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【社説】

国民民主党 野党再編へ奮起せよ

 希望、民進両党による新党「国民民主党」。野党再編の核となる勢力づくりの必要性は理解しても、展望も準備も欠く見切り発車である。国民に政権の選択肢を示すには、なお一層の奮起が必要だ。

 これほど高揚感を欠く新党結成が、かつてあっただろうか。「国民民主党」の設立大会がきのう東京都内のホテルで開かれた。民進党を存続政党として、希望の党を解散し、同党所属議員が民進党に合流する形をとる。

 しかし民進党の野田佳彦元首相、岡田克也元外相、希望の党の細野豪志元環境相ら主要メンバーが新党参加を見送り、百人を超える両党の所属国会議員のうち、新党への参加は六十人台にとどまる。

 このことは、国民民主党結成が明確な展望の下に、周到に準備されたものではないことを物語る。

 国民民主党は暫定色が濃い新党だ。本来であれば、強大となった自民党に対抗するには幅広い野党勢力の結集が必要だが、同じ民進党から分裂した立憲民主党が新党に参加しないため、とりあえず二党で、ということなのだろう。

 なぜそうなったのか。それは新党結成や、その先にある野党結集によってどんな政治を目指すのかが、明確でないからだ。

 国民民主党は綱領で「穏健保守からリベラルまでを包摂する国民が主役の中道改革政党を創る」ことを掲げるが、これは旧民主党時代に目指したものと大差ない。

 にもかかわらず、野党勢力結集はもちろん、旧民主党勢力でさえ糾合できないのは、この綱領の実現に向けた熱意が足りないからではないか。展望を見いだせず、右往左往する姿ばかりが目につく。

 加えて、自民党に代わる勢力として国民の支持を得るには、安全保障・外交や社会保障、経済政策をめぐる議論が決定的に足りないことも指摘しておきたい。

 野党として政権与党の不祥事や失策を追及することは必要だとしても、政権交代可能な勢力として国民の期待を担うには、揺るぎない理念と具体的な政策が必要だ。

 国民民主党の結成はその一歩にすぎない。今後、党内で具体的な政策の取りまとめに向けた真剣な議論を重ねるとともに、党外に対しても野党勢力結集の必要性を粘り強く説くべきである。

 立憲民主党も野党第一党として勢力結集に向けた協議に前向きに応じる責任がある。野党がバラバラでは巨大与党に対抗できない。自民党に圧勝を許した過去の選挙と、同じ轍(てつ)を踏んではならない。

 

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