記事詳細
大阪三大祭り「愛染祭」規模大幅縮小 若者の迷惑行為続き「苦渋の決断」露店見送り、愛染娘募集なし…
更新毎年6月30日からの3日間に開催されている大阪三大夏祭りの一つ「愛染祭(あいぜんまつり)」が、法要などの一部行事を除き、大幅縮小することが8日、関係者への取材で分かった。毎年道路に立ち並ぶ露店は、全店出店を見送り。名物行事「宝恵(ほえ)かご行列」に乗る愛染娘の公募も行わないという。祭りに訪れる一部の若者らが近隣住民への迷惑行為を繰り返していることに対し、主催者側で対応することが困難になったための措置で、主催者側は「苦渋の決断。縮小を再生への一歩にしたい」と話している。
聖徳太子が始めたとされる日本最古の夏祭りが…
聖徳太子が建立した四天王寺の支院・愛染堂勝鬘院(しょうまんいん)(大阪市天王寺区)で行われる愛染祭は、大阪の夏の風物詩として知られ、日本最古の夏祭りともいわれている。毎年6月30日から3日間、延べ約15万~20万人が縁結びと商売繁盛などを願って詰めかける。
祭りの実行委員会などによると、近年の愛染祭では、民家や露店が並ぶ谷町筋などにごみが散乱することが常態化。さらに、暴走族が祭りに集まるなど、騒音被害も深刻という。
こうした状況は大阪府警も問題視しており、実行委員会などに改善を求めるよう指導が行われていた。ただ、主催者側では警備員の増員など、十分な改善策を実行できるめどがたたず、毎年約200店ほど出店される露店の営業をすべて見送ることにしたという。
また、恒例行事の「宝恵かご行列」も縮小することに。例年の行列は、JR天王寺駅周辺から谷町筋を通り、約1・5キロ離れた境内を目指すが、今年は公道に出ず、境内のみを練り歩く予定で、宝恵かご行列に乗り込む愛染娘の募集も行わない。
一方、夏越しの祓え(なごしのはらえ)の大法要、秘仏御開帳は例年通り行う。同院の山岡武明(ぶみょう)住職は「苦渋の決断で縮小を決めた。一度、大幅に縮小しないと今の状況が改善できないのではないかと思えるほど、深刻な状況になっていた。この縮小を祭り再生の一歩にしたい」と語った。
ごみ散乱、住民の苦情急増
「怖いイメージの祭りになってしまった」。愛染祭を主催する愛染堂勝鬘院の山岡武明住職はこう嘆く。
愛染祭は、同院境内や大阪市天王寺区の主要道・谷町筋沿いが会場。周辺には民家も多く、最近はマンションも増えている。山岡住職によると、地元住民からの苦情がここ5年ほどで急増。「マンションに立ち小便をされた」「散乱するごみをどうにかしてほしい」など、祭りに訪れた一部の若者らへの苦情が警察や寺側に多数寄せられるようになったという。
境内に入らず周辺で暴れる若者たち
終電がなくなる深夜まで若者らが最寄り駅や歩道にたむろ。参拝客らに見せつけるように、谷町筋に暴走族が集まるのも恒例になってしまっていた。
過去には花火を行う集団や、道路でキャッチボールをする人まで。祭りの実行委員会メンバーの男性は「昔と違い、愛染祭の雰囲気がおかしくなっている。暴れている若者たちは境内すら訪れず、周囲で騒いでいるだけの人も多い」と憤る。