中国の知り合いの編集者が、中国で日本の80年代、90年代、バブル時代をキーワードにした雑誌を出したい、と相談してきた。なぜなら、中国では今、日本のバブル時代に非常に関心が高く、タイトルに「失われた20年」だの「日米貿易摩擦」だの「プラザ合意」だのがつくと、けっこう読まれるのだという。つまり、米中貿易戦争に突入した今の中国が、まさに当時の日本と重なるのだ、という。日本のバブル崩壊はどのように起きたのか、当時の社会情勢はどうだったのか、とにかく当時の日本に関することはなんでも知りたいのだと。今の中国は本当に、日本のバブル崩壊期に相似しているのだろうか。中国人の間で米中貿易戦争の末、バブル崩壊に直面するという予測が広がっているのだろうか。
5月初め、申万宏源証券が出したリポートに、「1981年の日米(中国語表記では米日の順)通商代表東京会談を回顧する」というのがあって、ちょっと興味深かった。筆者である申万のアナリストが日本で講演会を開いたときに、当時の日本がどのように日米貿易摩擦に苦しんだかを、日本の投資関係の専門家らに教えられて、そこから教訓を読み取ったという話である。
そのアナリストは日本のQFII基金の関係者から「“NO”と言える日本」が当時に与えたセンセーションと、1985年のプラザ合意以降の日本経済に強いられた苦難を説明した。その苦難はさかのぼれば1981年のウィリアム・ブロック(米USTR代表)と田中六助(通産相)の東京会談による自動車輸出の自主規制合意から始まっており、その歴史を振り返れば、今の米中貿易戦争における中国の取るべき策略の参考になる、としている。そして非常に詳しく、日米貿易戦争やプラザ合意が及ぼした影響について紹介している。
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