行って頂いたり。東京で就職した際、夜間通っていた時計技術専門学校では、元セイコーサービスセンターの教育責任者だった小川先生に担任を受け持っていただき、懇切丁寧に技術を伝授して頂いたり。セイコーとの様々な関わり、ご縁、想い出は数えだしたらきりがありません。

それだけに、大好きなセイコーの時計事態を貶めるつもりは全くなかったのですが、今回の騒動は本当に申し訳なく思っております。

どうかセイコーの時計をぜひ手に取って、有力な選択肢の一つとして候補に挙げてください。
全国の百貨店、専門店のスタッフが、その魅力を余すことなく伝えてくれるはずです。
歴史あるお店では、よそでは聞くことのできない想い出話が出てくるかもしれません。
単なるスペックではない、それぞれのお店ならではの個性溢れるセールストーク。
カタログでは決して分からなかった魅力を見つけることができるはずです。
さらに、海外ブランドと比較して圧倒的に良心的でリーズナブルなアフターサービスのおまけつきです。

しかも、クレドールのアフターサービス用の部品保有の目安期間は25年。
こんな時計は海外にはありません。
海外ブランドのように代理店が変更になって、サービス内容がガラリと変わってしまったり、受けれなくなってしまう事もありません。
スイスへの部品発注で半年待ちとかもありません。
ブレスレット修理なのに強制的にオーバーホールを言われてしまうような事もありません。

時計は永くお使いいただくものだからこそ、アフターサービスの質自体がとっても大事です。
こんな騒動を起こしてしまいましたが、今でも私は自信をもってセイコーの時計をお勧めする事が出来ます。

もちろん、私がこんなことを言えるような立場ではとてもないのは重々承知しておりますが、どうか、日本のものづくりの現場を支えて頂けましたら…。

本当に申し訳ありませんでした。
駄文、長文申し訳ございません。

平成30年5月11日

株式会社ソフィ・タカヤナギ
代表取締役社長 髙栁 隆大



Posted by 高柳時計店 at 13:36│Comments(12)お詫び
この記事へのコメント
全然、お詫びになっていないような文章ですね。
今回の件は、御社の販売能力のなさ結果ですね。
いろいろ言われてますが、商売人としてのあなた、そして会社の信用はゼロですよ。
どう転ぶかはわかりませんが、今後の、活躍をきたいしております!
Posted by おつかれさんです! at 2018年05月11日 14:31
何故皆そんな意地の悪いコメントをするのかわからない。
自分は応援しています。
SEIKOの取った行動は大企業としては仕方ないのかもしれませんが、それに対して納得がいかない、という感情が出るのも十分すぎるほどわかります。
書面公開がどうのこうのと言っていますが、そんなのは当事者間の契約上の話。SEIKOがその後のやりとりで不問に付すとしたのであれば、外部がどうこう言う話ではありません。

こだわりを持ったお店で一生ものの時計を買う、って素敵ですね。いまはなんでもネットの時代なので、ネットでは少し安く買えるかもしれないけれども、実際にお店で店主から話を聞きながら買うことが、時計への思い入れを強くするとおもいます。
震災復興の中で、時計の商売をされることはさぞかし大変な部分もあるかと思います。今回のことでプラスにもマイナスにも働いてしまったかと思いますが、人の噂も七十五日。一旦切り替え、落ち着いて、これまでソフィタカヤナギさんが長らく続けていらっしゃったように、一日一日目の前のお仕事を大切にされながら時を刻まれることを応援しております。
Posted by なんでみんなそんなに at 2018年05月11日 15:15
今回の騒動は瑣末な事、まずは新店舗での営業再開を目指して頑張ってください。
Posted by おもてやん at 2018年05月11日 15:19
セイコーが大好きというのなら怒りに任せて世界に配信したのは失敗しましたね
ツイッターのものを消したとしても一度出回ったものは永遠に消えないと思ってください
大好きなセイコーの売り上げをブランドイメージを下げるという打撃を与えてしまいましたね・・
Posted by 短気は損気 at 2018年05月11日 15:21
最後まで読ませていただきました。本当に魂が入っている文章だと思います。大好きなセイコーだからこその怒りだと判りました。
全く力になれませんが支持いたします。
Posted by 村田俊夫 at 2018年05月11日 15:38
>そんな中、どうしても見逃せないコメントがまだ目に焼き付いています。
>お願い致します。どうかセイコーの時計を嫌わないでください。
>もう買いたくないなどとは仰らないでください。
>捨てるなどとは仰らないでください。

先日、TOKIO山口さんが国分太一さんに「TOKIOを守ってほしい」と伝えたという報道がありましたが、その報道を聞いた時と同じ感想が湧き上がりました。

元はといえばあなたが原因でしょ。
Posted by 短慮 at 2018年05月11日 15:40
謝罪の時の余計な言い訳ほどみっともない事はない。
典型的なぬるま湯育ちのボンボンですな。
Posted by くまもん at 2018年05月11日 15:56
セイコーへの愛情とともに、やりきれない思いも見え隠れする、魂のこもった文章、読ませていただきました。
きっと表には書けない面白くない話もたくさんあったのでしょう。
批判的なコメントもあるようですが、ごく少数です。多くの方はあなたの味方です。
熊本へ行く際にはソフィ・タカヤナギさんにぜひ寄ってみたいと思っています。
Posted by Kova2030 at 2018年05月11日 15:57
お世話になった人じゃなくて
業務上の書類をSNSに勝手にあげたことを
セイコーさんにお詫びしたほうがいいんじゃないの。
そんなにセイコーさん大好きならなおさらでしょ。
Posted by 長い at 2018年05月11日 16:13
セイコーの対応が法律上問題あるのであれば法定で経営側と争えばいいのではないでしょうか。
どのように言い訳されようともあなたの行為はセイコーの職人さんの名誉や家族を養う一般社員、あなたも仰ってるように大切な思い出の詰まったセイコーの時計を持つ人を傷つける行為です。
わたしもその一人ですので、あなたの会社には潰れてほしいとさえ思っていますし、一生許せません。
Posted by K at 2018年05月11日 16:57
感想や回顧録が多すぎて、どの言葉が「お詫び。」なのかてよく分かりませんでした。
Posted by 名無し at 2018年05月11日 17:08
消費財メーカーの営業です。

私の勤務先でも同じような制度があります。例え一時的に売り上げが下がったとしても、理由があり回復の見込みがあるならばメーカーも簡単にはライセンスを止めないと思います。

売り上げが落ちたのは本当に震災の影響だけなのですか?営業マンとは日頃もコミュニケーションを取られてたのですか?ほかにご推売のブランドがあったのではないですか?どのぐらいの達成率で取り消されたのでしょうか?

告知の通り、本当に突然の通告だったのでしょうか?その営業マンは、話し合いをしたく社長にアポイントをいれていたのに断っていませんか?

ご祖父様の時代からのお付き合いだった取引先を簡単に切るようなことはメーカーもしないと思います。

報道には出てこないメーカーの言い分があるのではないかと勘ぐってしまいます
Posted by 佐藤 at 2018年05月11日 17:57
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