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zoom RSS 猫物語-超ネタバレ感想(2)

<<   作成日時 : 2010/09/01 22:47   >>

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猫物語の超ネタバレ感想その2です。

先に断っておきますと、その1に比べると
当たり前のことを書いてるだけになっているかもしれません。

あと、今回はネットで見かけた「おや?」と思った感想に
反論する形をとっていますので
そういった文章に不快感を覚える方は気をつけてください。



◆猫物語-超ネタバレ感想(2)◆


4 「僕は下着姿の猫耳女子高生に、欲情してるだけなんだよ」

前々回、一番かっこいいセリフはこれだと書いたことに関して
蛇足かもしれませんが説明します。

011のラスト(259ページ)。
阿良々木くんは忍野に対して
「僕はただ――欲求不満を解消したいだけなんだ」(中略)
「僕は下着姿の猫耳女子高生に、欲情してるだけなんだよ」
と言い切ります。

ここがかっこいい理由について書いていこうと思うですが
その前提として最初のギャグパート。
(ギャグパートが無駄に長いという批判が多いですが
 この部分にも結構伏線があります)

ギャグパートのところで阿良々木くんの羽川に対して募る想い
月火ちゃんによって、欲求不満・リビドー・性欲だ!
と断定され、阿良々木くんもこれに納得します。

そのせいで、以降、羽川に対する想いは純粋な想いも含めて
すべて性的な言葉に置き換えられていくことになります。

このことを念頭に読むと阿良々木くんの気持ちは分かりやすい。

010のラスト(245ページ)で
阿良々木くんは自らの心境を
‘僕の羽川への想いは、募り過ぎて――
 もうとっくに恋を越えていた(中略)
 「だって僕は、羽川のために死にたいって思ってるんだもん」’
と語りますが、その後自らこの想いを次のように評価します。

011(249ページ)
‘羽川が基づいていた戒律のように、友達のためなら死ぬことができるなんて、そんな大それた気持ちに殉じることは、僕には出来ないんだ。
 僕はあくまで。
 羽川のために死にたいという、そんな手前勝手な欲望を胸に抱いているだけなんだ――僕は。
 僕は欲求不満なのだ’

さらにさきほどの011のラストの部分。
「委員長ちゃんに対して――阿良々木くんは同情しているのかい?」
という忍野の問いに対して「ちげーよ」と否定した後
「僕はただ――欲求不満を解消したいだけなんだ」(中略)
「僕は下着姿の猫耳女子高生に、欲情してるだけなんだよ」
と言い切ります。


阿良々木くんの言っている性的な言葉は純粋な想いに
読み替えてください。
そして阿良々木くんが011のラストで何が言いたいか
こうやって切り取ってみるとハッキリしますよね。

阿良々木くんの言いたいのは、つまりこういうことです。

自分は友達なんだから命を懸けてでも助けなきゃなんて
そんな高尚なんてことを言うつもりはないし
同情なんていう美しい感情で行動を起こすわけでもない。
ただ単に、僕は羽川を命を懸けて救いたい!!
それだけなんだ。
それが欲望なんだと。

ただただ欲情(イコール愛)から行動を起こそうとしているんです。
「助けなきゃ」なんて義務的な気持ちは一分も入っていない
純粋な100%混じりっけなしの「助けたい」という気持ち。

この気持ちをもって阿良々木くんは欲求不満・欲情だと言ったわけですから
これ以上ないかっこいいセリフじゃないですか。

「偽善者」でありながら偽悪的に振舞いたがる
阿良々木くんらしいセリフです。



011のラストが熱いのはこれだけではありません。

猫物語の構造として面白く、そして熱いのが
誰でも助けるので有名な(?)阿良々木くんが
この場面では「羽川を」助けたいと言っていることなんですよね。

『化物語』で出てくる他4人のヒロインに関しては
あくまで「困っているから」助けた
のちに恋人になる戦場ヶ原ですらそうです。
困ってるから、助けた。

でも、羽川に関しては「羽川だから」助けた
「助けたい」から助けた。
もちろん羽川が困っていたという部分はあれど
「自分」が「羽川」を助けたかった。

阿良々木くんの羽川への思いこれほどまでに強く描かれています。



011ラスト、まだ熱いところがあります。
上ですでに引用した部分。

「委員長ちゃんに対して――阿良々木くんは同情しているのかい?」
という忍野の問いに対して阿良々木くんは「ちげーよ」と否定。

そして、012で阿良々木くんの策略にひっかかった羽川と
しゃべっているところでも(270ページ)
「阿良々木くんは、私に同情してくれないの?」
「しねーよ」

阿良々木くんは徹底して同情をしないと言っているのですが
これはどうしてか。

答えは簡単で、自分が‘そう’されて嬉しかったから。
根拠は猫物語の286ページ。
(偽物語(上)の224ページにもちらっと出てきます)

阿良々木くんが傷物語において吸血鬼になったとき
羽川は阿良々木くんを甘やかしはしたものの
同情だけは一切しなかった。

これが阿良々木くんにとってはとても嬉しかったんですね。
なぜって、同情するってことは見下すことにつながるから。
吸血鬼になってしまった阿良々木くんを同情しなかったということは
阿良々木くんのありのままを受け入れて
あくまで対等な立場で触れ合ったということなんですね。
(これは偽物語(下)で阿良々木くんが影縫余弦に
 一目置いている点も共通)

だからこそ阿良々木くんは
化物になってしまった羽川に対して決して同情しなかった。
阿良々木くんもありのままの羽川を受け入れて
対等な立場で触れ合ったということです。


以上のように011のラスト数行には
阿良々木くんの熱い思いが凝縮されているのです。



5 羽川の責任

忍野は、羽川の両親を非難しつつも、両親が歪んだのはそもそも
羽川が正しすぎることに原因があると指摘します。

「委員長ちゃんのせいだよ。槍玉に挙げられるべきは彼女一人だ。」
(258ページ)

たしかにこの構造は面白いです。

絶対的な被害者だと思われていた羽川が
実は(無意識的にせよ)絶対的な加害者だという構造。

羽川に責任があるとする忍野の理屈、それは
強者は自らの影響力に自覚的でないといけないのに
羽川は普通の女の子という幻想に縛られて
自らの影響力についてあまりに無自覚だったから悪いのだ!
というものです。

‘被害者っぽいけど純粋な被害者じゃない人’に厳しい
実に忍野らしい理屈です。

でも、読者はこれに素直に頷いちゃまずいと思うんですよね。
‘結局、羽川が悪いんだよね’
‘あのあたりで羽川に幻滅した’
って真面目に書いている感想をみると
ちょっと危険だなーと思ってしまいます。

(以下、ラノベに真面目に反論するというKYなことをしますね)


だって考えてみてください。

まず、忍野の理屈、すなわち、羽川の両親擁護論をまとめると
――羽川は父親にタコ殴りにされ、母親はそれを黙認していた。
両親は悪いがそもそも両親が歪んだのは羽川が正しすぎるからだ。
強くて正しすぎる人間はそれを自覚して振舞わないといけない。
だから、責任は羽川にある――
とまぁ、こんな感じですね。

この理屈は、殴った側が例えば同級生であれば
一応通用する理屈(屁理屈)であると思うんですよ。
羽川が正しすぎるがために
そのそばにいた同級生が自分の誤りを意識させ続けられ
その結果歪んでしまい羽川のことを殴るに至った、というケース。
このケースならなんとかギリギリ同級生を擁護できなくもない。


でもですよ、ここは親と子の関係です

羽川はいつから「強者」(正しすぎる人間)だったんでしょうか。
少なくとも、「つばさ」という漢字が書けない頃から
強者だったってことはないですよね。

だったら両親は羽川がただの子供から
強者になっていく過程を見ているわけです

そのときに一度でも「正論は人を傷つけることもある」と
しっかり教えれば聡い羽川は自らスキを作ることもしたでしょう。
「正しすぎるお前と一緒に生活するのはつらい」という愚痴でも
羽川は自ら気付くことができたでしょう。

道義的にも法律的にも羽川を監護する立場にある両親が
こんな簡単な努力すら怠っているのに
娘のせいで歪み、結果として娘を殴るに至ったって
言ってるわけですよ(実際に言っているのは忍野ですが)
いわゆる「弱者の傲慢」もいいとこです。

忍野の理屈のうち
強者は自らの影響力に自覚的でないといけない、という部分は
同意の余地が大いにあります。
ただ、その先の理屈は羽川に厳しすぎるといえるでしょう。

物語としては「被害者が加害者」って構造を楽しむのが読み方として
正しいと思いますが、真面目に考察するのであれば
「忍野って中立を気取ってるけど羽川に厳しすぎ」
って感覚を持つのが公平なんじゃないかなーと思います。

ぼくの中では羽川はやはり愛すべきキャラです。



6 阿良々木くんの想い、羽川の想い

・阿良々木くんの想い

阿良々木くんが羽川と付き合わなかった理由はなんでしょうか?

この点について
‘猫物語読んで阿良々木くんが羽川を選ばなかった理由が分かった。 羽川は怖すぎる。殴られて笑ってたしなめるとか異常’
‘羽川のことを同属嫌悪したから恋愛対象じゃなくなったんだ’
といった感想を見かけました。


阿良々木くんが羽川と付き合わなかった理由は
羽川が怖いからでも嫌いだからでもないですよね?

つばさキャットにおいて
ブラック羽川から羽川の想いを伝えられた阿良々木くんが
「母の日以前なら、多分、応えたと思うよ」(376ページ)
と言っていますから。


阿良々木くんが羽川と付き合わなかった理由は
阿良々木くんが失恋したからです。

最終ページのラストの1行前。
‘阿良々木暦の初恋ではない何かは、失恋した。’
とあります。

‘初恋ではない何か’って言ってるけど
これは紛れもなく恋、というか愛。

恋になるかならないかの段階から一足飛びに愛に発展
そして、勝手に失恋した。

阿良々木くんにとっては、羽川が窮地に立たされているときに
自分に助けを求めてくれなかったことで
気持ちに区切りがついてしまったのだと思います。


・羽川の想い

アニメの方のつばさキャットOP曲『SUGAR SWEET NIGHTMARE』

前に聞いたときはメロディも歌詞も
微妙に羽川の想いからずれている気がして
ピンと来なかったんですが
猫物語を読んで(あと、前に紹介したネットラジオを聞いて)から
あらためて聞き直したら羽川の気持ちにドンピシャな曲だと実感。
あまりにドンピシャでゾクッとしました。

ぜひ(聞いたことある人はもう1回)聞いてみてください。
>YouTube

感想は以上です。


あと、しつこく宣伝してますが
前から紹介しているネットラジオ(の録音)みなさん聞きました??
何十分も聞くの面倒かもしれませんけど
化物語シリーズの理解が数倍深くなりますよ。
ぼくの記事なんか足元にも及ばないくらいレベル高いことを
噛み砕いて分かりやすく説明してる音声データです。
特に羽川ファンの方は絶対に聞いた方がいいです。
猫物語のお供に
↑ネットラジオの紹介記事を書いてます。
ラジオ自体はぼくとは全くかかわりのない方がやられています。

~猫物語-超ネタバレ感想(2)~




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コメント(20件)

内 容 ニックネーム/日時
今更ながら猫物語 黒を読み、「阿良々木くんが羽川と付き合わなかった理由」がどうしてもわからなくて、様々なブログを読んだのですが、ピンとくる答えがなくて、このブログにたどり着きました。

まさにそのとおりだと思います!!

僕が大好きな忍野さんが、今回はなぜか腹立たしく思えてしまった理由もわかってスッキリしました!!

正直、自分はここまで深く化物語を紐解いてはいませんでした・・・・・(思い返してみればアララギ君あんなに負けてたんですね・・・・w)

化物語の新しい楽しみ方を教えてくださってありがとうございます!!

これからもちょくちょく見るので、化物語シリーズの考察、やっていただけるとうれしいです。

長文失礼しました。
Mr.Kids
2010/12/14 03:40
Mr.Kidsさん、はじめまして!

化物語シリーズはライトノベルとは思えないほどしっかりとしたテーマが背後にありますよ♪言葉遊びやキャラの魅力が全面に出ていますが、テーマ的な面白さこそ他にはない魅力だと思っています。
何度読んでも発見があります。

>僕の大好きな忍野さんが今回はなぜか腹立たしく思えてしまった

そうなんですよね!ぼくもMr.Kids全く同じ感想でした。忍野は一番に好きなキャラクターなのですが、今回ばかりはいただけないなと思いました。まぁ忍野なので、あえてひねくれたこと言っているような気もしますけどね。

>思い返してみればアララギ君あんなに負けてたんですね

これは、『阿良々木くんのなにが偽物なのか』を読んでくださってのコメントでしょうか。阿良々木くんがヒーローのようで、負け続けている・・でも、やっぱりヒーロー。そんな構造も面白い部分ですよね。

今後も考察記事を書いていく予定ですので、時々このブログを思い出していただけたらうれしいです。
神場@管理人
2010/12/15 01:06
化物語関連のブログ記事を一通り読ませていただきました。
いろいろ思うところはあったのですが
この記事が一番一言言いたくなったので、ここにコメントを投下しますね。

羽川が父親に殴られたことを忍野が厳しく扱いすぎ
それは弱者の傲慢である

との論ですが
私はそうは思いません。
「言葉が通じないなら、戦争しかない」
ってことなんだと思います。
何を言っても同じテーブル(価値観、一般常識的な受け答えや感情の動き)につかない相手は
「言葉が通じない」相手でしかありません。
それが度を越えた正論であろうが、度を越えた倫理であろうが同じことです。
そこにあるのは「自分の言葉が通じない気持ち悪さ」であって
さらに言えば「自分が捻じ曲げられるような恐怖」です。
恐怖を感じたとき、人は武器を持ち暴力に走ります。
戦争するしか選択肢がないと思い込むところまで追い込まれます。
言い換えれば窮鼠が猫をかまざるを得なくなるのです。
父親は常に暴力を持って家族をねじ伏せて従えるという方法論を持っていた人としては描かれてはいませんでした。
羽川だから殴った。
羽川でなければ殴らなかった。
殴らなくてはならないほど追い詰められたのは父親のほうだと私は考えます。
文字通り「窮鼠猫を噛む」です。
そして猫物語でも触れられていますが
「猫を噛んだネズミの末路は返り討ちにあうのがオチ」
実際に、父親は返り討ちにあって入院しました。

ありんこ
2011/01/22 12:42
ありんこさん、はじめまして!

窮鼠猫を噛む!うまいっ!!羽川父に「鼠」はピッタリですね。
「殴らなくてはならないほど追い詰められたのは父親のほうだ」というありんこさんの指摘、まさにおっしゃる通りだと感じました。
羽川を殴った瞬間、もう殴らずにはいられない心境にあった。それは羽川が異常に正しすぎて己の未熟さと対峙させられ続け、地獄を味わい続けたから。そういう意味で、羽川父の行為を情状酌量することは可能なんでしょうね。

ありんこさんは続きのコメントの方で「親らしいことをかつてはしようとしたこともあったはずです」とおっしゃっていることからすると、羽川の両親が親としての努力をしていたと考えられているわけですね。
ぼくは羽川の両親が羽川の小さい頃に親としての行動(正論の残酷さを教える等)を早々に諦めてしまったと想像して、親らしいことをし続けたパターンについては考えていませんでした。
羽川の両親が親としての行動をとり続けてなお羽川が正論でしゃべり続け、正しい行動を取り続けたとしたら、それはまさにありんこさんのおっしゃる通り、羽川は「言葉が通じない相手」であり、忍野の言う「槍玉に挙げられるべきは彼女一人だ」ということになるんでしょうね。
神場@管理人
2011/01/24 00:29
レスありがとうございます!

私がひっかかった点をもうちょっと整理してみたので、甘えついでに書き込みさせていただきます。

羽川が「普通たらんとして行ったこと」は
まんま戦場ヶ原が中学時代に母親への反発、反抗として行ったこととかぶってますよね。
学校では非の打ち所のない生徒。
成績優秀、スポーツ万能、人当たりも良く、面倒見も良く…。
そして、家に帰ると親との会話はなく、自分の食事は自分で作る(親の世話を極力受けない)。

この戦場ヶ原曰く「スーパー私」状態は
宗教にはまっていく母親へのアピールであり、反発であり、反抗だったと「あれは本当の私じゃないから」と本人が語ってます。
(そして、私にも身に覚えはあることですが;)
それとまったく同じ行動を、反抗心、反発心のかけらもなく、明るくあっけらかんと
「正しいことをしている」自覚で行っている
…というのが羽川の「気持ち悪さ」なのかな、と。

阿良々木は羽川を「自分と同種の人間である」として
羽川を自分と同種であり、自分より上位にいる者として
敬い、擁護したい立場から羽川を「正である」と固定しているので
阿良々木の主観で言うと、羽川の両親は「羽川の正しさに映し出された自分たちの未熟さにいたたまれずつぶれていった」という見方になるのだと思いますが
忍野や、戦場ヶ原は羽川の行動と心理の絶対的な乖離を「正しい」ことだとは思っていないんだと思います。
本来の意味での「確信犯」的な部分に
気持ち悪さやあやうさを見出しているのではないでしょうか。

文章が下手でうまくまとまりきれてないですが
反抗期の子供が親にするような見え透いた「正さの遵守」「画一的な価値観の絶対の信奉」を
本人が「それが正しいと思っているからしている」
ってのが一番の怖さであり気持ち悪さなのかな、と。
ありんこ
2011/01/28 03:04
ありんこさん、こんにちは!

羽川が気持ち悪い理由についてはおそらく同意見です。
どんな状況でも正しさを遵守し続け、例えば大人の男性から力いっぱい殴られるという悲劇的な状況でも笑顔で正論を吐くことができてしまう。
そして、そういう正論的な行動を取り続ける動機が、戦場ヶ原のように‘母へのアピール’という人間臭い理由ではなく、‘ただそうありたいから’‘だって正しいんだから’というような超人的な理由である点。これが異常で気持ち悪い。

前の記事で引用した‘正しいこと、こうあるべきだということ、それを自分の感情とは全く別の次元で倫理として自分に課して、実際その通りに行動をしてしまえるという究極の偽善’という他ブログさんの指摘が正鵠を射ていると思いました。
猫物語(白)を併せ考えると、自分の感情・本音からは目を逸らして、正しく(=羽川的に言えば「普通の女の子として」)あろうとしたのでしょうね。

戦場ヶ原と羽川がともに学校では優等生で家庭内では不和を抱えているといながらその動機が全く異なるというのは面白い指摘ですね!

>「羽川の正しさに映し出された自分たちの未熟さにいたたまれずつぶれていった」という見方
猫物語(黒)257頁あたりからすると、これはむしろ忍野の意見かと思います。忍野は、羽川を正しいとは認めつつ、正しいことがむしろ害になっている、ということを言っているんじゃないかなとぼくは考えました。
神場@管理人
2011/01/29 23:40
ブログ読ませていただきました。
読書感想文が課題で出ているので参考と言う名の引用に使わせていただきますw

とても深くまで考察されていて素晴らしい記事だと感じました!
羽川編は読んでいてとにかく不気味で気持ち悪いと感じましたね。
羽川の「戒律の尊守」はもちろん阿良々木くんの「正義の尊守」も。
僕が気になったのは羽川の話に関しては直接の解決に忍野が関わっていないことだと思うんです。
それもやはり阿良々木くんの羽川愛を表すためなのかなぁとこの記事を読んで感じました。

とくに触れるべきことでもないですがブログを読んで興奮してしまいコメントさせていただきました。
失礼しました^^;
颯爽登場
2011/02/20 14:06
颯爽登場さん、はじめまして!

読書感想文に引用してもらえるとは、光栄ですでも、いい評価がつかなくても怒らないでくださいね

颯爽登場さんのコメントを読んでふと思いましたが、羽川編が気持ち悪いのは、「キャラ」だと思っていたものが、実はトラウマから来る「異常性」だったと分かってしまい、メタレベルで手のひら返しをされた気分にさせられるというのも一因かもしれませんね(←すいません、整理せずにつぶやいてます)。

忍野が解決に関わっていない、という視点は面白いですね。これまでの話の解決に忍野がどれだけ関わってきたかを検討してみると何か見えてくるかもしれません。

>とくに触れるべきことでもないですが
いやいや、颯爽登場さんのコメントから触発されましたし、普通に思ったことをコメントくださるだけでも十分感謝です
神場@管理人
2011/02/22 00:14

>>5羽川の責任

まず最初に、物語の核心に触れてなかったらすみません。

まぁ、忍野だったら言いそうなセリフですね。

暦と忍野は対極をなしていますね
(どちらも正義なのでしょうが・・・)

 忍野の代表的な理屈「人はひとりでに助かる」がとても印象にのこっています。
今までの彼のいろいろな言動をふまえても、「気持ち悪いetc.・・」発言に特に抵抗を感じませんでした。少なくとも私は彼に慈悲深さは期待していません。

正義ヅラをするほうが(個人的には)よっぽどタチが悪いとおもいますし
下手に同情するふりをするほうが嫌いです。

実際身近に羽川のような人がいたら自分は間違いなく関わろうとは思いませんし
事実、(これは問題発言?)殆どの日本人は暦のようなことをしないと思うし

結局、冷たい一言を放ちつつ、状況をもっともよく理解しているのはいつも彼でしたし。


忍野の非情のなかに優しさがあるのだと思いました。これも一つの正義の形だとおもいます


↑ですが、暦の行為は上のようなものだとは思ってはいません、ただ、とても崇高なものだとしかいえません。これもひとつの正義の形なんだとおもいます

あの猪突猛進な正義感で実際に事件を解決していく暦はすごいというしかない・・・・




暦と羽川の関係はとても自分の感覚では理解できるものではありませんでした。
ごめんなさい


個人的に、彼女は絶対的な「叡知」にめぐまれる代わりに
宿命的に孤独を背負わなくてはならないのでしょうか
忍野の言う(叡知という力に対する)責任ということはこういうこと?




2013/01/01 02:01
ささん、はじめまして!

忍野はなんだかんだで優しいんですよね。
バランサーとして誰かに大きく肩入れはしないものの、バランスを崩さない範囲で情を持って接してくれているんだと思います。

正義に関して言えば、先のことや全体のことを見通した上で行動する忍野は正しく、その意味で正義。
阿良々木くんの行動は、偽物語によれば正義感から来る‘何か’で、正義そのものではない、しかし崇高であるとされているようです。

忍野の言う責任は、高い能力(叡智も含むでしょう)を持った者はその能力ゆえに無意識的に他者に害をなすこともあり、その責任を負うべきだということかと思います。その過程で必然的に孤独にもなるんでしょうね。

神場@管理人
2013/01/01 13:26
忍野が羽川に厳しいのは、
羽川の頭脳に対する嫉妬も多少なりとも含まれていると思います。

彼の対怪異用の術式はことごとく羽川に弾かれてしまうわけだし、
プロとしてのプライドはズタズタでしょう。

羽川のように正しくない人間だからこそ、
そんな嫉妬が態度に滲み出てしまうのも仕方の無いことだと思います。
そら
2013/05/31 15:49
そらさん、こんにちは!

バランサーである忍野が嫉妬によってバランスを崩してしまうというのは面白いですね。

ヴァンパイアハンターすら手玉にとった忍野が低級の怪異に数え切れないほど負けてますしね。

神場@管理人
2013/06/04 01:29
考察、とても面白いです。物語シリーズを読み返す時のポイントとして、使わせてもらってます。
この作品は主に「言葉遊び」や「ファンサービス」が評価、批判されているので、こんな見方をしている人がいてとてもうれしいです。

猫物語のアニメを見て思ったのですが、私は忍野さんは阿良々木に考えてほしくて、あえて酷いことを言ったのだと感じました。駿河モンキーにも似たようなことがあったと思います。

駿河モンキーでは、本当の事を知らずに助けようとしていたし、翼ファミリーでは、助けたい一心で周りの事情が見えてなかったし…。そういう阿良々木君をチクッとやって、動機をより深いものにしようと思ったんじゃないでしょうか。

と、こんな見方をすると忍野さんも露悪的な善者(偽善者?)に見えてきて面白いかなと。


因みに、どうして神場さんは最初に羽川OPを聞いた時、「ちょっとずれてるな」と思ったんですか?

ササクベ
2013/06/29 23:33
ササクベさん、はじめまして!

再読のお供に使っていただけてなによりです!

阿良々木くんは忍野に育てられてますよね。するがモンキーでネチネチ阿良々木くんを責め立てる忍野がぼくは好きですねー。

羽川の曲が当初しっくり来なかったのは、つばさキャットから受けた印象よりも歌詞が重くて病んでるように思ったからです。
つばさファミリーを読んで、羽川が抱えているものの重さが鮮明になり、ああ歌詞のとおりだな、と。そんな感じです。

神場@管理人
2013/07/04 01:54
はじめまして、夏休みだったんで化物語シリーズのアニメを初見で見てます。
アニメってある程度溜まって若しくは完結した後に見るのが好きなタイプです。
で、猫物語(黒)まで観て、映像化されてない傷物語が気になって調べたらこのサイトにヒットしました。

皆さん、それぞれ自分の価値観をもってらっしゃるので、いわゆる作者の価値観である1つの作品(私の場合はアニメでの感想なんで2つ以上の価値観が入ってるかもですが)を通しても思うところは様々なんだなぁと、コメントも含めて楽しく読ませて頂きました。

羽川翼の親子間について、前の方とディベート感漂う深い所で議論をされていますが、私も「弱者の傲慢」という意見で腑に落ちています。

暴力を振るうことが善悪二極だけで考えて、ましてや戦争って・・・。
(ソレを回避するために軍事力を増強してるぐらいなんだから)
体裁で同居しているのであって、相手を納得する努力をしようとまで話し合って得るとは思えません。

私は、羽川翼の圧倒的な善性が形成されていくにあたり、「いい子でいなければならない」っていうなら、逆に環境が弱すぎるんじゃないかって、皆さんは疑問に思わないのかなぁって感じます。
日常的にネグレクトがあったっていう方が非常に自然です。
だって、どっかの時点で天使の怪異とか、善行を積まなければいけない何かに取り付かれた訳じゃないんでしょ?普通の人間なんでしょ?
ペペロンチーノは猥語です
2013/08/14 16:49
で、羽川翼も偽善だとありますが、偽善ではないんじゃないですか。
困っている人を助けるって行為を行うことが一緒だってことで、一方は正しいことを行う自己満足という見返りを求めるが、一方は廊下に落ちてるハンカチを拾い上げる程度(これだと持ち主からどうとかとか進行上邪魔だからって感じに成りかねないかなぁ)言い換えると意識の外の呼吸をするぐらい一連の動作で。

そこに阿良々木暦がその時点で羽川翼に失恋した“ことにした”感情があるように、私は、思います。

要は、GWの記憶を無くした時点で見返りを求めて然るべき相手側の気持ちはないんだから(化の時点で猫からもっと前から好きなのにって言われてもそこはもう遅い)

もっと言うと、チキンな阿良々木暦は相手が好いてくれてるかわからない状態で告って事実として振られるより(まあ、告白することすら出来ないだろうけど)、いつも正しいはずの羽川翼が過ちを犯した記憶と一緒に闇に伏せて、自分ひとりで上り詰めた恋心は封印して“一旦”身を引いた。

そうじゃないと大好きな人を諦める理由が腑に落ちません。
実際、何回失恋しても最後に結ばれたらラッキー!ってなるでしょ。
そうはならなかったのは、その後、幸か不幸か自分にとって(ツボが)ドンピシャの女子が現れ、恋愛経験値0の童貞がその女子の方からしっかりとした言葉で“先に”告られてしまったんだから、仕方ない。
ペペロンチーノは猥語です
2013/08/14 16:50
ペペロンチーノは猥語ですさん、はじめまして!

コメントに気づかず、返信が遅くなりました。

弱者の傲慢の点、共感してもらえたようでうれしいです。
「いい子でなければ」=ネグレクトがあったことの証左であるというのも、同館です。

偽善の点ですが、記事を書きながら指摘が入るかなぁと予想していたところですが、まさか記事を書いて3年後とは思いませんでした(笑)
羽川を偽善と言うのかどうか。これは偽善の定義によると思うのです。
どこからどこまでを偽善というかによって羽川を偽善と呼べるかどうか変わってくるのではないか、ということです。
①人に褒められたいから、アピールしたいから、ボランティアをする。これってかなり偽善っぽいです。
次に、②自分が人助けをして満足したいから、ボランティアをする。これもなかなか偽善っぽいです。
では、③「それが正しいことだから」ボランティアをする。これはどうでしょう。ぼくはここで迷いました。偽善と呼んでよいのかいけないのか。1つ前の記事に書いたとおりです。
迷った結果、少し広めの定義を取ると、これも偽善という括りに入れることが出来るのではないか、そう括った方が、作者の書きたいことを的確に捉えられるのではなかろうか、と思って、他ブログさんの定義を取り入れた上で、羽川の行動も偽善に含めて考えました。
ここはご指摘のとおり、偽善に含めるか微妙なところだと思います。

大好きな人を諦める理由ですが、作中の文章の中で理由らしきものとして明記されているのは「失恋した」ことくらいだったかと思います。あとはその言葉を額面どおり受け取るか、別の解釈をするかですね。

神場@管理人
2013/08/26 00:27
初めまして。
考察拝見致しました。大変興味深かったです。

特に忍野さんの羽川さん評に対する感想については
共感する点が多かったです。
確かに、「強者は自らの影響力に自覚的でないといけ
ない」という部分には一般論としては通用すると思い
ます。
しかし、この論理を親が子を虐待する理由として援用す
るには無理があると思います。
ましてや、ここ以降の忍野さんの幼稚かつ下劣な論理に
はとてもついて行けません。どこの世界で虐待される子
供が虐待を行う親より悪いなどという暴論が罷り通る
というのでしょう。
普通は殴った子供に冷静に諭されたら、自分の行為を
恥じ、悔い改めるものじゃないでしょうか(それが出来
ない馬鹿な親だったから、羽川さん自身が、良い子であ
ろうと精進せざるを得なかったのでしょうが)。
 
旧バファローズファン
2014/01/07 22:55
(コメント続き)
 次に、羽川さんや阿良々木君の行動原理を、「善・
偽善」という方法論で分析されている点については、
私自身が思いつかなかったことなので、なるほどと
思いました。羽川さんの行動原理が広義の偽善である
という考察については、共感出来るものがありました。
ちなみに、私は、羽川さんの行動原理は、キリスト教的
な意味での「愛」、即ち「苦悩する者の同伴者たらん」
とする意思だと感じていました。
 しかし、阿良々木君の行動原理は、偽善ではなく独
善、言い換えれば自己愛と虚栄心とエゴイズムと考えて
います。そう思う理由は、本文269頁以降の、羽川さんへ
の読むに耐えない罵倒の連続と、285頁の「後は一人で
勝手にやれや」、「自己陶酔」という言葉からです。
結局羽川さんを絶望へ叩き落としたのは阿良々木君自身
なんですよ。「羽川に殺されたい」という欲望を叶える
ために。結果、自暴自棄になった羽川さんは阿良々木君
を手にかけるに至ったと考えております。
旧バファローズファン
2014/01/07 22:56
(コメント続き)
 あと、阿良々木君が羽川さんと付き合わず戦場ヶ原さ
んと付き合った理由は、あくまで私見ですが、前者は惚
れていたからこそ付き合うのを拒んだ(若しくは相手が
告白してくれるのを待っていた)、後者は好きでもなん
でもなかった(しかし相手は自分を好いてくれている)
からだと思います。要は自分の気持ちに責任を持たなく
ても良く、相手まかせの(擬似)恋愛が出来るからでし
しょうね。
 作中では、阿良々木君は「助けを求めてくれなか
った」と言い訳していますが、実際には羽川さんは何回
も助けを求めています。それを見て見ぬ振りをし続けた
のは、惚れた気持ちよりも、他者の苦悩を背負うなんて
真っ平だという、自分可愛さの気持ちが勝ったからだと
推測しています。
 
以上、長々といささか極端な自論を書いてしまいました
が、御一読頂ければ幸いです。

※羽川さん絡みのお話では、神学の知識が多少あると
 理解が早くなると思います。終物語(上)でも、
 「受難」、「踏み絵」等の場面が出て来ます。

 以上
旧バファローズファン
2014/01/07 22:58

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