Milan Design Week: Sony Shows “Hidden Senses” Installation

ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー

インテリアデザインの見本市「ミラノ・デザインウィーク」が4月17日〜22日にかけて開催された。ソニーが「隠された感覚(Hidden Senses)」と題したインスタレーションで参加。未来の生活を垣間見せるユニークな展示が話題をよんだ。現地取材をした小川フミオがレポートする。

文・小川フミオ
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー

額のなかの絵のように見えるがじつは映像という「ABSTRACT ELECTRONICS」

ソニーの挑戦

ソニーが8年ぶりにミラノ・デザインウィークに戻ってきた。トルトーナ地区でインスタレーションを展示。デジタル技術と日常生活の融合の提案がおもしろかった。「隠された感覚(Hidden Senses)」と題した展示について、ソニーは「当たり前の日常に非日常の驚きを」と謳う。

ヴィア・サヴォナにある広いスパツィオゼーニャを使ってのインスタレーションは、5つの展示から構成されていた。その名も①「ECHO」②「UNDER THE LIGHT」③「TACTILE OBJECTS」④「ABSTRACT ELECTRONICS」そして⑤「DAY & NIGHT」。5つの“部屋”を順番に回りながら、ソニー(とソニーデザイン)による新しい技術と、それを使ってのライフシーンが体験できるようになっているのだ。

①「ECHO」(エコー)はついたての間を歩く。そしてひとつを軽く叩いてみるように係のひとにうながされる。自分の左側にあるついたてを叩くと、なんと右から音が聞こえるのだ。そのインスタレーションについては「歩く、触れるといった日常の行動が、聞き慣れた音としてフィードバック」されると説明される。

②「UNDER THE LIGHT」(アンダーザライト)は「情報が光と影を通して視覚化」されるというインスタレーションだ。壁面に近づくと自分のものとおぼしき影が映る。「手をあげてみてください」と言われ、ためしに左手をあげると、影は右手をあげる。これは見ているのは本当の影でなく、テクノロジーを介した画像なのだと知れる。となりにある円形の額は、近づくと中の抽象画が動きだす。

③「TACTILE OBJECTS」(タクタイルオブジェクツ)とは触れられる物体という意味だろうか。台の上に置かれた物体を持ち上げたりするだけで周囲の照明が変化する。コントローラーというと壁面のダイヤルや、テレビの“リモコン”が思いつくが、従来とはまったく違う形状で実現できる技術なのだ。

④「ABSTRACT ELECTRONICS」(アブストラクト・エレクトロニクス)。抽象的な電子技術と題された“部屋”では、ひとに反応するソファや照明が置かれる。スイングするソファに腰を下ろし揺すると砂のような音がする。早く動かすと音のピッチも速くなる。まるでなかに砂が入っているように感じるが、実際は違う。

⑤最後にたどりつくのは「DAY & NIGHT」(デイアンドナイト)。もっとも大きなスペースを使っている。そこはいわばそれまで見てきた4つのテーマの総決算。玄関から入り居間でくつろぐまでの流れをなぞりながら、各所で音や光や触覚に訴えかける技術が体験できる。たとえば玄関をイメージしたスペースを通過しようとすると、壁面にひとの黒いシルエットらしきものがプロジェクターで投影される。説明によるとコンピューターがそこを通過した家族構成員を記録していて、誰が帰宅したか、あるいは外出したかがイメージで把握できるというのだ。また、テーブルに着席すると、それまで中央部分を照らしていたライトが、自分の前を照らすように移動するなどさまざまな仕掛けがあった。

1 14
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー

ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
「TACTILE OBJECTS」ではたとえば傾けると水が流れ出るような音をたてるピッチャー(型のプロダクト)など人間の感覚を活かす技術の展示
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
影が反対の手をあげる「UNDER THE LIGHT」は“影のようなもの”を投影する技術を見せてくれた
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
「UNDER THE LIGHT」は絵のように見える画像を変化させる技術によるもの
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
揺らすと内部に砂が入っているように聞こえる「ABSTRACT ELECTRONICS」
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
人工的に影のようなシルエットを壁に投影して誰がそこを通ったか表示も出来る技術をみせてくれた「ABSTRACT ELECTRONICS」
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
自分で照明を動かすのではなく、明かりがひとを追いかけてくれる「ABSTRACT ELECTRONICS」
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
ひとが手を近づけるとこのように影が動く「ABSTRACT ELECTRONICS」(展示は最後の「DAY & NIGHT」で)
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
「TACTILE OBJECTS」はモノの形と機能を新しく結びつけた「手」の技術によるもの
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
モニターのコントローラーとして立方体が提案されていて左右に回して画面をコントロールする(展示は最後の「DAY & NIGHT」で)
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
虚像をまるでリアルな画像のように使ったりする技術を集めた「UNDER THE LIGHT」
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
一見なんの変哲もないリビングルームだが、4つの技術の総決算でユニークな体験を提供してくれた「DAY & NIGHT」というインスタレーション
ミラノ・デザインウィーク2018詳報──五感に訴えるソニーのテクノロジー
新技術を暮らしに結びつけたソニーの「Hidden Senses」
Recommended Posts
あわせて読みたい
チャールズ&レイ・イームズやジャン・プルーヴェの逸話を楽しむ──Vitraの名作チェア8選の巡回展が上陸
nendoがミラノ・デザインウィーク登場──白と黒が生活をカラフルにする
nendoがミラノ・デザインウィーク登場──白と黒が生活をカラフルにする
ラグ & ボーンのデザイナーが手がけるブラックアウトされたライカ M が登場!
ラグ & ボーンのデザイナーが手がけるブラックアウトされたライカ M が登場!
新作ロードバイク220万円なり!──ビアンキとフェラーリのコラボ自転車
新作ロードバイク220万円なり!──ビアンキとフェラーリのコラボ自転車
ロエベが選出した工芸作品が日本で一挙展示──ロエベ クラフト プライズ
日本料理「青柳」へ弟子入り!Part3【肉の焼き方 サーロイン編】 | GQ TASTE
日本料理「青柳」へ弟子入り!Part3【肉の焼き方 サーロイン編】 | GQ TASTE
1 14

「TACTILE OBJECTS」ではたとえば傾けると水が流れ出るような音をたてるピッチャー(型のプロダクト)など人間の感覚を活かす技術の展示
影が反対の手をあげる「UNDER THE LIGHT」は“影のようなもの”を投影する技術を見せてくれた
「UNDER THE LIGHT」は絵のように見える画像を変化させる技術によるもの
揺らすと内部に砂が入っているように聞こえる「ABSTRACT ELECTRONICS」
人工的に影のようなシルエットを壁に投影して誰がそこを通ったか表示も出来る技術をみせてくれた「ABSTRACT ELECTRONICS」
自分で照明を動かすのではなく、明かりがひとを追いかけてくれる「ABSTRACT ELECTRONICS」
ひとが手を近づけるとこのように影が動く「ABSTRACT ELECTRONICS」(展示は最後の「DAY & NIGHT」で)
「TACTILE OBJECTS」はモノの形と機能を新しく結びつけた「手」の技術によるもの
モニターのコントローラーとして立方体が提案されていて左右に回して画面をコントロールする(展示は最後の「DAY & NIGHT」で)
虚像をまるでリアルな画像のように使ったりする技術を集めた「UNDER THE LIGHT」
一見なんの変哲もないリビングルームだが、4つの技術の総決算でユニークな体験を提供してくれた「DAY & NIGHT」というインスタレーション
新技術を暮らしに結びつけたソニーの「Hidden Senses」
Share on:

自然な”仕掛け”

「人や生活に寄り添う、新たなテクノロジーのあり方を提案」するという今回のインスタレーションは、自社の技術の上手なデモストレーションでもあった。ゲーム機のプレイステーションの展示がなかったのが気になり、PR担当に会場で確認すると──。

「ミラノ・デザインウィークは家具や住宅が中心なので、ここではあえて外しました。もちろん親和性はおおいにあります」

そういう答えが返ってきた。1970年代にオーディオが出てきたとき、若者を中心に部屋の概念が変ったことに思い至った。音楽が積極的に部屋に入り、そこはたんに寝たり食事をしたりする場所にとどまらなくなったのだ。ソニーの「Hidden Senses」も同じような可能性を秘めた技術なのではないだろうか。

Share on:
Author:
小川フミオ
Daily Fortune
今日の全体運 NO.1
全体運は快調。髪型を変えたり、普段は着ない色の洋服を着たり、イメージチェンジをしてみましょう。新しいスタイルを取り入れることで、あなたの心もリフレッシュされますよ。
貴方の運勢は?
Recommended
こちらもおすすめ
FASHION
2018.04.27
スタイリングで「ライフスタイルを軽くする」── 快適&スタイリッシュに、爽やかな季節を楽しみたいUNIQLOの15スタイル
PROMOTION
WATCH
2018.04.13
GQとブレゲが共催する、一夜限りの「Gentleman’s Club」に読者35組70名をご招待!
PROMOTION
LIFE
2018.04.13
日本代表バーテンダー・阿部央氏が語る“レガシーカクテル”への想い
PROMOTION
 
Recommended
こちらもおすすめ
GQ & GUCCI present The Performers 〜成し遂げる者たち〜
PROMOTION
CAR
2018.04.24
最高のパパラッチ映え──超猛牛時代の始まり!その名は「ウルス」
PROMOTION
CAR
2018.04.20
いま乗るべきクルマは、“いい時代に生まれた”「ネオヤングタイマー」!
PROMOTION
 
Recommended
こちらもおすすめ
FASHION
2018.04.24
「フルラ」ワールド全開──洒落賢者のスタイリング遊び
PROMOTION
CAR
2018.04.24
最高のパパラッチ映え──超猛牛時代の始まり!その名は「ウルス」
PROMOTION
FASHION
2018.04.24
韓国セレブと「フライノック」──アジア、まるごと震撼!
PROMOTION