昨年の春、奇才・Jeff Minter率いるLlamasoftはPS4とPCにて3Dスクロールシューティング『Polybius』を発表したが、今年の6月にはJeffが1994年に手がけたAtari Jaguar用ソフト『Tempest 2000』を4K対応の高解像度にリファインした『Tempest 4000』としてPS4、Xbox One、PC向けにリリースされるという。
万華鏡のように煌びやかでありつつギラギラとしたドラッギーな画面描写と、ジャングルやレイヴなどのテクノサウンドをゲームと融合させることを得意とするJeffが生み出した『Tempest 2000』は、本家AtariがPlayStationにて『Tempest X3』とタイトルを変えてリリースされたほか、作り手であるJeffもNUONで『Tempest 3000』を、2014年にはPS Vitaにて『TxK』を手がけている。特に『TxK』はAtariから著作権侵害の警告を受けたことで、家庭用ハードとPCでの展開予定が流れてしまった経緯があるだけに、『Tempest 4000』として正式にリリースされることは素直にうれしい限りだ。
一方、日本国内では『ストライカーズ1945』シリーズで知られる彩京のIPを移植するゼロディブは、4月5日にNintendo Switchに『ドラゴンブレイズ for Nintendo Switch』をアーケードアーカイブス、アケアカNEOGEOを展開するハムスターはSNKの『ゴーストパイロット』を4月26日にNintendo Switch、PS4、Xbox Oneで配信するなど、突如発表される移植の数々にはいつも喜ばせてもらっている。
なかでも、オーケストラを基調としたBGM、和風とスチームパンクが融合した世界観、パズルゲームを解くかのようなパターン構築力が求められるトレジャーの名作『斑鳩』が5月30日にNintendo Switchでリリースされるという発表には多くのファンが驚いたことだろう。これまでにドリームキャスト、ゲームキューブ、Xbox 360、Steamに移植されており、今回のSwitch版を含めると、じつに3世代に渡って親しまれることになる。特にJoy-Conの共有による2P同時プレイやテーブルモードでの縦画面表示など、Nintendo Switchというハードが持つコンセプトに合わせているのもうれしい。
このように、ハードの進化やスタッフのアイディアが詰め込まれたことにより、ただ単に「旧作の移植」と括ることはできず、リメイクでありながらも、リアルタイムで遊んだことのあるプレイヤーと若年層のプレイヤーの双方を分け隔てることなく「新作」としての体験を提供している。本記事ではまず2社から3作品をピックアップし、現在までにリリースを発表している各タイトルをご紹介しよう。
『サイヴァリア デルタ』
自機を敵弾にかすらせることでパワーアップと一瞬の無敵時間を得られる「BUZZシステム」を採用し、弾幕を避けるだけではなく「攻め」のプレイへと転じさせたアーケード用STG『サイヴァリア ミディアムユニット(以下、ミディアムユニット)』と、マイナーチェンジ版『サイヴァリア リビジョン(以下、リビジョン)』の2作をリメイクし、『サイヴァリア デルタ』としてリリースすることを発表したのは、昨年11月30日に『ゲーム天国 CruisinMix』を制作したシティコネクションだ。
Nintendo SwitchとPS4に向けて今年の8月30日にリリース予定で、ダウンロード配信のほか、パッケージ版では通常版と限定生産版の2種類を用意している。かつてはPS2にて『サイヴァリア コンプリートエディション』(2002年)と「SuperLite 2000 シューティング」シリーズ(2003年)が発売されていたが、今回は15年の時を経て「弾幕の挑戦状」が我々の手元にふたたび届けられることになる。
『サイヴァリア デルタ』は初代の「ミディアムユニット」と、マイナーチェンジ版「リビジョン」の2作を高解像度化しただけではなく、ボスの体力やレベルアップ後の残り無敵時間といったステータスをサイドバーに表示する新要素も追加。BUZZ中のミス軽減や、ボス戦におけるスコア稼ぎのパターン構築にも役立ちそうだ。