アレルギーには「花粉症」「ハウスダストアレルギー」「食物アレルギー」などがありますが、最近西寄りの風に乗って飛んでくる黄砂の「黄砂アレルギー」の話をよく聞きます。
黄砂の大きさ、花粉症との対策の違いなどについて徹底解説していきます。
代表的な黄砂の発生源は、中国のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠、黄土高原などです。
これらの乾いた砂漠の砂が、上空1万メートルまで舞い上がって、ジェット気流(偏西風)に乗って日本に飛来します。
黄砂が気流に乗ると日本へは4日程度で到達します。
黄砂の害には以下のようなものがあります。
黄砂アレルギーの症状としては、花粉症、ハウスダストアレルギー、ダニアレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と同じような症状が出ます。
目では、涙目、かゆみ、アレルギー性結膜炎。
鼻なら、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。
黄砂に含まれるカビ、ダニ、ホコリなどが原因でアトピー性皮膚炎や喘息を引き起こすこともあります。
黄砂は花粉に比べて粒子が細かいので、肺の奥まで入り深刻な症状を起こすこともあります。
花粉症だと思っている人でも、黄砂の時期とアレルギーを起こす時期が重なるなら黄砂アレルギーの可能性があるか、併発している可能性もあります。
一年中飛んでいるのですが、日本では9割が2月から5月までで、ピークになるのが4月と言われています。
黄砂のシーズンは「春」です。
冬は風が弱く、砂漠の場所によっては氷結して砂が舞い上がりにくい時期です。
春はすべての条件が黄砂飛散に合っていて、それが2~5月。
夏から秋になると雨量が増えるため、砂漠の砂が舞い上がりにくいです。
結果、黄砂が日本にやってくるシーズンは「春」ということになります。
花粉はいろんな種類があり、いろんな時期に花粉症の原因となりますが、もっとも代表的な花粉飛散はスギ・ヒノキの花粉で、2~5月と黄砂の飛来する時期と重なります。
黄砂は花粉症を悪化させるとも言われており、また、花粉症と黄砂アレルギーを併発することも考えられます。
花粉より粒子の粒が小さいので、人体に入り込みやすく、マスクでとらえることも難しくなります。
アレルギー物質の粒子の大きさはおおむね以下の通りです。
・花粉…40マイクロメートル
・黄砂…4マイクロメートル
・PM2.5…2.5マイクロメートル以下
・ウイルス…0.1マイクロメートル
※マイクロメートルはミリメートルの1000分の1
このように、黄砂は花粉の10分の1の小ささであるため、花粉より体内に侵入しやすいです。
なので肺に入り喘息を引き起こしたり、血管に入って脳梗塞を起こすこともあります。
黄砂アレルギーは、黄砂そのものというよりは、黄砂に付着したダニ・カビ・ホコリや、PM2.5、黄砂に含まれる二酸化ケイ素などが原因です。
PM2.5が大きく取りざたされるはるか昔から黄砂は舞っていました。
約1800年前の気象記録や中国最古の医学書と言われる「黄帝内経」に「天地」「天赤」という表現で記載されています。
しかし、近年では森林伐採による砂漠化が原因で黄砂の発生頻度や量が年々増加しており、より深刻化しているといえましょう。
また、中国では工業化による大気汚染で、黄砂に付着する有害物質が昔とは違うことを認識しておくべきでしょう。
「なるべく外出しない」「洗濯物を外に干さない」「帰宅時に服についた黄砂を払い落す」「マスクや眼鏡をする」「空気清浄機を使用する」などが挙げられます。
空気清浄機やマスクは花粉用では効果がないため、すくなくともPM2.5対応以上のものを検討してください。
PM2.5対応とうたわれているマスクでも、マスクの隙間(鼻周辺・頬側など)から侵入する率は結構高いものです。
また、マスクには「気密性と息苦しさは相関関係がある」、つまり、防塵効果が高いものは息苦しさも大きい、ということです。
とはいえ、立体型・カップ型・ブリーツ型など、多くの製品が一般販売されており、防護効果、フィット感(隙間ができにくい)、マスクを着けたままでも話しやすい、ひもで耳が痛くなりにくい、など改良が重ねられてきています。
口紅が移らない、メガネが曇りにくいなどの要素も含まれた製品もあります。
選ぶ際は、第一にPM2.5以上の濾過率のものであること、第二に自分自身に合った(大きさ・フィット感・負担に感じにくい)ものであることが求められます。
そして第三は、「値段」です。
基本的にマスクは使い捨てであるため、一枚単価が安いものを気軽に使い捨て出来ることも重要です。
マスクには1枚6円くらいのものから400円くらいのものまであります。
安いから悪い、高いから高機能、というわけではないので、条件一、条件二を満たしたものの中で価格の低いものを選ぶとよいかと思います。
一日中マスクは窮屈で我慢できない「できるだけ外出しない」なんてありえない、そういった方も多いと思います。
そして、マスクの着用は効果が限定的です。
そこで、アレルギーを抑える薬を使うという選択肢も出てきます。
もちろん、マスク等と合わせて使うこともできます。
一般的にアレルギー症状は鼻にきやすく、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー反応を抑える「抗ヒスタミン剤」の入ったお薬を使うとよいでしょう。
市販薬もありますからここから試すといいかもしれません。
それでも効果が足りなかったら、ドクターに診てもらって、症状に合って効果も十分なお薬を処方してもらうのがベストです。
黄砂の舞う春。
ベストとはいかないまでも、よりベターな春を過ごせるよう対策しましょう。