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岐阜50年ぶり専業鵜匠3人 11日開幕の小瀬鵜飼
関市の夏の風物詩・小瀬鵜飼が十一日に開幕する。宮内庁式部職の鵜匠・足立太一さん(63)は、公務員の仕事のかたわら、同じ鵜匠の岩佐昌秋さん(73)と足立陽一郎さん(43)から鵜を借りて鵜匠をしていたが、三月に公務員を退職。今季から自宅で鵜を育て始め、鵜匠に専念している。小瀬鵜飼に専業の鵜匠三人がそろうのは約五十年ぶりという。 太一さんは六十歳まで関市役所、その後は市社会福祉協議会に勤めていた。約五十年前、先代の父・茂男さん(故人)の時代は自宅で鵜十五羽を飼っていたが、病気で死んでしまった。鵜匠をやめる話もあったが、「小瀬鵜飼が絶えてしまうよりは」と、借りた鵜で鵜飼いを続けてきた。 四月中旬に陽一郎さんから鵜四羽を譲り受け、九日には茨城県日立市で捕獲された野生のウミウ四羽が家に到着した。初日は目をむいてバタバタともがき、太一さんの腕をかんで暴れていたが、翌日に水浴びのために外に出すと、ずいぶんと落ち着いて日光浴を楽しむように。「実戦投入まで最低一カ月はかかるけど、不安より期待の方が大きい。活躍が楽しみ」と目を細める。 まずは新しい鵜を人に慣れさせるのが第一という。隣家の陽一郎さんから「時間の限りスキンシップを図って」などとアドバイスを受け、声をかけたり、小屋を掃除したりと毎日世話にいそしんでいる。今秋にはさらに二羽増やす意向で、最終的には元の十五羽を目指すという。 由緒ある宮内庁式部職の鵜匠は直系の男子が世襲する決まりだ。太一さんには、ともに会社員の三十一歳と二十六歳の二人の息子がいる。「鵜を借りながらという肩身の狭い思いはさせたくない。継いでくれる土壌をつくらないと。自分の心の中で、次に引き継ぐ下準備でもある」と、継承の意志を伝えてくれる日を待っている。 (本間貴子) 今、あなたにオススメ Recommended by
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