トランプ氏、「トランプ的」候補者選ばないよう有権者に警告 共和党予備選

ウェストバージニア州の共和党予備選挙に関する世論調査で、ブランケンシップ氏は他の2人の候補者と並ぶ支持率を得ている Image copyright Getty Images
Image caption ウェストバージニア州の共和党予備選挙に関する世論調査で、ブランケンシップ氏は他の2人の候補者と並ぶ支持率を得ている

ドナルド・トランプ米大統領が7日、米東部ウェストバージニア州で8日に実施される共和党予備選挙について、自身を「トランプ氏よりトランプ的」と表現する候補者に投票しないよう同州の有権者に警告した。

かつての炭鉱王ドン・ブランケンシップ氏は、所有する炭鉱で2010年に従業員29人が亡くなった事故をめぐって服役した経験があり、現在は執行猶予で釈放されている。

68歳のブランケンシップ氏は共和党予備選挙で他の候補者2人と争っている。ウェストバージニア州の予備選挙は8日に投票され、11月の米中間選挙で上院選に臨む共和党候補者を決定する。

共和党予備選挙の勝者は、現職の上院議員である民主党のジョー・マンチン氏と対峙する。マンチン上院議員はトランプ大統領が掲げる政策のいくつかに反対している。

トランプ氏は7日、ツイッターに「ウェストバージニア州に住む偉大な人々たちへ、共に、大きな違いを作り出す本当に偉大なチャンスだ。問題はドン・ブランケンシップだ、いま上院選に向けた予備選を戦っているが、彼は君たちの州での総選挙に勝てない…絶対に! アラバマを忘れるな。ジェンキンス下院議員かモリッシー州司法長官に投票しろ!」と投稿した。世論調査によると、ブランケンシップ氏は他の候補者と支持率で並んでいる。

ブランケンシップ氏は2010年に同氏の炭鉱で従業員29人が亡くなった事故で服役した。写真では同氏への抗議者が「29人の殺人者」と書かれたカードを掲げている Image copyright Getty Images
Image caption ブランケンシップ氏は2010年に同氏の炭鉱で従業員29人が亡くなった事故で服役した。写真では同氏への抗議者が「29人の殺人者」と書かれたカードを掲げている

ブランケンシップ氏が物議を醸している理由

米石炭大手マッセイ・エナジー社の最高経営責任者(CEO)だったブランケンシップ氏は、同社所有のアッパー・ビッグ・ブランチ鉱山で起こった爆発事故をめぐり、安全規則違反の共謀容疑で1年間服役した。

しかし報道によると、ブランケンシップ氏は6日の遊説中に、爆発死亡事故は米政府が原因と述べたという。

昨年5月に釈放されたあと、同氏はワシントンの共和党主流派を妨害すると公言する超保守派候補として共和党予備選への立候補を表明した。

同氏は特に、上院共和党で指導者的存在のミッチ・マコネル上院院内総務を標的とし、マコネル氏を「中国人に数百万の職を与え」てきた「汚職にまみれた中央政治の指揮官」だと主張している。

「そうやって、ミッチはリッチ(金持ち)になった」とブランケンシップ氏はテレビ番組で語り、人種差別主義者だと広く非難された。

「実際、彼の中国の家族は彼に数千万ドルを与えている」

ビッグ・ブランチ鉱山で起きた爆発で29人が亡くなった Image copyright Getty Images
Image caption ビッグ・ブランチ鉱山で起きた爆発で29人が亡くなった

マコネル氏の妻、イレイン・チャオ米運輸長官は台湾で生まれた中国系米国人だ。

ブランケンシップ氏は、同氏に対立する政治グループを立ち上げたマコネル氏を「コカイン・ミッチ」とも呼んでいる。

2014年、コロンビアの調査員がある貨物船で薬物輸送を発見したと報じられた。貨物船はマコネル氏の義理の家族、チャオ家が所有する会社と関係する船だったが、チャオ家の人々は事件に関係していなかった。

ブランケンシップ氏は6日、トランプ氏の発言に応答して声明を発表し、「共和党の指導者層がトランプ氏に誤った情報を与えている。彼らは自分が米上院議員になって、大統領の政策を推し進めるのを望んでいないからだ」と述べた。

ブランケンシップ氏が出稿した新しい広告は、同氏の政治的ヒーローであるトランプ氏の戦略をそのまままねたようなメディアへの攻撃も含んでいる。

「フェイクニュース提供者も、『中国の人』という私の言葉遣いに気分を害したふりをしている」とブランケンシップ氏は述べた。

「彼らは中国が国であり、人種ではないことに気づいていないらしい」

ケンタッキー州選出のミッチ・マコネル上院議員とその妻、イレイン・チャオ米運輸長官 Image copyright Getty Images
Image caption ケンタッキー州選出のミッチ・マコネル上院議員とその妻、イレイン・チャオ米運輸長官

アラバマで起きたこと

トランプ氏は6日のツイートで「アラバマを忘れるな」と述べた。共和党のロイ・ムーア氏が、未成年女性への不適切な行為を糾弾され、昨年12月の米上院補選で敗れたことを指している。

トランプ氏のツイートでは、同氏がもともとムーア氏を支持していたことは語られなかった。

ブランケンシップ氏は6日の声明で、「我々はトランプ大統領の政策が大好きだが、彼がうまくやっていないことも知っている」と反撃した。

「彼はアラバマで小児性愛者と一般に非難されている男に投票するよう人々に勧めていた」

ムーア氏はアラバマ州最高裁判所の元長官。同氏の選挙外での不祥事により、伝統的に保守派が強い南部のアラバマ州で、1992年以来となる民主党の上院選勝利がもたらされた。

(英語記事 Trump warns West Virginia voters not to pick Don Blankenship

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