パナの完全復活を阻む「テスラ」と「中国」の壁

久々の好決算に影を落とす2つのリスク要因

久々の好決算だったパナソニック。ただ、業績を牽引する車載電池事業には不安が漂う(記者撮影)

「液晶テレビ事業が赤字転落していた7年前から、相当大きな構造改革をしてきた。ただ利益を上げながら売上高も伸ばすのは難しく、増収増益に戻すまで6年間もかかってしまった」

5月10日に開催されたパナソニックの決算説明会の場で、津賀一宏社長はこれまでの苦労をかみしめるように、そう語った。

前期は7期ぶりの増収増益で着地

同日発表された2018年3月期の業績は、売上高7兆9822億円(前期比8.7%増)、営業利益は3805億円(37.5%増)と好調で、7期ぶりの増収増益となった。2012年の社長就任以来進めてきた経営再建の成果が、ようやく実を結んだ形だ。

業績の回復を牽引したのは、「脱家電」を打ち出して2013年から投資を重ねてきた自動車部品(車載)事業だ。特に、旧三洋電機の電池技術を活用した車載電池の分野は、世界トップクラスのメーカーにまでのぼりつめた。

ただ、電池事業はパナのエースであると同時に、完全復活を阻み得るリスクもはらんでいる。電池の最大顧客であるEV(電気自動車)ベンチャー、米テスラモーターズの動向と、EVの最大市場となる中国での先行きが不透明だからだ。

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    記事を拝見するに、パナソニックは増収増益での着地にも関わらず大変だなぁと思います。

     テスラの問題より中国の方が対応が難しそう。中国の場合、国による保護政策で分が悪いのは明らかで、補助金に対する有効な策がなさそう。同じような性能ならば、当然お客さんは補助金が出る方を買うのは明らか。

     さらに、中国の電池メーカーが力を付けてきて、補助金政策がなくなったころにはEVの電池も中国メーカーオンリーになりそうです。

     EVの電池作っておけばしばらく安泰って短絡的に考えていましたが、参考になる記事でした。

     元気な日本のメーカーの姿を取り戻してほしいので、がんばってほしいと思います。
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    2018/5/11 09:17
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