【メキシコシティ=丸山修一】アルゼンチンのマクリ大統領は8日、テレビ演説で国際通貨基金(IMF)とクレジットライン(融資枠)設定について協議を始めたと発表した。地元メディアは融資枠について300億ドル(約3兆2700億円)規模としている。足元で通貨ペソがドルに対して急落しており、利上げと合わせて通貨防衛を進めたい考えだ。
マクリ氏は「ラガルド専務理事と話した。融資枠設定はかつて経験した金融危機の再発を防ぎ、我々が進める経済発展の計画をより強固にするものだ」と話した。アルゼンチンではIMFによる緊縮路線の末、2001年にデフォルト(債務不履行)に至った経験から懐疑的な見方も多い。国内の批判よりも通貨危機防止を優先した形だ。
IMFのラガルド氏は「アルゼンチンはIMFの重要なメンバーだ。同国経済の強化のためどのような方策があるか議論していきたい」とのコメントを発表した。近日中にも融資額や融資のための条件について結論を出すとみられる。
アルゼンチンの通貨ペソは年初から対ドルで約2割下落している。インフレ率の上昇や経常赤字の拡大などで同国の経済自体が脆弱になっている中、米国の長期金利が上昇し資本流出が続いているためだ。同国中央銀行は急落を受けて4月末から政策金利を連続で引き上げており、今月4日の利上げで政策金利は年40%になった。