ただの自分語り記事。
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恋したい。
すっごく恋がしたい。
いや現在進行形でしていると言ったほうが正しい。
事の発端はアルバイト先での出来事である。
4月になり、私のアルバイト先にも新人が何人か入ってきた。22歳のフリーター♂、23歳の社会人崩れのフリーター♂、23歳なのに二浪と一留でまだ大学2年生の♂etc...
そんなわけのわからない男どもに交じって大学1年生の女の子がいた。
最初は大人しそうな子だなという印象だった。私のバイト先は系列の他の店舗と比べてもかなり忙しいほうで、続くんだろうかと心配だった。これまで何人もの新人がすぐにやめているので不安だった。
そして何日か一緒に仕事をするうちに、ある一つの感情が私の中に生じてきた。
なんか可愛い。
そう、なんか可愛いのだ。
特別容姿が優れている子だというわけではなかった。しかしそのつやつやの黒髪ショート、ぶりっ子と言えばぶりっ子なのかもしれないどことなく可愛らしい言動や仕草に私の心は少しずつ魅了されていった。
少しずつ恋をしたいという衝動が胸に去来しつつあったある日の休憩時間。皆でGWのシフトの話をしていた。店長が出来るだけ皆を出勤させるために予定の有無を聞き出していたのだ。以下、その子のことはMちゃんと記載する。
店長「MちゃんはGWいっぱい出てくれるでしょ?」
Mちゃん「いやあ、ちょっと無理です」
店長「えーなんで。まさか彼氏とデートか」
Mちゃん「実はそうなんですよー」
まあ別に不思議なことではない。女子大生なのだ。付き合ってまだ1か月もたっていないと言っていた。大方大学のサークルなどで意気投合したのだろう。
こうして私の少しずつ舞い上がっていたテンションは元通りに落ち着いた。
はずだった。
ここからが問題である。
当然私に彼氏持ちの女の子を狙うような甲斐性はない。始まる前に終わった恋に想いを馳せるようなことはしない。
しかしMちゃんの方が妙になついてきているような感じがあるのだ。
バイト先で「一緒に仕事していて安心感がある人ナンバーワン」という名誉なのか何なのかよくわからない称号を貰った私は、新人のメンタル面でのフォローも勝手に任されている部分がある。というよりも他に性格のきつい人間が多すぎて自分でも私しかいないとは思っている。
だから当然と言えば当然であるが、妙に距離が近い。ような気がする。
休憩時間、他にいくらでも席は空いているにも関わらず、就活関係でパソコンを広げている私に向かって「隣良いですか?」と座ってきた。
ナウなパリピからしたらこれが一体何なんだという感じだが、私からしたら何かしらの思惑を感じざるを得ないのである。
そうしてパソコンをカタカタ叩きながらおしゃべりをしていたのだが、これまた私の心を打つような事実が判明した。
Mちゃんも割とゲームをする子だったのだ。
WiiUでスプラトゥーンをやったり、ゲーセンで音ゲーをしたりしていたのだ。Switchも持っていると言っていた(クリスマスに買ってもらってその梱包のまま放置しているらしいが)。
私のテンションが花火大会の白銀会長ばりにガン上げでキマッたのは言うまでもない。
これまでのバイト先の女性陣には「ゲームの大会のためにラスベガスへ行った」と言えば「キモすぎ」と返され、「昨日の夜は一人で黙々とゲームしてたわ」と言えば「ほんとそういうの無理です」と軽蔑してくるような人間しかいなかった。
そんな中ついにゲームをする子が現れたのだ。私は衝動的にこう口にした。
「今年Switchでスマブラの新作が出るから一緒に買ってやろう」
「そうですね!やりましょ!」
最高だ。
圧倒的可愛さである。
意図せぬスマブラ仲間を獲得したこと以上に、その屈託のない笑顔に心を奪われそうだった。
その後のとりとめのない会話も楽しかった。適度なタメ口が絶妙な距離感を感じられてまた心地よかった。
思えば私は人を好きになったことが全くない。誰かと仲良くなったとしても他人の悪い部分ばかりが目についてしまう。それは異性に限ったことではなく、同性に対しても同じだ。だから友達を作るのが苦手だった。
しばしば色んな人から「くわはら君絶対恋愛とかしないでしょ」と言われる。「くわっちが誰かを好きになるとか想像できない」とも言われた。それは本当に正しかったのだ。
今までは。
初めて楽カスの気持ちが分かったかもしれない。理屈じゃないのだ。
もっと仲良くなったらまた悪いところが目について冷めるかもしれない。しかし今この時の感情は紛れもなく本物だ。
彼氏がいるということからは目を背けることにした。もっと親しくなりたいと思ったのだ。
しかし、そんな私の上がりきったテンションを急降下させるような出来事が到来する。
5月3日。その子とアルバイトのシフトが被っていた。
それ自体は別になんということはない(多少嬉しかったが)。問題は閉店が23時のうちの店で、その子がその日のあがり時間を最初から21時に指定していたことから始まった。
GW真っ只中で閉店ギリギリまで忙しいことは分かっていたので、純粋に最後まで残ってほしかった。以下のような会話をしたことを覚えている。
私「ラストまで残れん?めっちゃ頑張ればいけるんじゃない?w」
Mちゃん「愛知に遊びに行くんです。実はもう愛知から迎えが来てて、待たせてるんですよ」
私「あ、そうなん?友達?」
Mちゃん「そうなんですよ。私の分までお願いします」
私「しゃーないな。友達に免じて許してやるかー。そのかわりお土産にういろう買ってきて。俺めっちゃあれ好きなんよ。」
Mちゃん「良いですよー。あっそういえば私明後日誕生日なんですよ!誕生日プレゼント...」
私「お店の皆んなの分の買って来てあげてな。俺も愛媛土産は買うつもりだし。じゃあ交換条件や。誕生日プレゼントとして別にお土産買ってきてあげるからういろう宜しく!」
Mちゃん「やったー!ありがとうございます」
こんな感じの会話だった。他愛もない会話だ。
そして21時になりその子があがった後、先輩の社員とこんな会話をした。
私「あの子(Mちゃん)ラストまで残ってくれたほうが片づけとか楽なんですけどねえ」
社員「あーなんかこの後愛知まで行くらしいで」
私「聞きましたよ。もう友達が迎えに来てるって言ってました」
社員「え、友達って言ってたん?www」
私「…彼氏ですか?」
社員「せやで」
私「あーそうなんすね」
私「…」
私「」
なぜ嘘をついた。
彼氏がいることは分かっていた。私が知っていることはその子も知っている。それなのに謎に友達だと偽られた事実が、私の心を大きく削り取った。何故だかは本当に分からない。
それにしても遠距離恋愛なのは予想外だった。勝手に同じ大学の人間だと思い込んでいたのも完全なミスである。
その後のバイト時間は本当に苦痛だった。謎にテンションが急降下したことを他のスタッフに悟られないようにしながら騙し騙し仕事をした。理由は分からないが本当に本気でショックを受けたのだ。
その日の帰宅後、私の心は一時的に病んでいた。胃腸炎になっていたにも関わらず暴飲暴食をした。Twitterで吐き出そうとしたが上手くいかず、呟いては消してを繰り返した。何も考えないように漫画を何冊も手に取った。「彼氏がいる女の子 好きになる」で検索したりもした。
涼宮ハルヒに言わせれば「恋愛感情は脳の病気」である。本当にそうだと思った。これまで体験したことのない言い知れぬ感情に襲われていたのだ。
一晩経ってだいぶ落ち着いた。GW最後のアルバイトを終え、ヒメブラへと旅立った。
愛媛滞在中のスマブラは本当に楽しかった。全てを忘れさせてくれる気がした。良薬は口に苦しと言うが、スマブラという良薬はとても甘かった。
ここまで書いたような話を愛媛在住の友人にもした。友人と私自身の恋愛について話すのも人生初めてのことだった。彼もきっと反応に困っただろう。
だいぶ精神的には立ち直った。
そして滞在の最終日。バスに乗る前に私はお土産を物色していた。
そのようなことがあっても、誕生日プレゼントはちゃんとお土産しつつセンスのあるものを選びたい。そう思いながら吟味した。
そしてまた私の心を揺るがしたのが帰りのバスの中でその子から来たLINEである。
最初は「〇〇のセットの仕方を教えてください」という仕事のメッセージだった。
この時点で「他に社員がいるだろうに、自分が頼られている」という事実に若干舞い上がりそうだった。私の心は本当に防御力が低いのだ。人を罵倒するのは大好きだし、褒めることも大好きだ。しかし自分がけなされると冗談でも本気でへこむし、褒められるとどういう反応をすればいいのか分からなくなる。
それはさておき、問題はその質問に丁寧に答えた後の言葉だった。
「了解です。ありがとうございます(´;ω;`)」
「ホール一人で寂しいです」
「一人で寂しいです」
あまりにも可愛い。今すぐに出勤して一緒に仕事がしたいと思わせられた。
そんな想いを悟られないようにしつつ、先輩として落ち着いて返信をしておいた。LINE一つで一喜一憂する中学生のような男である。
冷静に考えて本当に何でもないLINEなのだが、私の頭はそれほどまでにおかしくなっていた。完全に脳の病気である。
そもそも一人で寂しいなどと言われたら言葉の裏を読んでしまうのが男の性というものではないだろうか。なんなんだ。誘ってるのか。
次の日。GWが終わってから最初の出勤日。偶然にもシフトは被っていた。
その日は団体予約が入っていた。私は団体予約が大嫌いだ。めんどくさい。
しかしその団体予約がありながらも出勤するのが楽しみになるくらい、まだ私の脳の病気は治っていなかったのだ。
四国銘菓「一六タルト」は皆の好評を博した。現地人のアドバイスを聞いておいてよかったと思う。無事に別のお土産も渡した。「えー、ちょっと、くわはらさん、えー?」と後輩の男子が柏木さんのような反応をしていたが、無視しておいた。ただのういろうとの取引だ。
そして団体予約の準備を皆でしていた時のことである。
俺、Mちゃん、一個下の後輩男、古株のおばちゃんの4人で準備をし、一通り終わったので談笑していた。
ふとおばちゃんがそこそこ真剣な顔でこう言った。
「Mちゃん、先輩にはちゃんと敬語で礼儀を弁えないとあかんで。くわはら君も長いことおるんだから。失礼になるよ。」
大きなお世話である。
そもそも私自身、もともと誰にタメ口を聞かれようが全く気にしないタチなのだ。
おばちゃんは基本めっちゃ良い人なのでその場はやんわりと肯定しておいた。シュンとしながら謝っていたMちゃんを見て若干の心の痛みを感じながら。
後から聞いてみると、おばちゃんへ後輩男子から「あの子礼儀がなってない」的な話があったようである。戦犯はその後輩だったのだ。余計なことをしやがって。
まあそいつの話は分かる。人によって感じ方は様々なのだから。私は仮にそいつ自身からタメ口を聞かれても怒らないが。だからと言って俺を引き合いに出すのは違うだろう。自分で言え。
その日はMちゃんは俺より早く来ていたので、俺より早くあがることになっていた。
あがり際、彼女はこう言った。
「くわはらさん、敬語とか気にしますか?」
私はこう答えた。
「いや、全く気にせんタイプだわ」
「やったーありがとうー。くわっち♡」
「やめいw」みたいな反応でお茶を濁すことしか出来なかった。可愛すぎる。
冷静に考えればあざとさの塊だが、今はそれで良いと思えた。無心でいよう。成り行きに身を任せていれば良くも悪くもそのうち私の脳は正常に戻るはずだ。そう言い聞かせた。
帰宅後、また1通のLINEが来た。
「お土産ありがとうううう」
「(スタンプ)」
店でお礼は聞いたのにわざわざもう一度言ってくること自体お可愛いのだが、私を悩ませることが一つあった。
返すスタンプがない。
私が持っているLINEスタンプは「ニセコイ」「左門くんはサモナー」「ポプテピピック1〜3」「かぐや様は告らせたい」のみである。
どれで返信しても「なんやこいつ」と思われそうな気しかしない。
というかこんなことでいちいち頭を悩ませる私。
結局ポプテピピックの中で一番無難なやつを使った。
ここまでがこれを書いている前日までの話である。
どうせなので最後まで諦めず頑張ってみようと思う。何を頑張れば良いのかは分からないが。
いつか私が泣いていたら是非慰めて欲しい。
以上。かぐや様のステマでした。
ここまで書いてきた感想