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 本日、発表された防衛省による「幹部自衛官 暴言事件」の最終報告書は幹部自衛官による私に対する「国益を損なう」、「気持ち悪い」、「馬鹿」、「国民の命を守ることと逆行」などの自衛隊法違反の暴言を認めている。
 しかし、この報告書は、①これがシビリアンコントロールを否定し破壊する問題であることを不問にし、②防衛大臣や統合幕僚長の監督責任を不問にし、③「国民の敵」発言を組織的に隠ぺいし、これらの結果、④幹部自衛官の懲戒処分を不問にした、許されざる暴挙であると言わざるを得ない。


1.防衛省による「シビリアンコントロールの否定」の不問

○ この報告書の最大の問題は、幹部自衛官の暴言が、我が国のシビリアンコントロールを否定し破壊しようとする行為であることについて、防衛省が何の見解も示していないことである。
 報告書には「文民統制の趣旨に照らして問題があるとの指摘も踏まえつつ」などとまるで他人事のように記載され、防衛省の見解として、暴言がシビリアンコントロールにおいてどのような問題を有するのかについて何ら明らかにしていない。

○ そもそも、幹部自衛官の暴言は、安保法制の違憲を追及する私の議会活動に関する反感に基づき、そのやり取りの際に行われたものである。
 しかし、国会議員が自衛隊による武力行使の違憲を追及することは、国会議員による究極にして最大のシビリアンコントロールの行使である

○ すなわち、この度の暴言は「国会議員のシビリアンコントロールの行使について、国会議員に暴言を行う」という「二重の意味」でシビリアンコントロールを否定し破壊しようとした空前の暴挙である。

○ しかし、この報告書は幹部自衛官の暴言をあくまで一隊員の社会人マナー違反の問題に矮小化しようとするものであり、不当極まりないものといわざるを得ない。

(参考) 憲法の議院内閣制の下、国会議員は野党議員も含め内閣に対する監督の権限を有する。この内閣への監督の中にシビリアンコントロール(文民統制)が含まれている。国会議員の国会質問、質問主意書などは全て、内閣監督の手段であり自衛隊に対するシビリアンコントロールの手段である。

■189-参-本会議-19号 平成27年05月20日
○国務大臣(中谷元君)  文民統制とは、民主主義国家における軍事に対する政治の優先を意味するものであり、(略)我が国においては、自衛隊が国民の意思によって運用、整備されることを確保するため、各レベルでの厳格な文民統制の制度を採用しており、国民を代表する国会が、自衛官の定数、主要組織などを法律、予算の形で議決し、また防衛出動などの承認を行うこととされております。さらに、憲法において、議院内閣制の下、国会が内閣監督の機能を果たすことが規定をされております。
 このように、我が国においては、国民を代表する国会が自衛隊を統制しており、(略)。

■内閣法制局長官と法の支配に関する質問に対する答弁書(平成二十六年十一月二十八日)抜粋
「 国会での審議の場における国会議員による内閣に対する質問は、憲法が採用している議院内閣制の下での国会による内閣監督の機能の表れであると考えている。 」


2.防衛大臣や統合幕僚長の監督責任を不問

○ この報告書は、幹部自衛官を懲戒に至らない訓戒処分とした上で、こうした暴言を許した防衛省・自衛隊の監督責任について一切不問としている。

○ 監督責任の追及と断固たる処断こそ、最大の再発防止策の一つである。国会議員によるシビリアンコントロールを否定し破壊しようとした空前絶後の暴挙に対して、小野寺大臣と河野統合幕僚長は即刻辞職すべきである。
 それがなされなければ、我が国のシビリアンコントロールは脆弱極まりないものとなり、将来において自衛隊によるクーデターが起きる危険を解き放つものと考える。


3.「国民の敵」発言の組織的隠ぺい

○ 報告書では、『現場から又は事案後ほどなく、電話にて、防衛事務次官及び人事教育局長に対してそのことを伝え、防衛事務次官は「おまえは敵だ」と記憶し、人事教育局長は「国民の敵」とメモに記録している』としつつも、防衛省として「国民の敵」という発言があったのかどうかについて何ら見解を示していない。

○ 財務省が福田事務次官自身が、録音音声を自らのものとも認めず、また、その内容をセクハラと認めなくても、財務省として様々な根拠を基に福田次官の発言をセクハラと認めたことと好対照である。

○ また防衛省の調査では、現場にいた警察官個々人への直接のヒアリングなどは何ら行われていない。また、私が提供した、事件直後に私から「国民の敵と暴言を受けた」との発言を聞いたと明言している弁護士などの証人に対するヒアリングなども何ら行おうともしていない。

○ すなわち、この報告書は為すべき調査を故意に行わず、現状の証拠や証言だけでもできるはずの事実の存在の推定や認定を敢えて何も行わなかったものであり、「国民の敵」という発言を組織的に隠ぺいしようとするものである。

○ 結局のところ、戦闘行為を任務とする軍事組織である防衛省・自衛隊にあっては、幹部自衛官が民主制における国民の代表者である国会議員に対して「敵」と言い放った事実をどうしても認める訳にはいかないのだと考える。
 すなわち、国民の代表を「国民の敵」と幹部自衛官が言い放った自衛隊は、軍事組織として、国民との関係で永久に「国民の味方」になり得ないとの危機感から、組織的に何が何でも「国民の敵」という言葉を隠ぺいしようとしているものと考える。


4. 幹部自衛官の懲戒処分を不問

○ 暴言を行った幹部自衛官は懲戒処分にも満たない訓戒処分とされている。この問題の重大性に照らして余りにも軽いと思わざるを得ない処分は、上記1~3の問題を防衛省が不問等としていることが原因であると考える。
 
○ すなわち、防衛省として暴言をシビリアンコントロールの問題とは考えず、上司達の監督責任は不問とし、「国民の敵」という言葉は組織的に隠ぺいすれば、当然、幹部自衛官の処分も軽いものにならざるを得ない。
 逆に言えば、この不合理に軽い処分こそが、防衛省の暴言への対応の何もかもが合理性と妥当性を欠くことの証明ともなっている。


5. 幹部自衛官が暴言を行った目的・動機

○ 防衛省の4月下旬の中間報告には幹部自衛官が私に暴言を行った動機や目的が全く調査されていなかった。そのため、この度の調査においては私から「私のどのような議会活動について、国益に反する」と考えたのかなどについて、質問票を提示した。

○ 幹部自衛官の供述書には以下のように記載されている。

「 5月4日に調査官から、小西議員が本人に渡してほしいということで、小西議員の国会質疑を頂きました。小西議員が国会質疑等の場で主張されている具体的な内容を初めて拝読し、小西議員は、決して自衛隊員に対して批判的なことを仰っているのではなく、むしろ自衛隊員に敬意を払って頂いていて、あくまでも我々を守ろうとの信念をお持ちなのだということを知りました。これまで誤解していたので、私の考えが安直であったと思います。 」
「 このたびは、小西議員の具体的な想いや活動内容を知らないまま、大変失礼な発言を行ってしまい、大変恥ずかしく、誠に申し訳ないことをしたと深く反省しています。 」

○ 幹部自衛官のシビリアンコントロールを否定し破壊しようとした暴言は断じて許されるものではないが、余りにも愚かで不幸で悲しい事件ではある。


■193-参-本会議-12号 平成29年03月31日
○小西洋之君 民進党・新緑風会の小西洋之です。会派を代表して質問いたします。
 昭和四十七年政府見解に憲法九条解釈の基本的な論理が存在するという安倍内閣の主張が事実に反する場合は、違憲の武力行使で自衛隊員や国民が戦死することになります。であるならば、この安倍内閣の主張が事実に反する場合は、安倍総理は、総理大臣はもちろん国会議員を辞職する覚悟があるのか、こうした観点からも逃げることなく明確に答弁ください。
 なお、安倍総理は、去る三月十九日の防衛大学校卒業式での訓示において、最前線の現場にあって指揮を執る諸君と最高指揮官である私との紐帯の強さが我が国の安全に直結する、日本の国益につながっていると耳を疑うようなことを述べています。もし安倍総理が議員辞職の有無について明確に答弁しない場合は、この安倍総理の主張する自衛隊員との紐帯なるものは、自衛隊員を尊厳ある存在として扱わない、単なる独り善がりの独善的な暴言であることになります
 全自衛隊員は、安倍総理が頻繁に引用する服務の宣誓において、日本国憲法及び法令を遵守し、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応えると誓っています。すなわち、自衛隊員は、安倍総理の手によって解釈変更された憲法九条解釈とそれに基づく安保法制を遵守し、命懸けで戦うと誓っているのであります。であるならば、いわゆる昭和四十七年政府見解の中に憲法九条解釈の基本的な論理が存在するという安倍内閣の主張が事実に反する場合は、安倍総理は、総理はもちろん国会議員を辞職する覚悟があるのか、自衛隊員の命と尊厳に懸けて、逃げることなく明確に答弁ください。
 以上、三つの観点から安倍総理の覚悟を問いました。自称闘う政治家の信条に懸けて、逃げることなく、ごまかすことなく、具体的かつ明確に答弁をください。
 
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小西洋之議員にお答えをいたします。
 平和安全法制は内閣として提出したものであり、その内容及び法の施行について、内閣の長たる内閣総理大臣として、そして自衛隊の最高指揮官としてあらゆる責任を負う覚悟であります。
(注:総理大臣と国会議員の辞職と述べることを回避し、答弁拒否している)

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開​設日​: ​20​10​/3​/1​4(​日)​


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