別に韓国なんて行きたくなかった。
ゼミ旅行の話があって、前に上海行ったきり封印されていたパスポートを使っておきたかっただけだ。
行きたくない理由は、ゼミナールのメンバーと馴染めてないからである。しかし参加表明した愚か者が一人いた。
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旅行の準備とかは、幹事の陽キャが大体やってくれた。陰キャの僕は言われるがままに手続きするだけなので、エッチなイベントでも起こるんじゃないかと妄想に耽ることくらいしかすることがなかった。
てか、気の合わないメンツと旅行にいく面倒臭さが至高の頂点に君臨していて、もはや何をしたいのか自分で分かっていなかった。
「行きたくねー!!」
そして、旅行の二日前。神様はその願いを叶えてくれた。いつものように意味もなくインタ―ネットで遊んでいた僕に突如として激しい眩暈が襲い掛かる。
突如ってのは嘘だけど、徐々に眩暈は大きくなっていって、やばい時はメリーゴーランドに乗ってたと思う。
朦朧とする視界の中、時計を見るとバイト出勤の1時間前じゃねーか!てーへんだ!
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うちのバイト先の人は優しいのでめっちゃ心配してくれて、代わりの人が速攻で出てくれた。
僕はと言うと、ぶっちゃけ寝たら治りそうだったけど何か申し訳ないので内科に行くことにした。
そこのセンセーは大袈裟にも点滴を打ってくれて薬も出してくれた。原因は過労とかストレスとか色々言われたけど普通にだらしない引き籠り生活のせいだと思う。
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んで、内科の先生には二日後飛行機に乗って海外行くことを止められた。所謂ドクターストップってやつだ。
「でもよー、僕もう旅行会社に入金しちゃってるんだよね。」
二日後、どうしても韓国旅行に行きたくない僕はパスポートを握りしめて空港にいた。
何が彼をここまで駆り立てるのか。