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猫物語(白)つばさタイガーのネタバレ感想です。 ◆羽川翼はどうして「本物」なのか◆ 正直、ここまでの作品が出て来るとは期待していなかった! この2ヶ月でつばさタイガーを4回読みましたが 毎回毎回ラストは涙で文字が見えなくなります。 この物語はとてもシンプルな王道のストーリーなんですよね。 これまではアイロニカルな物語で 王道展開かと思いきや結局阿良々木くんにオチがついて終わる そんな話になっていた。 ストレートな感動の物語ではなく 現実と理想の間に折り合いをつける、諦めを含んだ物語。 この猫物語(白)では これまでの化物語シリーズと違って奇をてらったような展開がなく 羽川が自らの課題をただ真っ直ぐ克服していく姿が描かれている。 (なぜ本作だけが王道なのかについては機会があれば語ります) ‘シンプルな王道のストーリー’と書きましたが ではどういう物語なのか。 実は、作中の001(p11)で端的に示されています。 ‘私が私と向き合って来られなかった大きな理由は、 私が自分の名前を自分のものとして認識していなかったから なのかもしれない。 ならば私はまず自分の名前を知るべきだ。 羽川翼を自分として知るべきだ。’ ここの部分を要約すると 羽川翼を自分として知ることで自分と向き合う話 ってことになりますよね。 (この意味については後で考察します) さて、この物語は主に3つの軸があります。 ①家族との関係、②友達との関係、③自分との関係。 ろくに会話もせず、調理器具が別々で、自分の部屋さえもらえない そんな家族関係(①)。 相手から踏み入られるのを嫌がり、図々しくもなれず どこかで一定の距離を保ってしまう、そんな友達関係(②)。 つらい現実から目を逸らし、最近では嫌なことを自分から切り離す そんな自分自身(③)。 この3つをそれぞれ克服していくというストーリーになっています。 いま「それぞれ」と言いましたが、この3つの課題って 実は根っこの部分でつながっているんですよね。 家族という最小単位の社会と接続できていない羽川(①) ↓ 自分のアイデンティティというものが確立できず それ以外の社会(友達との関係)にも深くは入り込めない(②) ↓ 自分というものが「世界の外側」にいる状態になってしまう ある種ゲームの世界を見ているような感じになる ↓ そのため現実を直視しないでいることができる(③) ↓ 本当は嫉妬もするし悲しくて泣きそうになることもあるはずなのに そんな自分を切り離すことができる(③) ↓ だから「本物」でいられる倫理や理想だけを語っていられる 阿良々木くんのように現実と理想の狭間で揺れなくて済む 正しいことを迷わず正しいと言い切れる ↓ そうすると今度は、家族と接続できていないことや(①) 友達との関係に深く入り込めないこと(②)を 客観的に見れて割り切って考えることができてしまい その①②の状態に安定・安住する こんなスパイラルが出来ているんじゃないかと思うんです。 分かりにくいと思うのでまとめると・・ 家族とつながれていないことが原因で 社会(友達)とつながれていない そのため人間強度が異常に高い だからこそ「本物」でいられる そしてその本物ゆえに人間強度の高さが破られない (羽川の「本物」性は阿良々木くんの好きな人間強度の話が もろに当てはまるのです) 羽川はこのスパイラルによって高みに上り詰めていった。 羽川はこのスパイラルによって家族、友達、自分と 上手く関わることができなくなっていった。 羽川がこのスパイラルを抜け出すには やはり発端である家族との関係を改善することが鍵。 この世界に根っこを張る、その足がかりとなるのが――家族。 ぼくは今回の物語の本質がここにあると捉えました。 このことは、先ほどの001によって裏づけられます。 001には、羽川翼を自分として知ることで自分と向き合う話だ というようなことが書いてありました。 では、「羽川翼を自分として知る」とはどういうことでしょう? ヒントとなるのは最初のページ(p10)。 ‘そもそも羽川翼という名前が既に不安定だ。 私は幾度か苗字が変わっている。 だから名前にアイデンティティを求められないのである’ とあります。 苗字が何度か変わっていて、不安定な名前である羽川翼。 苗字とは――家の名前、家族の名前。 これを彼女は自分のものとして認識できていない。 とすると、‘羽川翼を自分として認識できていない’というのは すなわち、自分が羽川家の一員であると認めてないということ。 翻って羽川翼を自分として知るとは 羽川が家族とのつながりを獲得するということです。 かなり説明を簡略にしてしまいましたが ぼくの言いたいことは伝わってますでしょうか? 結局、001においても、この物語は 羽川が家族とのつながりを獲得することで自分と向き合う話である と言っているわけです。 羽川がスパイラルを抜け出すには家族との関係を改善することが鍵 というさっきの話と一致しますよね。 これがつばさタイガーのテーマでしょう。 こういった視点から猫物語(白)を再度読まれてみると 面白さが増すんじゃないかなぁと思います。 各章ごとにテーマに関わるようなセリフが散りばめられてます。 テーマを意識して読めばセリフの意味合いがより明瞭になります。 特に、羽川がどういう過程を経てスパイラルから抜け出せたのか という点に着目して読むと面白いと思います。 (後日、このあたりのことを記事にしようかと思っています) さて、化物語シリーズセカンドシーズン。 まずは羽川が「普通」になりました。 阿良々木くんに本物と呼ばれ、戦場ヶ原に化物と呼ばれた羽川が ブラック羽川と苛虎を統合することで つらいことがあったら子供のように泣くことができる 普通の女の子になりました(本質的には変わらずに) これはつばさキャットを読んだときから考えていたことですが 化物語シリーズにおいて「キャラ」というものは トラウマ(そして怪異)とセットになっています。 ベタにベタを重ねたキャラ。 羽川で言えば委員長の中の委員長というキャラ。 眼鏡でおさげでだれにでも公平、「本物」の優等生。 そんな愛すべき彼女の「キャラ設定」は 彼女のトラウマから生まれたもの。 そのキャラ設定が物語を経るごとに だんだんと(その本質は変わらずに)崩れていきます。 羽川の場合、つばさキャットで眼鏡とおさげがなくなりました。 そして、つばさタイガーの最後で「本物」の部分が 良い意味で変容しました。 おそらくこの先のセカンドシーズン 他のキャラも「キャラ設定」が「普通」になっていくのでは ないでしょうか。 (戦場ヶ原はすでに「普通」になっているようなので ひたぎエンドはどうなるか分かりませんが) 明日は、傾物語まよいキョンシーの発売日です(よね?)。 いま書いた法則から結末を予想すると 1 八九寺が消滅(成仏)する 2 八九寺が他の人にも見えるようになる のどちらかというところですかね。 いまの浮遊霊という状態が解消されるのストーリーなのか それとも特定の人としかコミュニケーションできないという 状態が解消されるストーリーなのか。 1と見せかけておいて最終的に2、と言う展開が理想だなぁ。 さすがに猫物語(白)ほどのクオリティの高い物語を さらに繰り出してくるってことは無いと思いますが なにげに一番不幸なヒロインであるところの八九寺の物語は かなり期待していいんじゃないかと思っています。 明日ゲットできるかなー。 ~羽川翼はどうして「本物」なのか~ ←前の記事:つばさタイガー 一言レビュー 次の記事:阿良々木くんがヒーローになるまで-傾物語ネタバレ感想→ 当ブログの化物語シリーズのほかの記事 ⇒[化物語シリーズ感想記事一覧] トップページへ |
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タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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内 容 | ニックネーム/日時 |
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お久しぶり?です!! |
Mr.Kids 2010/12/26 01:15 |
続き |
Mr.Kids 2010/12/26 01:17 |
Mr.Kidsさん、お返事遅れてすみません! |
神場@管理人 2010/12/31 13:20 |
最近気づいたんですけど |
大根 2012/02/10 19:03 |
大根さん、こんにちは! |
神場@管理人 2012/02/16 00:33 |
お久しぶりです。 |
大根 2012/09/13 00:52 |
大根さん、お久しぶりです! |
神場@管理人 2012/09/16 02:44 |
すばらしい |
なた 2014/11/06 19:53 |
なたさん、ありがとうございます! |
神場@管理人 2014/11/10 23:41 |
はじめまして。 |
たじ 2015/07/21 10:25 |
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