警部補を公開手配 発生1週間、情報募る《嬬恋の事後強盗》
宮腰大容疑者
宮腰容疑者が使用している可能性がある軽乗用車
地図

 群馬県嬬恋村大笹の商店で2日未明に起きた事後強盗事件で、県警は8日、指名手配している県警捜査2課の警部補について高崎市新保町、宮腰大(だい)容疑者(37)と発表、本人の写真と逃走に使った可能性がある軽乗用車の画像を公表した。発生から1週間近くたっても逮捕に至らないため、広く一般から情報を募る公開捜査に踏み切ったとしている。県警が宮腰容疑者の自宅を家宅捜索していたことも捜査関係者への取材で分かった。

 群馬県警によると2日深夜に強盗容疑で逮捕状を取り、他の都道府県警に逮捕や逮捕後の身柄の引き渡しを求める指名手配を続けている。これまで氏名を公開しなかった理由について、前原哲也刑事部長は「名前が報道されることで立ち回り先に現れなくなる恐れがあった」と説明した。

 事件後に現場近くに残されていた車と、車内にあった携帯電話や財布などから宮腰容疑者が事件に関与した疑いが強まったと判断したという。

 軽乗用車は2日に現場近くの民家でなくなり、宮腰容疑者が逃走に使ったとみられる。この車は同日午前7時10分ごろに松本市の市街地で確認され、同8時55分ごろには長野、岐阜県境の有料道路の料金所を通過していた。午後3時過ぎに富山市のコンビニエンスストアの防犯カメラが特徴が似た車を捉えていたが、以降は足取りをつかめていないという。これまでに関係先に宮腰容疑者から連絡はないとしている。

 一方、捜査関係者によると県警は8日までに宮腰容疑者の自宅である県警の寮を家宅捜索した。今回の事件現場以外での被害品がないかなどを含め、押収品を精査するとみられる。

 捜査関係者によると、宮腰容疑者は捜査2課の政治家や公務員の贈収賄事件を担当する班に係長として所属。知能犯捜査の中枢にいた現職警察官が強盗容疑で指名手配される異常事態に、前原刑事部長は「本当に遺憾に思う。一刻も早く摘発する」と話した。
 事件は2日午前2時すぎに発生。商店にガラスを割って侵入したとみられる男が裏口から出た際、駆け付けた警察官を押し倒し、店内から盗んだとみられる現金約1万円とビール券などを残して逃走した。

◎事件当日「実家帰る」 警部補

 嬬恋村大笹の商店で2日未明に起きた事後強盗事件の容疑者として県警が公開捜査に踏み切った県警捜査2課の警部補、宮腰大容疑者(37)は2003年4月に県巡査を拝命。藤岡や高崎、太田などの各署に勤務し、12年3月からの2年間は事件現場に近い長野原署嬬恋交番に所長として勤務していた。

 県警によると、勤務態度に目立った問題点はなく、借金の有無などについては「捜査中」とした。事件のあった2日は休暇を届け出ており、「家族と(富山の)実家に帰る」などと話していたという。拳銃と警察手帳は所持していない。

 身長は172センチで中肉。事件当時は黒色ニット帽をかぶり、上下ともに黒っぽい服装をしていた。現場近くの民家から盗まれ、逃走に使われている可能性がある車はスズキの白いジムニーで、2ドア、黒色ルーフキャリアを装着していることが特徴。ナンバーは「群馬581 つ 751」。

 宮腰容疑者に関わる情報の提供は長野原署(電話0279・82・0110)へ。

関連記事