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KDDIは2018年5月10日、2018年3月期連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高は前期比6.2%増の5兆419億円、営業利益は同5.5%増の9627億円と、増収増益だった。
本業のコンシューマー向け携帯電話(パーソナルセグメント)では、auの縮小分をMVNO(仮想移動体通信事業者)の増加分で補い、全体として成長を維持した。au契約者数は2018年3月末時点で2017年3月末比45万人減の2469万人と引き続き減少。一方でMVNO契約数は同91万件増の178万件となり、両者を合わせた「モバイルID数」は同46万ID増の2647万IDと増加を維持している。モバイル通信料も同様に、auでの減収をMVNOの増収で補い、前期比15億円増の1兆7878億円と増収を維持した。
通期の解約率は前期比0.03ポイント増の0.86%と悪化。ただし2017年7月に提供開始した新料金プラン「auピタットプラン」「auフラットプラン」の累計契約数が2018年4月に700万件を超えるなど好調で、「第4四半期の解約率は前年同期の1.07%から0.96%へと改善した」(高橋誠社長)。
付加サービスなどのライフデザインセグメントは引き続き順調に規模を拡大している。契約当たりの付加サービスの平均利用額を示す「付加価値ARPA」は前期比80円増の590円、auの付加サービスに「auかんたん決済」「au WALLET決済」などの利用額を加えた「au経済圏 流通総額」が同48%増の1兆8900億円、au経済圏での取り引きからKDDIが得た「au経済圏 売上高」が同33%増の5600億円となった。
4年契約は好調もキャッシュフロー圧迫
4年契約で端末代金を分割払いする代わりに将来の機種変更時に残債分を割り引くサービス「アップグレードプログラムEX」は、分割払い利用者の9割が加入していると言い、「顧客には好評のサービスとして受け入れられている」(高橋社長)。
ただ、同サービスの影響で営業債権等が472億円増の2191億円となり、本業による現金収入を示す営業キャッシュフローは前年度より997億円減の1兆614億円。2019年3月期の営業債権等は「2600億円まで増える見通し」(高橋社長)としており、キャッシュフローへの影響はさらに大きくなりそうだ。
総務省の有識者会議で4年契約などの契約形態を問題視する報告書がまとめられたことについて高橋社長は「総務省から近くガイドラインが出てくると思うので対応していく。アップグレードプログラムEXでは、契約から2年後に当社が端末を下取りするか否かの選択肢は消費者にあるが、この点に分かりにくさがあったのは確かなので、真摯に対応していきたい」とコメントした。