教養論文の勉強法(応用編)
2013.03.26(Tue)
みなさん勉強おつかれさまです!
アドバイザーの真夜中でダンディーです。
さて、今回のテーマは【教養論文の勉強法(応用編)】です。
以前書いた記事【基礎編】で、意外にもたくさんの拍手を頂いたので、
今回も最後に答案構成例を作りたいと思います。
※今回は2つの答案構成例を載せます。
そのうちの一つは、東京都Ⅰ類B(従来方式)における新たな教養論文試験の形式で
書いてみます。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
それでは早速、中身に入っていきたいと思いますが、
その前に、以下の記事を再度確認してください。
↓↓↓(それぞれクリックすると該当記事が見れます。)
【教養論文の勉強法(入門編)】
【教養論文の勉強法(基礎編)】
これから書く内容は、【入門編】【基礎編】でお伝えした内容を前提として書いていきます。
なので、その点を注意して読んでいただければと思います。
それでは、今回の応用編の内容が何なのかと言うと、
【入門編】でお伝えした「論文の型」の中でもっとも重要な部分となる
「3.対策を書く」の中でどんな対策を書くべきか
についてお伝えしたいと思っています。
ところで、【入門編】でもお伝えした通り、
教養論文を書く際の基本的な姿勢は、
「論文の型通りに書く」ですが、
その「論文の型」の中で、
1.背景・問題点を書く → 2.課題を書く
という流れがあります。
ここで、なぜこの流れで書く必要があるのかを一度考えてみたいと思います。
この点、教養論文の試験において、たいていの問題文のパターンは、
「現在、~という問題が生じているが、これに対して行政はどのような取組をすべきか、あなたの考えを述べよ」
みたいなものですよね。
つまり、教養論文試験で取り扱われる内容の多くは、
行政が抱えている問題に対する解決策を書け
というものになります。
そこで、教養論文では行政が取組むべき対策を考える必要があるのですが、
対策というのは、現状の分析なくしては絶対に出てきません。
これ、当たり前のことですよね。
つまり、日常生活や仕事の中においても、
何か問題が起こった際に、それをどのように解決すべきかと言えば、
問題を生じさせている要因をつぶす
ですよね。
なので、問題が起こったときに、ただやみくもに解決策を出すのではなく、
問題が起こった要因が何なのかをしっかり考えて分析した上で、
ピンポイントで解決策を講じるべきとなるわけです。
したがって、教養論文においても、
文章のはじめの方で、
1.現在生じている問題を書いて、
↓その次に、
2.問題を生じさせている要因を書く
という作業が必要となるわけです。
こうした理由から私は、
1.現状・問題点を書く → 2.課題を書く
という流れで書くべきだと思っているわけです。
このように考えると、
教養論文の肝である「対策」をしっかり書くためには、
その前提として、
「しっかりとした現状分析」が重要になる
ということになります。
前置きが長くなりました(^_^;)
ここから本題に入ります。
では、「現状分析」をしたあとにいよいよ「対策」を検討することとなりますが、
ここで問題となるのは、
対策を自分自身で考えるべきか?
(=新しいアイディアを出すべきか?)
ということです。
これについては、結論から言うと、
自分でゼロから対策を考えるのは限界がある
と私は思います。
つまり、このやり方を取るべきではないと思います。
なぜかと言えば、
理由① 行政実務の素人に新しいアイディアなんか出てこない
⇒ 考える時間が無駄
理由② 仮に新しいアイディアが思いついても、つっこみどころ満載の可能性大
⇒ 答案に書くにはリスクが大きい
では、どうやって対策を書くべきか??
この結論として、私は、
志望自治体の実際の取組を自分の対策にしてしまう
という方法がいいのではないかと思っています。
なぜかと言えば、
理由① 実際の取組を調べればよいので自分で考えなくてすむ
⇒ 時間の節約
理由② 現にある取組なので、つっこみどころが少ない
⇒ 答案に書いてもリスクは小さい
では、こうしたやり方で対策を考えたとして、
次にそれを論文にどう表現すべきかが問題となります。
この点に関しては、こんな感じで表現するとよいと思います。
パターン①
~という理由から「A」という対策が重要
↓この点、
〇〇自治体では「A´」という取組をしている
↓そこで、
この「A´」をより推進すべきと考える
ちょっと分かりにくいと思うので解説すると、
この表現で言いたいことは、
「自分は~という理由からAという対策が重要と考えていたところ、
〇〇自治体の政策を調べてたらAに非常に近いA´という取組を見つけた。
そこで、このA´という取組をやれば問題が解決されるはずなので、
このA´をより推進すべきと考えるようになった」
という感じです。
そして、この考え方を少し応用するとこんな感じにもできます。
パターン②
~という理由から「A」という対策が重要
↓この点、
〇〇自治体では「A´」という取組をしており、一定の効果を上げている
↓しかし、
「A´」を「A」により近付けることができればより効果が出るはず
↓そこで、
「A´」の●●部分を改善する必要があると考える
これはつまり、
既存の政策を少し改善した案
を自分の対策(主張)としてしまうという方法です。
ここで、
「既存の政策を少し改善した案」
ってどこかで聞いたことないですかね?
お気づきの受験生もいるかと思いますが、
これは行政学の中で勉強する
インクリメンタリズム
を意識しています。
もっとも、このパターン②の考え方は教養論文でも使えますが、
面接のときに「公務員になって何がしたいのか」を考える際にも
結構使えます。
つまり、「何がしたいのか」を具体化するときに、
「新しいアイディア」は考えてもなかなか出てこないので、
「既存の政策を少し改善した案」を自分のやりたいことにしてしまうのです。
たしかに、この「既存の政策を少し改善した案」は、
「既存の政策」をベースにしている点でオリジナリティに欠ける印象はありますが、
「少し改善」という部分は立派な自分自身の意見になっているので、
十分オリジナリティ溢れる「やりたいこと」になると思いますよ。
話が面接の方へそれてしまいましたが、
ここで1つ言えることは、
教養論文の勉強が面接で役立つ
ということです。
また、上記のように、
既存の政策を自分の意見としてしまう方法
を採用する場合には、当然に
志望自治体の既存の政策
を知っておく必要があります。
さらに言えば、前述の通り、
教養論文で対策を書く前には、
しっかりとした現状分析が必要になります。
それゆえ、
志望自治体が抱える問題とその課題(要因)
をも知っておく必要があります。
では、それらをどのようにして調べればよいかと言えば、
自治体のHPや基本計画的なものを読む
ということとなります。
これについては、前回担当した記事(←クリック)の中でも
少しだけ触れているので、よかったら参照してみてください。
なお、東京都Ⅰ類B試験(従来方式)の教養論文
の出題形式が今年から変更になりました。
具体的には、
複数の資料(グラフ等)が与えられ、それを読み取り、
(1)何が課題となっていて
(2)それに対して都は何をすべきか
を書くみたいな内容となるようです。
※詳しくは都庁の採用HPで確認してください。
↓↓↓(都の教養論文のサンプルのページに飛びます)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/11/DATA/20mbu302.pdf
この出題形式、そもそも従来実施されてきたⅠ類Aの教養論文試験と同じなんですよね。
(しかも、都の採用HPでアップされている従来方式の問題例は、
実は、平成22年度におけるⅠ類Aの教養論文試験の問題
にある図表とほぼ同じものが使われています。)
そこで、この出題形式をどのように対策すべきかが問題となるのですが、
私自身の考えとしては、
やはり「2020年の東京」を読み込む
しかないと思っています。
その理由としては、上述の通り、
教養論文の内容は「行政が抱えている課題に対する解決策を書け」という形式で来るので、
その意味するところはすなわち、
出題テーマは東京都が抱えている課題に関すること
の可能性が非常に高いということになります。
したがって、
東京都の抱えている課題とそれに対する都の取組が満載の「2020年の東京」を読み込んでいれば、
おそらく試験当日、問題文を読んで「?」になることはほぼ回避できるはずです。
また、資料の読み取りについても、
東京都の課題について熟知していれば、
与えられた資料が意味するところ(何を伝えたいの)
をおおよそ推測することは可能になると思います。
さらに、この資料に関して言えば、
過去のⅠ類Aの教養論文において出された資料をみると、
2020年の東京に載っている資料とほぼ同じものが使われていたりすることに気付きます。(もちろんすべてではありませんが…)
こうしたことから見ても、
2020年の東京を読む込んでおくことは重要な感じがします。
で、この資料の読み取りができれば、
あとは通常の教養論文の書き方でほぼOKだと思いますので、
とくに問題なさそうです。
また、
東京都Ⅰ類B(新方式)のプレゼンテーション・シート
の作成についても、上記に書いた内容でおそらく対応できると思います。
なぜなら、
プレゼンテーション・シートに書く内容は、
都の発表によると、
グラフ等から読み取れる
①都の現状
②都の課題
③都が行うべき解決策
ということなので、
これはまさに教養論文の考え方で対応できるのです。
※詳しい内容は都の採用HPで確認してください。
↓↓↓(都のプレゼンテーション・シートのサンプルのページに飛びます)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/11/DATA/20mbu301.pdf
とまぁ、長々と書いてしまいましたが、
教養論文について書くのも最後だと思いますので、
お伝えしたいことは詰められるだけ詰めました(^_^;)
最後に、
これまで書いてきたことを意識して、以下に答案構成例を書いてみます。
【入門編】【基礎編】【応用編】でお伝えした内容を踏まえた上で
目を通していただければと思います。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございましたm(__)m
【若者の人材育成】
1.近年、経済のグローバル化が進展し、都市間競争が激化
↓そのため、
こうした状況下において、若く有能な人材を育成していくことは重要
↓一方で、
若者の完全失業率は他世代のそれと比べて高く、上昇傾向にある
↓さらには、
将来への不安から「安定志向」「内向き志向」に流れる若者の増加が指摘される
↓すなわち、
若者の活力が失われている
↓思うに、
こうした状況を放置すれば、日本の競争力が失われるおそれがある
↓この点、
東京都には多くの産業や教育機関が立地しており、
都の活力を維持・発展させるためには、
若者の活力を取り戻し、優秀な人材へと育成してくことは重要
↓では、
2.若者の人材育成につき、東京都はいかなる対策を講じるべきか
↓この前提として、
若者を取り巻く環境について、都が抱える課題を検討する必要がある
↓この点、
若者の就職難の背景には、
将来に対する意識が希薄なまま進学や就職をする者の増加や、
コミュ能力などの職業人として必要な基本的な能力の低下等がある
↓すなわち、
「①若者の社会的・職業的自立」が課題
↓一方で、
すべての若者がこのような理由から就職できないわけではなく、
他の理由による場合もある
↓とりわけ、
近年では働き方が多様化する中で、非正規雇用の比率が増加
↓さらには、
長引くデフレ不況から、企業は正規雇用を減らしている
↓その結果、
正規雇用を臨んでいても、やむを得ず非正規雇用となっている若者も多い
↓そこで、
「②正社員を目指す若者に対する支援」が課題
↓思うに、
こうした課題に取組むことで、上述の問題が解決される
↓そこで、
以下では、これらの課題を踏まえつつ、具体的な対策について検討
↓まず、
3.「①若者の社会的・職業的自立」について
↓この点、
将来に対する意識を持たせ、職業人としての基本的な能力を
身につけさせるためには、教育という観点が重要となる
↓すなわち、
(1)キャリア教育の充実が重要
↓具体的には、
学校教育の一環として社会や職業現場を体験できる学習や、
学生の自主的な活動を支援することで、自立した人材を育成
↓この点、
都では、海外留学や武者修行をしようとする若者を支援する目的で、
「かわいい子には旅させよプロジェクト」を実施
↓そこで、
こうした取組をより推進する必要がある
↓次に、
「②正社員を目指す若者に対する支援」について
↓この点、
若者の非正規化や失業の背景には、
企業の労働需要が低下していることが挙げられる
↓そこで、
これらを解消するためには、雇用機会を拡大させる必要がある
↓この点に関して、
近年では、高齢化社会や環境・エネルギー問題に対する意識の高まり
↓その結果、
医療・介護や環境分野を扱う企業の成長が期待されている
↓そこで、
こうした今後成長が見込める産業を支援することで、
(2)雇用の拡大を図ることが重要
↓具体的には、
技術開発の支援(資金面、情報面等)を通じて既存の企業を支援するとともに、
新たな企業が参入しやすい環境を整備する
↓この点、
都では、こうした産業を「創造的都市型産業」と位置付けて、重点的に支援
↓そこで、
こうした取組をより推進する必要がある
↓なお、
若者の「安定志向」「内向き志向」の背景には、将来に対する不安感がある
↓すなわち、
不安要素が多い中で、リスクを負って挑戦することは非常に困難
↓そこで、
こうした状況を解消するためには、
(3)失敗しても再挑戦できる環境の整備、すなわちセーフティネットの充実も重要
↓この点、
都では、「東京しごとセンター」において手厚い就労支援を実施するととも、
「若年者緊急就職サポート事業」によって、中小企業とのマッチングを支援
↓さらには、
住宅相談や生活資金貸付などによって不安定就労者の社会的自立を支援する
「TOKYOチャレンジネット」を開設
↓そこで、
こうした取組をより推進する必要がある
↓このように、
4.(1)(2)(3)の取組みを通じて、若者の自立を支え、
社会で活躍できる優秀な人材へと育成することが重要
↓その結果、
世界的な都市間競争の中においても、
都の活力を維持・発展することが可能となる 以上
※以下では、東京都Ⅰ類B事務(従来方式)における教養論文試験の形式で書いてみます。問題は、都の採用HPにアップされているサンプルを使いました。
↓↓↓(問題文を確認)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/11/DATA/20mbu302.pdf
【観光振興】
(1)近年、経済のグローバル化により都市間競争が激化
↓とりわけ、
こうした中で観光は成長産業として大きく期待され、
各国で様々な外国人誘致活動が展開
↓この点、
東京都も、世界的な観光地の一つであり、観光による経済的効果は大きい
↓しかしながら、
表①によれば、主要都市の中でも、外国人旅行客の人数は少なく、
同じアジアの都市である香港と比べても2分の1以下
↓したがって、
外国人旅行者数の増加は喫緊の課題
↓また、
表②より、都への訪問目的のうち、もっとも多い回答は「買い物」
↓たしかに、
日本製品に対する海外からの信用は高く、それゆえ「買い物」は
都への観光としても魅力の一つ
↓しかし、
経済のグローバル化が進展する中、
魅力が「買い物」だけでは勝負できない
↓すなわち、
日本独自の文化・伝統などの観光資源によって、
他国の観光産業との差別化を図ることが課題
↓では、
(2)こうした課題を克服し、都の観光産業を成長させるためには、
都はいかなる対策を講じるべきか
↓思うに、
今後の観光戦略として、上述のとおり、
日本の文化・伝統を海外にアピールする必要がある
↓この点、
都においては、伝統芸能や食、近代的な都市の街並みや豊かな自然など、
多くの魅力的な観光資源が存在
↓これは、
表②からも、読み取ることができる
↓しかしながら、
「買い物」が上位を占めている結果
↓すなわち、
このことは、他の魅力的な観光資源の価値が十分に理解されていな可能性がある
↓そこで、
文化・伝統などの観光資源の魅力を海外へ発信する取組みが重要
↓具体的には、
近年、急速に普及しているソーシャルメディア等を活用し、
個人の「口コミ」により都の魅力を発信
↓また、
国際的なイベントを都に誘致することで、多くの外国人が都の魅力を知る
きっかけを作ることも必要
↓さらに、
イベント誘致に関しては、観光者による大幅な消費が期待され、
経済的効果も大きい
↓この点、
都では、各局がツイッタ―を活用し、様々な広報活動を実施
↓また、
2020年開催のオリンピック・パラリンピック誘致に取組むとともに、
MICE誘致体制を強化し、活発な誘致活動を展開
↓そこで、
これらの取組みをより推進する必要がある
↓もっとも、
国際的なイベントを誘致するためには、
先進都市としての利便性や安全性を強化する必要がある
↓具体的には、
羽田空港における国際線発着枠の拡大により、国際ハブ空港としての機能向上や
外国語による標識・案内所の拡充などの取組が重要
↓また、
災害に対する不安感が都への観光に対する障害となっている場合もある
↓そこで、
災害に強いまちづくりも重要
↓この点、
都では、災害に強い都市の実現のため、建物の耐震化や木造密集地域への対応、
さらには自立・分散型エネルギーの実現に向けて取組んでいる
↓そこで、
こうした取組みをより推進する必要がある
↓このように、
上述の取組によって、
外国人に対して都の観光資源の魅力を伝えることが可能となるとともに、
それが都への観光産業に結びつき、外国人旅行者数の増加が期待される
↓その結果、
都市間競争が激化する中においても、
都の活力の維持・発展が実現される 以上
**アドバイザーからのお願い**
「役にたった」、「面白かった!」という記事があったら下の拍手おしてね^^
私たちのモチベーションアップだったりします(笑)
アドバイザーの真夜中でダンディーです。
さて、今回のテーマは【教養論文の勉強法(応用編)】です。
以前書いた記事【基礎編】で、意外にもたくさんの拍手を頂いたので、
今回も最後に答案構成例を作りたいと思います。
※今回は2つの答案構成例を載せます。
そのうちの一つは、東京都Ⅰ類B(従来方式)における新たな教養論文試験の形式で
書いてみます。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
それでは早速、中身に入っていきたいと思いますが、
その前に、以下の記事を再度確認してください。
↓↓↓(それぞれクリックすると該当記事が見れます。)
【教養論文の勉強法(入門編)】
【教養論文の勉強法(基礎編)】
これから書く内容は、【入門編】【基礎編】でお伝えした内容を前提として書いていきます。
なので、その点を注意して読んでいただければと思います。
それでは、今回の応用編の内容が何なのかと言うと、
【入門編】でお伝えした「論文の型」の中でもっとも重要な部分となる
「3.対策を書く」の中でどんな対策を書くべきか
についてお伝えしたいと思っています。
ところで、【入門編】でもお伝えした通り、
教養論文を書く際の基本的な姿勢は、
「論文の型通りに書く」ですが、
その「論文の型」の中で、
1.背景・問題点を書く → 2.課題を書く
という流れがあります。
ここで、なぜこの流れで書く必要があるのかを一度考えてみたいと思います。
この点、教養論文の試験において、たいていの問題文のパターンは、
「現在、~という問題が生じているが、これに対して行政はどのような取組をすべきか、あなたの考えを述べよ」
みたいなものですよね。
つまり、教養論文試験で取り扱われる内容の多くは、
行政が抱えている問題に対する解決策を書け
というものになります。
そこで、教養論文では行政が取組むべき対策を考える必要があるのですが、
対策というのは、現状の分析なくしては絶対に出てきません。
これ、当たり前のことですよね。
つまり、日常生活や仕事の中においても、
何か問題が起こった際に、それをどのように解決すべきかと言えば、
問題を生じさせている要因をつぶす
ですよね。
なので、問題が起こったときに、ただやみくもに解決策を出すのではなく、
問題が起こった要因が何なのかをしっかり考えて分析した上で、
ピンポイントで解決策を講じるべきとなるわけです。
したがって、教養論文においても、
文章のはじめの方で、
1.現在生じている問題を書いて、
↓その次に、
2.問題を生じさせている要因を書く
という作業が必要となるわけです。
こうした理由から私は、
1.現状・問題点を書く → 2.課題を書く
という流れで書くべきだと思っているわけです。
このように考えると、
教養論文の肝である「対策」をしっかり書くためには、
その前提として、
「しっかりとした現状分析」が重要になる
ということになります。
前置きが長くなりました(^_^;)
ここから本題に入ります。
では、「現状分析」をしたあとにいよいよ「対策」を検討することとなりますが、
ここで問題となるのは、
対策を自分自身で考えるべきか?
(=新しいアイディアを出すべきか?)
ということです。
これについては、結論から言うと、
自分でゼロから対策を考えるのは限界がある
と私は思います。
つまり、このやり方を取るべきではないと思います。
なぜかと言えば、
理由① 行政実務の素人に新しいアイディアなんか出てこない
⇒ 考える時間が無駄
理由② 仮に新しいアイディアが思いついても、つっこみどころ満載の可能性大
⇒ 答案に書くにはリスクが大きい
では、どうやって対策を書くべきか??
この結論として、私は、
志望自治体の実際の取組を自分の対策にしてしまう
という方法がいいのではないかと思っています。
なぜかと言えば、
理由① 実際の取組を調べればよいので自分で考えなくてすむ
⇒ 時間の節約
理由② 現にある取組なので、つっこみどころが少ない
⇒ 答案に書いてもリスクは小さい
では、こうしたやり方で対策を考えたとして、
次にそれを論文にどう表現すべきかが問題となります。
この点に関しては、こんな感じで表現するとよいと思います。
パターン①
~という理由から「A」という対策が重要
↓この点、
〇〇自治体では「A´」という取組をしている
↓そこで、
この「A´」をより推進すべきと考える
ちょっと分かりにくいと思うので解説すると、
この表現で言いたいことは、
「自分は~という理由からAという対策が重要と考えていたところ、
〇〇自治体の政策を調べてたらAに非常に近いA´という取組を見つけた。
そこで、このA´という取組をやれば問題が解決されるはずなので、
このA´をより推進すべきと考えるようになった」
という感じです。
そして、この考え方を少し応用するとこんな感じにもできます。
パターン②
~という理由から「A」という対策が重要
↓この点、
〇〇自治体では「A´」という取組をしており、一定の効果を上げている
↓しかし、
「A´」を「A」により近付けることができればより効果が出るはず
↓そこで、
「A´」の●●部分を改善する必要があると考える
これはつまり、
既存の政策を少し改善した案
を自分の対策(主張)としてしまうという方法です。
ここで、
「既存の政策を少し改善した案」
ってどこかで聞いたことないですかね?
お気づきの受験生もいるかと思いますが、
これは行政学の中で勉強する
インクリメンタリズム
を意識しています。
もっとも、このパターン②の考え方は教養論文でも使えますが、
面接のときに「公務員になって何がしたいのか」を考える際にも
結構使えます。
つまり、「何がしたいのか」を具体化するときに、
「新しいアイディア」は考えてもなかなか出てこないので、
「既存の政策を少し改善した案」を自分のやりたいことにしてしまうのです。
たしかに、この「既存の政策を少し改善した案」は、
「既存の政策」をベースにしている点でオリジナリティに欠ける印象はありますが、
「少し改善」という部分は立派な自分自身の意見になっているので、
十分オリジナリティ溢れる「やりたいこと」になると思いますよ。
話が面接の方へそれてしまいましたが、
ここで1つ言えることは、
教養論文の勉強が面接で役立つ
ということです。
また、上記のように、
既存の政策を自分の意見としてしまう方法
を採用する場合には、当然に
志望自治体の既存の政策
を知っておく必要があります。
さらに言えば、前述の通り、
教養論文で対策を書く前には、
しっかりとした現状分析が必要になります。
それゆえ、
志望自治体が抱える問題とその課題(要因)
をも知っておく必要があります。
では、それらをどのようにして調べればよいかと言えば、
自治体のHPや基本計画的なものを読む
ということとなります。
これについては、前回担当した記事(←クリック)の中でも
少しだけ触れているので、よかったら参照してみてください。
なお、東京都Ⅰ類B試験(従来方式)の教養論文
の出題形式が今年から変更になりました。
具体的には、
複数の資料(グラフ等)が与えられ、それを読み取り、
(1)何が課題となっていて
(2)それに対して都は何をすべきか
を書くみたいな内容となるようです。
※詳しくは都庁の採用HPで確認してください。
↓↓↓(都の教養論文のサンプルのページに飛びます)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/11/DATA/20mbu302.pdf
この出題形式、そもそも従来実施されてきたⅠ類Aの教養論文試験と同じなんですよね。
(しかも、都の採用HPでアップされている従来方式の問題例は、
実は、平成22年度におけるⅠ類Aの教養論文試験の問題
にある図表とほぼ同じものが使われています。)
そこで、この出題形式をどのように対策すべきかが問題となるのですが、
私自身の考えとしては、
やはり「2020年の東京」を読み込む
しかないと思っています。
その理由としては、上述の通り、
教養論文の内容は「行政が抱えている課題に対する解決策を書け」という形式で来るので、
その意味するところはすなわち、
出題テーマは東京都が抱えている課題に関すること
の可能性が非常に高いということになります。
したがって、
東京都の抱えている課題とそれに対する都の取組が満載の「2020年の東京」を読み込んでいれば、
おそらく試験当日、問題文を読んで「?」になることはほぼ回避できるはずです。
また、資料の読み取りについても、
東京都の課題について熟知していれば、
与えられた資料が意味するところ(何を伝えたいの)
をおおよそ推測することは可能になると思います。
さらに、この資料に関して言えば、
過去のⅠ類Aの教養論文において出された資料をみると、
2020年の東京に載っている資料とほぼ同じものが使われていたりすることに気付きます。(もちろんすべてではありませんが…)
こうしたことから見ても、
2020年の東京を読む込んでおくことは重要な感じがします。
で、この資料の読み取りができれば、
あとは通常の教養論文の書き方でほぼOKだと思いますので、
とくに問題なさそうです。
また、
東京都Ⅰ類B(新方式)のプレゼンテーション・シート
の作成についても、上記に書いた内容でおそらく対応できると思います。
なぜなら、
プレゼンテーション・シートに書く内容は、
都の発表によると、
グラフ等から読み取れる
①都の現状
②都の課題
③都が行うべき解決策
ということなので、
これはまさに教養論文の考え方で対応できるのです。
※詳しい内容は都の採用HPで確認してください。
↓↓↓(都のプレゼンテーション・シートのサンプルのページに飛びます)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/11/DATA/20mbu301.pdf
とまぁ、長々と書いてしまいましたが、
教養論文について書くのも最後だと思いますので、
お伝えしたいことは詰められるだけ詰めました(^_^;)
最後に、
これまで書いてきたことを意識して、以下に答案構成例を書いてみます。
【入門編】【基礎編】【応用編】でお伝えした内容を踏まえた上で
目を通していただければと思います。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございましたm(__)m
【若者の人材育成】
1.近年、経済のグローバル化が進展し、都市間競争が激化
↓そのため、
こうした状況下において、若く有能な人材を育成していくことは重要
↓一方で、
若者の完全失業率は他世代のそれと比べて高く、上昇傾向にある
↓さらには、
将来への不安から「安定志向」「内向き志向」に流れる若者の増加が指摘される
↓すなわち、
若者の活力が失われている
↓思うに、
こうした状況を放置すれば、日本の競争力が失われるおそれがある
↓この点、
東京都には多くの産業や教育機関が立地しており、
都の活力を維持・発展させるためには、
若者の活力を取り戻し、優秀な人材へと育成してくことは重要
↓では、
2.若者の人材育成につき、東京都はいかなる対策を講じるべきか
↓この前提として、
若者を取り巻く環境について、都が抱える課題を検討する必要がある
↓この点、
若者の就職難の背景には、
将来に対する意識が希薄なまま進学や就職をする者の増加や、
コミュ能力などの職業人として必要な基本的な能力の低下等がある
↓すなわち、
「①若者の社会的・職業的自立」が課題
↓一方で、
すべての若者がこのような理由から就職できないわけではなく、
他の理由による場合もある
↓とりわけ、
近年では働き方が多様化する中で、非正規雇用の比率が増加
↓さらには、
長引くデフレ不況から、企業は正規雇用を減らしている
↓その結果、
正規雇用を臨んでいても、やむを得ず非正規雇用となっている若者も多い
↓そこで、
「②正社員を目指す若者に対する支援」が課題
↓思うに、
こうした課題に取組むことで、上述の問題が解決される
↓そこで、
以下では、これらの課題を踏まえつつ、具体的な対策について検討
↓まず、
3.「①若者の社会的・職業的自立」について
↓この点、
将来に対する意識を持たせ、職業人としての基本的な能力を
身につけさせるためには、教育という観点が重要となる
↓すなわち、
(1)キャリア教育の充実が重要
↓具体的には、
学校教育の一環として社会や職業現場を体験できる学習や、
学生の自主的な活動を支援することで、自立した人材を育成
↓この点、
都では、海外留学や武者修行をしようとする若者を支援する目的で、
「かわいい子には旅させよプロジェクト」を実施
↓そこで、
こうした取組をより推進する必要がある
↓次に、
「②正社員を目指す若者に対する支援」について
↓この点、
若者の非正規化や失業の背景には、
企業の労働需要が低下していることが挙げられる
↓そこで、
これらを解消するためには、雇用機会を拡大させる必要がある
↓この点に関して、
近年では、高齢化社会や環境・エネルギー問題に対する意識の高まり
↓その結果、
医療・介護や環境分野を扱う企業の成長が期待されている
↓そこで、
こうした今後成長が見込める産業を支援することで、
(2)雇用の拡大を図ることが重要
↓具体的には、
技術開発の支援(資金面、情報面等)を通じて既存の企業を支援するとともに、
新たな企業が参入しやすい環境を整備する
↓この点、
都では、こうした産業を「創造的都市型産業」と位置付けて、重点的に支援
↓そこで、
こうした取組をより推進する必要がある
↓なお、
若者の「安定志向」「内向き志向」の背景には、将来に対する不安感がある
↓すなわち、
不安要素が多い中で、リスクを負って挑戦することは非常に困難
↓そこで、
こうした状況を解消するためには、
(3)失敗しても再挑戦できる環境の整備、すなわちセーフティネットの充実も重要
↓この点、
都では、「東京しごとセンター」において手厚い就労支援を実施するととも、
「若年者緊急就職サポート事業」によって、中小企業とのマッチングを支援
↓さらには、
住宅相談や生活資金貸付などによって不安定就労者の社会的自立を支援する
「TOKYOチャレンジネット」を開設
↓そこで、
こうした取組をより推進する必要がある
↓このように、
4.(1)(2)(3)の取組みを通じて、若者の自立を支え、
社会で活躍できる優秀な人材へと育成することが重要
↓その結果、
世界的な都市間競争の中においても、
都の活力を維持・発展することが可能となる 以上
※以下では、東京都Ⅰ類B事務(従来方式)における教養論文試験の形式で書いてみます。問題は、都の採用HPにアップされているサンプルを使いました。
↓↓↓(問題文を確認)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/11/DATA/20mbu302.pdf
【観光振興】
(1)近年、経済のグローバル化により都市間競争が激化
↓とりわけ、
こうした中で観光は成長産業として大きく期待され、
各国で様々な外国人誘致活動が展開
↓この点、
東京都も、世界的な観光地の一つであり、観光による経済的効果は大きい
↓しかしながら、
表①によれば、主要都市の中でも、外国人旅行客の人数は少なく、
同じアジアの都市である香港と比べても2分の1以下
↓したがって、
外国人旅行者数の増加は喫緊の課題
↓また、
表②より、都への訪問目的のうち、もっとも多い回答は「買い物」
↓たしかに、
日本製品に対する海外からの信用は高く、それゆえ「買い物」は
都への観光としても魅力の一つ
↓しかし、
経済のグローバル化が進展する中、
魅力が「買い物」だけでは勝負できない
↓すなわち、
日本独自の文化・伝統などの観光資源によって、
他国の観光産業との差別化を図ることが課題
↓では、
(2)こうした課題を克服し、都の観光産業を成長させるためには、
都はいかなる対策を講じるべきか
↓思うに、
今後の観光戦略として、上述のとおり、
日本の文化・伝統を海外にアピールする必要がある
↓この点、
都においては、伝統芸能や食、近代的な都市の街並みや豊かな自然など、
多くの魅力的な観光資源が存在
↓これは、
表②からも、読み取ることができる
↓しかしながら、
「買い物」が上位を占めている結果
↓すなわち、
このことは、他の魅力的な観光資源の価値が十分に理解されていな可能性がある
↓そこで、
文化・伝統などの観光資源の魅力を海外へ発信する取組みが重要
↓具体的には、
近年、急速に普及しているソーシャルメディア等を活用し、
個人の「口コミ」により都の魅力を発信
↓また、
国際的なイベントを都に誘致することで、多くの外国人が都の魅力を知る
きっかけを作ることも必要
↓さらに、
イベント誘致に関しては、観光者による大幅な消費が期待され、
経済的効果も大きい
↓この点、
都では、各局がツイッタ―を活用し、様々な広報活動を実施
↓また、
2020年開催のオリンピック・パラリンピック誘致に取組むとともに、
MICE誘致体制を強化し、活発な誘致活動を展開
↓そこで、
これらの取組みをより推進する必要がある
↓もっとも、
国際的なイベントを誘致するためには、
先進都市としての利便性や安全性を強化する必要がある
↓具体的には、
羽田空港における国際線発着枠の拡大により、国際ハブ空港としての機能向上や
外国語による標識・案内所の拡充などの取組が重要
↓また、
災害に対する不安感が都への観光に対する障害となっている場合もある
↓そこで、
災害に強いまちづくりも重要
↓この点、
都では、災害に強い都市の実現のため、建物の耐震化や木造密集地域への対応、
さらには自立・分散型エネルギーの実現に向けて取組んでいる
↓そこで、
こうした取組みをより推進する必要がある
↓このように、
上述の取組によって、
外国人に対して都の観光資源の魅力を伝えることが可能となるとともに、
それが都への観光産業に結びつき、外国人旅行者数の増加が期待される
↓その結果、
都市間競争が激化する中においても、
都の活力の維持・発展が実現される 以上
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