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イラン核合意、米国離脱の影響に備える湾岸諸国
【5月10日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がイラン核合意からの離脱を発表したことを受けて、中東の湾岸諸国は9日、経済や安全保障面における影響への対策を講じ始めた。
トランプ氏は8日、JCPOA(包括的共同行動計画、核合意の正式名称)からの離脱を強行し、イラン政府に対する主要な制裁の緩和をやめることを明らかにした。同国の未来を不安に陥れる決断だ。
サウジ政府は、トランプ氏のこの発表を歓迎。その後、イランが核兵器の開発をするのであれば、サウジもそれに続くことを明言した。米CNNテレビの取材に応じたサウジのアデル・ジュベイル(Adel al-Jubeir)外相は、サウジも自ら核爆弾を製造するのかという問いに対し、「イランが核能力を得るのであれば、わが国も同じことをするためにあらゆる手を尽くす」と述べた。
■「新たな冷戦の舞台」
湾岸諸国は今後しばらくの間、米国の経済制裁に対するロシアや中国、欧州の反応を注視することになる。
シンガポールの「S・ラジャラトナム国際研究院(S. Rajaratnam School of International Studies)」の中東地域アナリスト、ジェームズ・ドーシー(James Dorsey)氏は、どんな経済的局面においても、湾岸諸国は対応の検討を迫られるだろうと話す。
サウジでは、王位継承者のムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子が脱石油時代に向けた改革計画「ビジョン2030(Vision 2030)」において国外からの投資を呼び込んでいる。そうしたこともあり、同案件をめぐってはトランプ氏と完全に歩調を合わせることはしないとみられている。
米の同盟国は、制裁による影響を避けるための方策を模索している。その一例がオマーンだ。オマーンでは、イラン産の天然ガスを輸入するための海底パイプラインの建設計画がある。
問題がセンシティブな性質であることを理由に、匿名でAFPの取材に応じたオマーン人アナリストは、「この契約には、アメリカの制裁によって生じる恐れのある負債や訴訟から保護されるとした内容が含まれている」ことを明らかにした。
このアナリストによると、オマーン政府はさまざまな事態に対応できる危機管理計画を作成しており、一部湾岸諸国による経済的な圧力についても想定済みだという。
そして、中東地域に新たな亀裂が生じれば、経済的野心を抱く中国などが、その影響力の拡大を試みることが考えられるが、懸念すべきは、ペルシャ湾(アラビア湾)が「新たな冷戦の舞台」になることだと指摘した。