ここでは、格安SIMのリアルタイム計測で計測している30枚以上の格安SIMの通信速度の計測の仕方と評価を解説します。格安SIMの通信速度を詳しく知りたい場合に、読み続けてみてください。
こんな長い記事読むのが嫌な場合は、いつでも何でも爆速のUQモバイルがオススメです。あとは、利用用途ごとの制限がなく、比較的速く、かつ時期による変動も少ないエキサイトモバイル、DMMモバイル、もしくはIIJmioを選ぶのが、通信速度の面では無難な選択肢になります。
格安SIMの通信速度は簡単には説明できませんが、このサイトの通信速度の計測の仕方のを説明しながら解説していきます。
通信速度の計測結果に関しては、格安SIMとWiMAX 2+の実際に出る通信速度の記録で掲載しているので、そちらを参考にしてみてください。
格安SIMの通信速度の計測の目次
格安SIMのリアルタイム計測のシステム概要
まず最初に格安SIMのリアルタイム計測のシステムを簡単に説明します。
格安SIMの速度計測に適した自作のAndroidアプリでリアルタイム計測を行なっています。計測場所は東京の一般的な住宅街です。
計測に使っている主な格安スマホはnova lite 2です。nova lite 2以外の機種でも計測していますが、月1〜2台程度のペースで古い機種から新しい機種に買い換えています。
自作のAndroidアプリでは、通信速度(HTTPS速度)、通信回線の反応速度と安定性、Youtubeの通信速度、複数のWebサイトの読み込み速度、SNS系サービスの読み込み速度などの項目を24時間計測しています。
HTTPSで計測した速度データをWebサーバー(Rails)に送って、データを処理したのちリアルタイム計測サイトで結果を表示しています。アプリのダウンロード速度は自動的には計測できないので手動で月1回計測しています。
下記から格安SIMの通信速度について長々と説明していきます。
格安SIMは利用用途ごとに実際に出る通信速度が異なる場合が多い
同じ格安SIMを使っている場合でも、1人は遅いといい、もう1人は十分使えると評価する場合があります。人それぞれ感じ方が違うのもありますが、一つの大きな理由として、格安SIMは利用用途ごとに実際に出る通信速度を制限している場合があるからです。(単にWiFiを使っているから速かったりもありますが・・)
同じ時間帯でも、ゲームをアップデートしたいのに全然ダウンロードできないと怒る人と、Webサイトは普通に見ることができると言う人が同時に発生する場合があります。
これは同じ格安SIMでも、スピードテスト(Speedtest.net by Ookla等の計測アプリ)は速い通信速度が出て、Webサイトの読み込み速度は普通、アプリのダウンロード速度はとても遅い、ゲームアプリの更新データのダウンロードもとても遅くなる格安SIMが存在しているためです。
ごく一部の格安SIMの話ではなく、半数以上の格安SIMは何かしらの制限を行なっています。利用用途ごとの制限なのか、それともデータの大きさに応じた制限なのか、IP先か、アプリ別か、プロトコル別かはわかりませんが、ここでは利用用途の制限として統一します。
利用用途の制限自体が悪だと断罪することはできません。というのも、アプリのダウンロードや、ゲームアプリの更新データのダウンロードを厳しく制限する代わりに、Webサイトの読み込みや、Youtubeの再生を快適にしている場合があるからです。各MVNOの方針と言えます。
自分に合う通信速度が出る格安SIMを選ぶのが重要です。(WiFi経由でアプリをダウンロードする場合、格安SIMがアプリのダウンロードを制限しても関係ないですし)
下記で、このサイトで行なっている利用用途ごとの計測の仕方を紹介します。
格安SIMのリアルタイム計測では、通信速度(HTTPS速度)、反応速度と安定性、Youtubeの通信速度、Yahooの読み込み速度、楽天市場の読み込み速度、画像の読み込み速度、インスタグラムの読み込み速度、Twitterの読み込み速度、アプリのダウンロード速度の計測を行なっています。
通信速度(HTTPS速度) ※最重要
通信速度の中で最も重要なのが「通信速度(HTTPS速度)」です。
通信速度(HTTPS速度)は速ければ速いほど良いですが、1Mbps以上出ていれば格安SIMとしては許容範囲です。このサイトでは、HTTPS(SSL経由)でファイルをダウンロードした時の通信速度を格安SIMの通信速度としています。
※ 使用するデータは画像データはありません。画像データを使うとHTTPSでも実態と離れる可能性があります。
通信速度(HTTPS速度)の評価
良い (5Mbps以上)
普通 (0.9Mbps〜5Mbps)
少し悪い (0.3Mbps〜0.9Mbps)
悪い (0.3Mbps未満)
5Mbps以上出ていれば、基本的に何をしても快適に使うことができます。大抵の格安SIMは空いている時間帯にしかこの速度は出ません。
一般的な使い方なら0.9Mbps以上出ていれば問題ないです。ただ、できれば1.5Mbps以上出てほしいところです。
0.3Mbps〜0.9Mbpsだと、一般的な使い方でも遅さを感じるようになります。平日の昼はほとんどの格安SIMがこの速度になります。
0.3Mbps未満だとかなり支障が出てきます。特に0.2Mbpsを切るとタイムアウトが発生して、ネットに繋がるアプリなどがまともに使えない可能性が高くなります。
格安SIMの中にはHTTPS(SSL経由)の通信速度をかなり制限している格安SIMがあります。
HTTPSの速度を制限している場合でも、HTTPSのWebサイトの閲覧時の速度制限はある程度緩くなっていたりするので、その他の利用用途ごとの計測結果も確認することをオススメします。
ただ、HTTPSを制限している場合、その他の利用用途の通信速度もあまり良くない可能性が高くなります。ゲームアプリで支障が出る可能性も高いです。
HTTPS(SSL経由)ではない、HTTPでの速度計測は非推奨の理由
最近のデータ通信はHTTPS(SSL経由)が過半数を占めています。そして、その傾向は今後より加速していきます。そのため、通信速度を計測する場合はHTTPS(SSL経由)が適切だと考えます。
加えて、格安SIMの中にはHTTPSの速度を制限して、HTTPの速度を速くしている格安SIMもあります。HTTPでの速度計測はMVNOによってはチートしてくる可能性が高いので、HTTP経由での速度計測は避けたほうが良いです。
自分で格安SIMの通信速度を計測したい場合は、HTTPSで計測しているドコモスピードテストがオススメ
通信速度を計測するアプリの多くはHTTPで速度を計測していますが、ドコモスピードテストはHTTPSで速度を計測しています。
Google Play: ドコモスピードテスト
iTunes: ドコモスピードテスト
自分で格安SIMの通信速度を計測したい場合は、ドコモスピードテストで計測することをオススメします。
Ookla、RBB、4GMarkはHTTPでの速度計測になります。これらのアプリだと、スピテス詐欺やスピードブーストに引っかかる可能性があるので注意してください。
反応速度と安定性 ※重要
反応速度は、例えば、Webサイトのリンクをタップして、次のページの表示が始まるまでの時間です。極小データをリクエストして、戻ってくるまでの時間を計測しています。PINGと性質が似ていますが、小さいデータをHTTPS(TCP)で大量に投げて、その平均値を反応速度にしています。遅延またはパケロスが多いと、反応速度が遅くなります。
タップしても次のページに移動するのが遅いのは、反応速度が遅いからです。
安定性は、反応速度の揺らぎ(jitter)を計測しています。例えば、1回目の反応速度が0.2秒で、2回目の反応速度が0.3秒だった場合、安定性は0.1秒です。安定性の数値が高いほど不安定と評価できます。パケロスが多いと安定性が悪くなります。
Webサイトを読み込んでいて、読み込みが引っかかるのは、安定性が悪いからです。
安定性が悪いと通信速度(HTTPS速度)の信頼性も低くなります。安定性が悪い場合、計測時刻を数秒ずらすだけでも通信速度(HTTPS速度)が大きく変わる可能性が高いです。
反応速度+安定性の評価秒数
良い (200ミリ未満)
普通 (200ミリ秒〜350ミリ秒)
少し悪い (350ミリ秒〜500ミリ秒)
悪い (500ミリ秒以上)
反応速度と安定性の合計が200ミリ秒未満が理想的です。
200ミリ秒〜350ミリ秒になると少しだけ反応速度と安定性が悪いですが、格安SIMとしては許容範囲です。
350ミリ秒〜500ミリ秒だと、反応速度と安定性の悪さが体感できるようになります。混雑時になると反応速度と安定性が悪くなります。
500ミリ秒以上だと支障がかなり出てきます。ネットに繋げるアプリだとタイムアウトになってエラーになる可能性があります。平日の昼だと500ミリ秒以上になる格安SIMが続出します。
参考:その他の通信回線での反応速度と安定性の目安
光回線+有線接続、反応速度0.008秒、安定性0.001秒
光回線+WiFi接続、反応速度0.023秒、安定性0.012秒
WiMAX2+、反応速度0.120秒、安定性0.020秒
スピードテストアプリにもPINGとJitterを表示するものがありますが、スピテスのPINGとJitterは実態を伴っていない可能性が高いので参考にしないほうがいいです。
Youtubeの通信速度 ※少し重要
Youtubeを再生した時の通信速度を計測しています。通信速度が速ければ速いほど高画質のYoutubeを快適に見ることができます。
Youtubeの再生時の通信速度の評価速度
高画質480p (0.8Mbps以上)
普通画質360p (0.5Mbps〜0.8Mbps)
低画質240p (0.25Mbps〜0.5Mbps)
最低画質144p/再生不可 (0.25Mbps未満)
たいていの格安SIMはYoutubeの通信速度はほとんどの時間で0.8Mbps以上出ます。
Youtubeはより高画質の720pなどの画質がありますが、720p以上で再生するとデータを超消費します。スマホでYoutubeを見る場合は普通画質の360pで十分な画質を確保できるので、720p以上は評価しません。
格安SIMの中にはYoutubeの通信速度に制限を加えている格安SIMがあるので少し注意が必要です。平日の昼でもYoutubeの通信速度が速い格安SIMもあります(ただし、この場合でも動画を読み込み出すのに10秒くらい時間がかかったりします)。
Youtube以外の動画の通信速度について
Youtubeの通信速度が速いからといって、Amazonプライムビデオ、Hulu、Netflix等の動画の通信速度が速いとは限りません。Youtube以外の動画の通信速度は基本的に「通信速度(HTTPS速度)」が適用されると思ったほうが無難です。
Youtube以外の動画は、通信速度(HTTPS速度)で1Mbps程度出れば、スマホでの視聴なら基本的に問題ありません。
ヤフーの読み込み速度
Yahooのトップページを読み込んだ時の通信速度を計測しています。読み込み速度が速いほど、サクサク表示することができます。ただ、Yahooは比較的軽いサイトなので、そんなに速い読み込み速度は必要ありません。
ヤフーの読み込み速度の評価速度
良い (1.2Mbps以上)
普通 (0.7Mbps〜1.2Mbps)
少し悪い (0.3Mbps〜0.7Mbps)
悪い (0.3Mbps未満)
読み込み速度が1.2Mbps以上出ていれば超快適です。これ以上速度が出ても、体感差はほとんどありません。
0.7Mbps〜1.2Mbpsなら格安SIMとしては普通です。スマホで見る場合は問題は特にありませんが、できれば0.9Mbps以上あったほうがいいです。
0.3Mbps〜0.7Mbpsだと画像の表示が遅れます。我慢してYahooを見る感じになります。0.3Mbps未満はまともじゃないので諦めたほうがいいです。
楽天市場の読み込み速度
楽天市場のトップページを読み込んだ時の通信速度を計測しています。読み込み速度が速いほどサクサク表示できます。楽天市場のサイトは重いので、Yahooと比べるとより速い読み込み速度は必要です。
それに加えて、HTTPSに制限を加えている格安SIMの場合、HTTPS対応サイトでも、Yahooは普通に読み込み込めても、楽天市場の読み込みが劇遅になる傾向があります。
楽天市場の読み込み速度の評価速度
良い (2Mbps以上)
普通 (1Mbps〜2Mbps)
少し悪い (0.4Mbps〜1Mbps)
悪い (0.4Mbps未満)
2Mbps以上出ていれば楽天市場で快適に買い物ができます。1Mbps〜2Mbps出ていれば特に問題なく買い物ができます。
0.4Mbps〜1Mbpsだと画像の表示に問題が出てきます。我慢して買い物をする感じになります。0.4Mbps未満だと画像がまともに表示できないので、買い物は諦めたほうがいいです。(かなり我慢すればできなくもないですが・・)
画像の読み込み速度 ※あまり重要ではない
HTTPS(SSL経由)で500KBの画像を複数読み込んだ時の通信速度を計測しています。読み込み速度が速いほど画像をサクッと表示してくれますが、通常のWebサイト等との関連性が微妙なので重要度は低めです。
HTTPSの速度を制限している格安SIMでも、画像データの場合はダウンロード速度を速くする傾向があります。
インスタグラムの読み込み速度
インスタグラムの読み込んだ時の通信速度を計測しています。読み込み速度が速いほど画像をサクサク表示します。インスタグラムは画像中心なので、比較的速い読み込み速度が必要です。
インスタグラムの読み込み速度の評価速度
良い (1.5Mbps以上)
普通 (0.9Mbps〜1.5Mbps)
少し悪い (0.7Mbps〜0.9Mbps)
悪い (0.7Mbps未満)
1.5Mbps以上出れば画像をサクサク表示できるので、快適にインスタグラムが使えます。
0.9Mbps〜1.5Mbpsなら普通程度には使うことができます。ただ、できれば1Mbps以上はほしいところです。
0.7Mbps〜0.9Mbpsだと画像の表示が遅れ気味になるので、少し我慢してインスタグラムを使う感じになります。0.7Mbps未満だと画像の表示がだいぶ遅れるので、インスタグラムの使い勝手がかなり悪くなります。
Twitterの読み込み速度
Twitterの読み込み速度を計測しています。読み込み速度が速いほど、画像をサクッと表示してくれます。読み込み速度が遅いと、テキストはサクッと表示されてもアイコンや画像の表示がだいぶ遅れたりします。
Twitterの読み込み速度の評価速度
良い (1Mbps以上)
普通 (0.7Mbps〜1Mbps)
少し悪い (0.3Mbps〜0.7Mbps)
悪い (0.3Mbps未満)
Twitterのサーバー自体が重いので、Twitterの読み込み速度はそんなに出ません。
1Mbps以上なら画像もアイコンもサクッと表示してくれます。Twitterを快適に使えます。
0.7Mbps〜1Mbpsなら普通に使うことができます。ただ、できれば0.9Mbps以上ほしいところです。
0.3Mbps〜0.7Mbpsだと画像とアイコンの表示が遅くなり支障が出てきます。0.3Mbps未満だと画像もアイコンも表示できないものとして扱ったほうがいいです。テキストだけなら0.3Mbp程度でも割と普通に使えます。
アプリのダウンロード速度 ※そこそこ重要
Google Playでアプリをダウンロードした時の通信速度を計測しています。アプリのダウンロードは基本的にWiFi経由でダウンロードすることが多いと思いますが、たまに外でアプリをダウンロードしたりアップデートしたりすることもあるので、そこそこ重要です。
格安SIMの中にはアプリのダウンロード速度を制限したり、実質的に禁止したりしている格安SIMがあるので注意してください。(iPhoneアプリのダウンロード速度も、同じような感じになっていると思われます)
平日昼はアプリのダウンロードが不可能なほど通信速度が遅くなるので計測しません。(UQ mobileなら可能ですが、その他ほぼ全ての格安SIMでは不可能なレベルになるので計測を省略しています)
アプリのダウンロード速度の評価速度
良い (5Mbps以上)
普通 (2Mbps〜5Mbps)
少し悪い (1Mbps〜2Mbps)
悪い (1Mbps未満)
5Mbps以上ならアプリを快適にダウンロードすることができます。一般的なアプリ(30MB)だと1分もかかりません。
2Mbps〜5Mbpsだと少し待つ感じですが、使えるレベルでアプリをダウンロードすることができます。
1Mbps〜2Mbpsだと結構時間がかかってしまいますが、我慢すればダウンロードできます。
1Mbps未満だと、その場でのアプリのダウンロードは諦めたほうがいいです。スマホを放置して、10分くらいたったらダウンロードできているかな?くらいの遅さになります。0.5Mbpsを切ると、寝るときにダウンロードする感じになります。
アプリは基本的にはWiFi経由でダウンロードしたほうがいいです。自宅にWiFiがない場合は無料のWi-Fiを使うことをオススメします。
スピードテストアプリ(スピテス)の速度結果には注意が必要
通信速度の計測といえば、Speedtest.net by Ooklaなどのスピードテストアプリでの計測(通称スピテス)が一般的ですが、速度結果を鵜呑みにしないほうがいいです。
スピテスは一般的に認知されている計測方法ですが、MVNO側の調整で「スピテス」だけ速度を速くすることが可能になっています。2016年2月下旬に大きく発覚して、スピードブーストやスピテス詐欺と言われています。
今では目に見えたスピテス詐欺をしているMVNOはほとんどないですが、スピテスだけ少し良い結果が出る可能性が否定できません。
それに加えてスピテスでは、どんな速度を計測しているのかわかりません。多くの格安SIMは利用用途によって実際に出る通信速度が変わりますが、スピテスが計測するのは1種類だけです。
※ 複数の項目の通信速度を計測しているスピテスもありますが、大手キャリアのような超速い通信速度を前提とした測定尺度になっています。通信速度が遅い格安SIMを計測するのには、あまり適切な方法ではありません。
ツイッターでスピテスで1.5Mbpsしか出ないクソ遅い!といったツイートをよく見かけます。本来であれば1.5Mbps出ていれば大抵は快適に使うことができますが、スピテスの1.5Mbpsだと、実際には0.6Mbps程度しか出ていない場合もあるので、さっぱり検討がつきません。
スピテスでの通信速度の測定が完全に無駄というわけではありません。スピテスでも、その格安SIM限定の相対的な混雑具合を把握することができます。自分が使っている格安SIMの調子を把握することができます。ただし、他の格安SIMと比べてどうなのかの比較は困難です。
スピードテストアプリごとに通信速度が異なる
スピードテストアプリは1つだけではありません。いろんなスピードテストアプリがあります。同じ格安SIMでも速い通信速度が出るスピードテストアプリがあったり、遅い速度が出るスピードテストアプリがあったりします。
これはスピードテストアプリごとに何をどのように測定しているかが異なるために発生します。
結局のところスピテスでは何の用途の通信速度を計測しているのかわからないので、スピテスで複数の格安SIMを比較しないほうがいいです。
スピテスはあくまで一つの格安SIMにおける、相対的な混雑具合を把握するだけに留めておくのが適切です。
曜日と時間帯で通信速度が大幅に異なる
人それぞれの感じ方と使い方で格安SIMの通信速度の評価が変わります。さらに評価が人それぞれバラバラになるもう一つの大きな原因は、格安SIMは使う曜日と時間帯で通信速度が大幅に異なるためです。
格安SIMは使う曜日や時間帯によって、通信速度が大きく異なります。
同じ格安SIMを使っていて超速いと絶賛する人と、使い物にならないと怒っている人がいるのは、スマホを使っている時間帯が異なるために起きている可能性が高いです。
スマホを使っている人が多ければ多いほど、格安SIMの通信速度は低下します。土日や祝日は、人それぞれ行動がバラバラになるので、平日のようなスマホを一斉に使い出す時間帯がなくなるため、時間帯による目立った速度低下は現れません。(中にはカスのような格安SIMもあるので、その場合はずーと低速になりますが・・)
平日になると、朝みんな起きて会社や学校に行く前や通勤・通学中にスマホを使い出すため、回線が混雑して格安SIMの通信速度が低下します。ただし、平日の昼と夜と比べると、平日の朝の速度低下は少なめです。
平日の昼になると、みんな一斉にスマホを使い出すので、極端な速度低下が発生します。平日の夜になると、みんな仕事や学校が終わって、スマホを使い始めるので、この時間帯でも速度低下が発生します。
誰も使っていないような時間帯だと通信速度が速くなります。
月の上旬が遅くなり、下旬になるにつれて速度が少し速くなる
格安SIMは月末前後に契約が増えます。ユーザが増えるので上旬に速度低下する傾向が高いです。
下旬になるにつれて、データを使い切る人が増えてきます。そのため、回線に少し余裕が出て速度が少し速くなります。
この二つの組み合わせで、格安SIMは月の上旬が遅くなり、下旬になるにつれて速度が少し速くなる傾向があります。
月曜日は速く、金曜になるにつれて遅くなる
こうなる原因は定かではありませんが、月曜日は仕事などで忙しいのでスマホの利用が少し減るのではないかと思います。金曜日になるにつれて、余裕が出たり、疲れたり、土日の予定を考えたりなどでスマホの利用率が増えるのかなと思います。
いずれにせよ格安SIMは月曜日は速く、金曜日になるにつれて遅くなる傾向があります。
「平日の昼でも速い」はほとんどデマ
平日の昼はほぼ全ての格安SIMの通信速度が極端に低下します。UQ mobileなら平日の昼でも速いですが、それ以外の格安SIMほぼぼ間違いなく速度がかなり遅くなります。(ごく一部で例外があり)
ただ、平日昼に通信速度がかなり遅くなる格安SIMに対して、平日昼でも速いと言う人がいたりします。
半分くらいは宣伝目的でデマを吐いているだけですが、残りの半分は12時ジャストや13時ちょっとに速度を計測して、その結果をみて速いと言ってしまったりだと思います。
平日の昼に速度が低下する時間帯は12時15分〜12時50分です。この時間帯に極端な速度低下が発生します。12時ジャストや13時ちょととかだと、極端な速度低下から外れている時間帯です。
時期によって通信速度が変わる
格安SIMは上記の他にも時期によって速度が変わることがあります。
例えば、今まで速かった格安SIMが1ヶ月後に速度が低下して遅い格安SIMになったとか、今遅くても回線の増強で明日速くなったりもありえます。
加えて、利用用途ごとの通信速度も、MVNOの方針により制限がより強化されたり、緩和されたりする場合があります。ただし、多くの場合で制限が緩和されたのではなく、回線の増強で余裕が出たために、一時的に制限が緩和されているだけの可能性が高いです。回線に余裕がなくなったら、高い可能性で同じような制限が始まります。
時期によって通信速度がほとんど変わっていないのは、UQ mobileとIIJmioとIIJmio系(エキサイトモバイルとDMMモバイル、イオンモバイル)くらいです。加えてこれらの格安SIMは利用用途ごとの通信速度の制限もほとんど見受けられません。
通信速度が速くなる、回線の増強について
格安SIMはMVNOが回線を増強することで、通信速度が改善されて速くなります。ただし、回線の増強はコストがかかるので、そんなにバカスカと増強することはできません。利益を確保しつつ、ユーザから不満が出ないようにできるだけ回線の増強を行なっています。
回線の増強の仕方も、一気に大幅増強するところあれば、小出しに複数回に分けて少しずつ増強するところ、さらには増強したと言いつつほとんど増強していないMVNOもあります。
大幅増強は一見嬉しく思えるかもしれませんが、そのぶん通信速度の変動が大きくなります。大幅増強直後はいいですが、それからジリジリ低下していき、しばらく大きな増強は行われません。通信速度の速い時期と遅い時期の差が大きくなります。いつでも同じように使えるとは言い難くなります。
理想的なのは、小出しに複数回に分けて増強するところです。この場合、目に見えて速度が改善されることはありませんが、通信速度の速い時期と遅い時期の差が小さく、いつでも同じように使うことが期待できます。ただし話題性に乏しいので、目立ちません。IIJmioやIIJmio系のエキサイトモバイルなどは、このタイプのMVNOです。
一番うざいのが、あまり速くない格安SIMが増強しましたとか言って、実際には速度が改善されていないケースです。これは、増強は増強でも、超せこい増強のため速度改善に至らないためです。あたかも通信品質を維持しているかのようにするために行われます。こんなことをするのはごく一部なのですが、増強=良いこと、と考えるのは早計です。
時期によって変動する格安SIMの速度の評価について
格安SIMとWiMAX 2+の実際に出る通信速度の記録では、長期的な視点から格安SIMの通信速度の評価を行なっています。
短期的に回線を増強して、どかっと通信速度が改善された場合でも、ある程度は評価しますが、そこまで大きく評価はしません。回線を増強して、どのくらい安定してその速度を維持し続けるかを視点に、3,4ヶ月くらいかけて少しずつ評価していきます。
逆に通信速度が低下した場合でも、1ヶ月程度なら特に文句は言いません。というのも、何かしらの計画違いで、回線の増強が間に合わない可能性があるからです。回線の増強をしたいと言っても、すぐにできるような代物ではありません。
何回も間違えてもらっては困りますが、たまに計画違いが起きて1ヶ月程度なら、通信速度が低下した状態でも我慢する評価形式になります。ほとんどの格安SIMは不便に思うほど通信速度が低下する時期があるので、あまり厳しいと格安SIM自体を選べなくなるので・・・。
桜の季節は格安SIMの通信速度が低下する時期
3月に多くの人が格安SIMを契約します。
人が増えても回線を適切に増強することで通信速度を維持できるのですが、想定を上回って人が増えすぎると極端な速度低下が発生します。
3月は人が急増するので想定が困難です。そのため回線の適切な増強に失敗する格安SIMが結構出てきます。回線の適切な増強に失敗すると、3月下旬ごろから通信速度の低下が発生します。
4月になると通常のペースの増加数になるので、3月下旬ごろから速度低下が発生した場合でも、4月中旬ごろから回線の増強が追いつき始めて速度が改善して行きます。ほとんどの場合で、5月にはもとの速度に戻っています。
ダウンロード速度、アップロード速度、PING、Jitterについて
通信速度の指標として、ダウンロード速度(下り速度)、アップロード速度(上がり速度)、PING、Jitterがあります。
このうち重要なのがダウンロード速度です。このサイトで掲載している通信速度は全てダウンロード速度になります。
アップロード速度はしょぼい格安SIMでも十分以上の通信速度が出るので無視です。
PING(反応速度)とJitter(安定性)は比較的重要です。ただし、スピテスでPINGとJitterを計測できるところもありますが、スピテスのPINGとJitterはMVNO側で故意に操作できるので参考にしないほうがいいです。
PINGとJitterは反応速度と安定性 (リアルタイム)を参考にすることを強くオススメします。
場所によって速度低下する:オフィス街、駅前、帰宅ラッシュの電車内、地下鉄、スタジアム、コンサート、コミケ
格安SIMの通信速度が変わる一つの要因が、計測場所(基地局)です。
近くの携帯電話の基地局が混んでいる場合は通信速度が低下します。
郊外だと基地局が局所的に混雑することが少ないので、場所によって通信速度が不利になる場合がほとんどありません。
都市部、特にオフィス街だと混雑する基地局が存在するため速度が低下する場合があります。他に人が局所的に集まる駅前、帰宅ラッシュの電車内、地下鉄、スタジアム、コンサート、コミケなどでも通信速度が低下します。
都市部でも普通の住宅街とかなら特に問題ありません。人が多く集まるところで速度低下が発生する場合があります。
郊外でもイベントなどで人がたくさん集まったりすると、通信速度が低下します。
格安SIMで速度が低下する場所は、大手キャリアでも速度が低下しています。例えば地下鉄での利用ですが、大手キャリアであっても地下鉄での電波が悪い場合があります。電波が悪いと速度も低下します。
格安SIMは大手キャリアよりも通信速度が遅いので、大手キャリアでも速度が低下するような場所だと、格安SIMはまずいくらい低下します。
格安SIMのリアルタイム測定の計測場所は東京(川崎とか蒲田とか羽田とか品川に近い場所)の普通の住宅街になります。高いビルもあまりないです。基地局が特に混雑しているわけでも、空いているわけでもない、普通の基地局だと思われます。屋内での計測になりますが、電波状況は普通程度に良いです。
低性能なスマホだと読み込み速度が低下する
格安SIMの通信速度を決める主因は格安SIM側(POI)にあります。
ただし、スマホが低性能だとWebサイトの読み込み速度が3割くらい遅くなったりします。
ファイルのダウンロード速度はスマホの性能にほとんど左右されないのですが、Webサイトの読み込み速度はスマホが低性能だと読み込み速度も低下します。
とりわけ低性能でなければ大丈夫ですが、Antutu(v7以上)のスコアが5万を切るスマホは避けたほうがいいです。スコアが6万以上あれば、読み込み速度が不利になることはほとんどありません。
キャリアアグリゲーション(CA)はおまけレベル
キャリアアグリゲーション(CA)に対応しているスマホだと最大通信速度が速くなりますが、格安SIMだとスマホがCAに対応していても速度アップはほとんど期待できません。
少しだけ速度が良くなるかもですが、ほとんどおまけレベルなので気にしないでいいです。
スマホを使っている人が少ない空いている時間帯だと、CA対応スマホなら速度アップすると思いますが、空いている時間帯はそもそも通信速度が十分速いので、速度アップしたところで意味はほとんどありません。
WiMAX2+対応もおまけレベル
au系の格安SIMだと、スマホがWiMAX2+の電波に対応していれば、WiMAX2+の電波でネットができますが、これも効果はいまいち少ないです。もしかしたら速度が少し良くなるかもくらいのおまけレベルです。
格安SIMの通信速度の計測の仕方と注意点のまとめ
格安SIMの通信速度は、利用用途、曜日、時間帯、時期、場所、端末により、実際に出る通信速度が大幅に変わってきます。
加えて、人それぞれ感じ方も違ってきます。問題に感じる人もいれば、あまり気にしない人もいます。自宅にWiFiがあるかないかだけでも、格安SIMの評価がかなり左右されてしまいます。
このため格安SIMを使っている人の意見も重要ですが、その意見と他の格安SIMとを比較するのは難しいです。同じ状況で客観的に計測しないと、他の格安SIMよりも良いのか悪いのかがわかりません。
※ 極端な速度低下が発生している場合は別です。極端な速度低下が発生していると、多くの人がTwitterで文句を言い出すので結構わかりやすいです。
このサイトでは、30枚以上の格安SIMの主要な利用用途の通信速度を、同じ場所(普通の基地局)で、適切な機材で、毎日リアルタイムで格安SIMに適した速度計測を行うことで、格安SIMを相対的に評価することを可能にしています。
できるだけ正確な格安SIMの通信品質を把握できるように、できるだけ頑張っています。
ただ、予算の関係で精度は80〜90%程度と思っていただければと思います。100%近くにしたいですが、100%近くにするとメンテナンスコスト(月額料金や端末代)が2倍以上かかってしまいます。そのため80〜90%程度を目処に維持しています。
ネットで得られる情報としては最も精度が高い情報になっているはずなので、格安SIMの通信速度を重視している場合は、下記の記録を参考にしてみてください。
格安SIM30枚以上の通信速度(リアルタイムHTTPS計測)