北朝鮮が、今年2月に中国で行方不明になった北朝鮮軍幹部が英国に亡命したとみて暗殺要員10人を急きょ派遣していたことが分かった。
英国の日刊紙テレグラフは最近、北朝鮮専門メディアの報道を引用し「中国の東部地域で防諜業務を総指揮していた国家保衛省海外反探局(スパイ担当部署)の康(カン)という大佐が、英国など欧州に逃亡したとみられる」と報じた。この大佐は50代後半で、故・金日成(キム・イルソン)主席の母の康盤石(カン・バンソク)氏の親戚に当たるという。
テレグラフ紙によると、康大佐は中国とロシアから入ってくる全ての情報を精査し、現地での活動を指示していたという。また、核・ミサイル開発の人材育成のために中国とロシアの学者らを北朝鮮と水面下で接触させる作業も担当していた。北朝鮮筋によると、康大佐は北朝鮮のサイバー攻撃工作チームの中国拠点である瀋陽のホテルに滞在し、中国、ロシア、東南アジアで活動する工作員らを統括・指揮していたという。
康大佐は不正が発覚したのを機に、ドル印刷用の活字版と大量の外貨を持って逃亡したという。このため金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は康大佐を暗殺するために工作員10人を派遣するなど作戦を展開した、とテレグラフ紙は伝えた。北朝鮮筋は「事件が発生すると即座に殺害任務の専門要員7人を派遣し、この7人が成果を挙げずに帰国すると別の3人をすぐに派遣した」と話した。これについて英国の元駐北朝鮮外交官、ジェームズ・エドワード・ホア氏は「北朝鮮が外交摩擦を覚悟してまで暗殺を実行するというのは考えにくいだろう」と述べた。