食事に影響されやすいのは、どんなお薬ですか?

食事の影響を殆ど受けない薬も多くありますが、一方で食事の影響を受けやすい薬もいくつか存在します。

一般に、薬が食べ物と同時に摂取された場合、薬が胃から腸へと排出される速度は遅くなります。
薬は、胃よりも小腸からの方がよく吸収されるため、食事の量が多いほど、薬の排出速度が遅くなり、吸収が遅れることが考えられます。

このように吸収がゆっくりと行われることがメリットとなる例として、リボフラビン(ビタミンB2)があげられます。リボフラビンは腸管上部からしか吸収されないため、一度に大量のリボフラビンが流れ込むと吸収が追いつきません。その点、胃から腸へゆっくりと送り込まれると、吸収率が上がるのです。

逆に解熱鎮痛剤としてよく使われているアスピリンサリチルアミドは、吸収が遅れることで吸収率が低下し、効き目が悪くなるといわれています。ただし空腹時の服用は、胃を荒らすもとですので、お奨めできません。

次に、消化液による影響も考えられます。
胃に内容物が入ってくると、胃は消化を始めます。その際に分泌される胆汁酸によって、油に溶けやすい薬剤は溶けやすくなり、吸収率が増加します。
例:
・グリセオフルビン(抗真菌剤)
・ダナゾール(子宮内膜症治療薬)
・シクロスポリン(免疫抑制剤)

また、食事を摂取することで、消化管に血液が集まり、肝臓でも血液の流れは速くなります。
このため、肝臓で分解される薬剤のなかには、分解されずに素通りしてしまう比率が高くなり、結果的に吸収率が増すものもあります。
代表的な例:
・メトプロロール(高血圧症治療薬)
・プロプラノロール(高血圧症治療薬)

逆に、食事の存在で吸収率の低下する薬剤もあります。
消化時に分泌される胆汁酸と強く結合してしまう薬は、食事と一緒に服用されると、効き目が悪くなってしまいます。
代表的な例:
・ナドロール(高血圧症治療薬)
・カナマイシン(抗生物質)
・ポリミキシン(抗生物質)


また、徐々に有効成分が放出される「徐放性製剤」も、一般に食事の影響を受けやすく、食事の存在では効き目が鈍くなるようです。

薬を食後に服用し、効果がない、あるいは効き目が強すぎると感じたとき、すぐに薬を変えるのではなく、食事による影響を考えてもよいかもしれません。

 

 


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