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zoom RSS ミステリーとしてみた『化物語』

<<   作成日時 : 2010/07/24 01:03   >>

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猫物語があと数日で発売です!
早く読みたいっ!!

さて、今日は『化物語』のネタバレありの考察です。
核心部分は一応伏せてありますので
未読の方でもギリギリ問題ないかと思います。



◆ミステリーとしてみた『化物語』◆


化物語はテンポの良い会話や怪異の設定などが注目され
ストーリーはある種オマケ的な扱いを受けがちですが
よく読んでみるとストーリーもかなり作りこまれています。

化物語(下) (講談社BOX)


今日書きたいのはミステリーの部分。

西尾維新さんはもともとミステリー作家(だと思うの)ですが
化物語においてミステリーは前面に出てきていない。
もしかするとミステリーの要素が入っていることに
気づいていない方もいるのではないでしょうか。
ぼく自身1回読んだ段階では見落としてる部分がありました。


さて、化物語は5つのショートストーリーから構成されています。

ひたぎクラブ
まよいマイマイ
するがモンキー
なでこスネーク
つばさキャット

このうち、どのストーリーにミステリーの要素が
含まれているかなんですが・・・
実は5つ全部なんです!

解くべき「謎」が事前に明確に提示されていないので
分かりづらいのですが
5つともミステリーの構造をとっているんです!


では、それぞれの回における「謎」とは何か?
これを言ってしまうとそれ自体が核心部分のネタバレに
なってしまいますので、順不同で書くことにします。

いつ怪異が憑いたのか?
どこに怪異はいるのか?
誰が怪異を憑けたのか?
誰が怪異を憑けられたのか?
なぜ怪異が憑いたのか?

これがそれぞれの回における「謎」です。

どれがどのストーリーに対応するかチェックしてみてください。

それから、ちゃんとミステリー的にフェアになっています。
「謎」の部分を解き明かすための伏線(ヒント)が
いくつも張られています。
こちらもチェックしてみると面白いかもしれません。


ミステリー的に面白いと感じたのは
①何が謎であるか自体が伏せられていること(1編だけ例外あり)
②仕掛けられた謎の種類
の2つの点です。



①何が謎であるか自体が伏せられていること

上にも書いたとおりですが、1編を除いて
解くべき謎が事前に提示されていません。
読者はそれまでにミスリードされたストーリーを思い描いているので
不意打ち的に真相を明かされ衝撃を受けることになります。

「まよいマイマイ」と「なでこスネイク」の切れ味のある真相に
驚いた方は多いのではないでしょうか。

一方、「ひたぎクラブ」と「するがモンキー」で驚けた方は
少ないのではないかと思います。

後2者は前2者と違ってやや複雑な構造だからです。
つまりミスリードされたストーリーと明かされる真相との間の
ギャップの大きさに気づくためには
一生懸命に頭を働かせる必要があり
軽いテンポで慣れた頭を突然切り替える作業
行わなければならないからです。

また、このことと関連しますが
アニメを先に観てしまった方
後2者では驚けなかったことと思います。

というのは、アニメでは複雑な構造を解き明かすよりも
分かりやすさを優先したのでしょう。
本来「謎」であるはずの部分を曖昧になんとなーく解決させて
しまっているのです。
一度アニメの方でストーリーが分かってしまうと
あらためて小説を読んでも衝撃はそう大きくないと思います。

ぼくもアニメを先に観た側なのでここはちょっと残念でした。

そういうこともあって、アニメの1話を観てハマれそうな方には
すぐに小説の方に移ることをお勧めしています。

「ひたぎクラブ」と「するがモンキー」で驚けなかった方は
もう1度頭をまっさらにして
ミスリードされながら読んでみてください。
戦場ヶ原や神原の心の動きに衝撃を受けること請け合いです!



②仕掛けられた謎の種類

ここでちょっとミステリーについての豆知識講座。

ミステリーの世界ではフーダニットという言葉がありますが
ご存知でしょうか?

フーダニット=Who done it=誰が犯行を行ったか?
という意味です。
つまり、フーダニットのミステリーとは
犯人が誰であるか’が大きな焦点となるミステリーを指します。

普段ミステリーを読まない方からすると
ミステリーっていったらそりゃあ‘犯人が誰であるか’じゃないの?
という感じかもしれませんが、ほかにも
犯人は分かっているけど犯行方法が分からないハウダニット
犯人は分かっているけど動機が分からないホワイダニット
等々のバリエーションがあります。

ただ実際のところ、多くのミステリーはフーダニットがメイン
金田一少年の事件簿や名探偵コナンなどミステリー漫画は
たいてい犯人当てをメインとしていますので
フーダニットのミステリーです。

ハウダニット数が少なく、一般読者にポピュラーなところでいえば
東野圭吾の加賀刑事シリーズがこれに当たります。

何が言いたいのかというと
ミステリーの多くはフーダニット=誰がやったかで
その他の部分がメインの謎となることは少ない

ということです。


この豆知識を前提に化物語の話に戻ります。

さきほど、化物語に仕掛けられた謎は

いつ怪異が憑いたのか?
どこに怪異はいるのか?
誰が怪異を憑けたのか?
誰が怪異を憑けられたのか?
なぜ怪異が憑いたのか?

の5つであると書きました。

そして、ミステリーの多くは誰がやったかであるとも書きました。

この5つを見てください。
‘誰がやったか’(Who)はたった1つ
ほかの4つも、いつ、どこで、誰が(Whom)、なぜ、と
全て別々のところに謎が仕掛けられています。


この偏り(というか偏りの無さ)は明らかに作者は狙ってますよね。
ぼくが言いたいのはここです。

本来‘誰がやったか’に偏るはずなのにそうはせず
仕掛ける謎の種類(5W1H)をバラバラにしているんです。
これは作者のミステリーに対するこだわりでしょう。



今まで書いてきたことをまとめます。

作者は
・5つのストーリーの全てに謎を仕掛け
・その謎の所在自体を隠蔽した上で
・5つの謎の5W1Hがすべてバラバラになるようにしている。


ちょっとすごくないですか?!


作者の西尾維新さんはミステリーに技巧を凝らす方なのですが
趣味100%で書いた」とはこのあたりにも現れているんだな
と感心しました。

しかもこれだけミステリーに力が入っていながら
それを前面に出してこないところが憎いですよね。



さてさて、化物語がすごいのはこれだけではありません。
来週あたり、今度はテーマに関わる部分について考察していきます。



そういえば、化物語シリーズはどこまで続くんでしょうねー。
猫物語と傾物語でラストなんでしょうか。

たいていの登場人物は問題が解決しちゃってるので
この2つでラストってことも十分ありえますよね。

ただ気になるのが、猫物語の収録話数が「第禁話」
傾物語が「第閑話」となってる点。
この2つの話って事前の宣伝では傾物語の方が先にきてたんで
第閑話→第禁話の順で並んでたんですよね。

そうすると、このあと
第訓話→第倦話→第婚話
なぁんて感じで続きそうな匂いもしないですか?

そう、「か行」です。

「閑」と「禁」が並んでるんですよ?

あの西尾維新ですよ?

「か」「き」と来たら「く」「け」「こ」までやりそうじゃないですか!

もしまだまだ続きがあるんなら
できるだけ刊行ペースを上げてほしい!
というのが、このシリーズのファンの願いですねー。

~ミステリーとしてみた『化物語』~




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