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福井

地元「世話しっかり」 コウノトリひな誕生

生まれたひなと卵を見守る雌のさっちゃん=越前市中野町のケージで(県提供)

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 越前市中野町で県が飼育する国の特別天然記念物コウノトリの雄「ふっくん」と雌「さっちゃん」のペアが産んだ有精卵から七日、ひなが誕生した。悲願だった地元で産まれた卵からのひな誕生に、同市白山地区でコウノトリをシンボルに自然再生に取り組む関係者から喜びの声が上がった。

 ペアを世話する地元の「コウノトリ育む会」の堂下正道会長(73)は「これまでの(他のペアが産んだ有精卵をふ化させる)托卵(たくらん)と違い、世話するペアが産んだ卵からのひな。喜びは格別」と声を弾ませる。ひなを無事に成長させる役割も担い「放鳥したときに元気に大空に舞うように、餌やりなど世話をしっかりしたい」と意気込む。

 長年にわたってコウノトリをシンボルにした環境保全活動に励む「水辺と生き物を守る農家と市民の会」の恒本明勇(あきお)会長(71)は「ますますコウノトリがすめる環境づくりに励む必要を感じている。初心に帰って、地域で取り組みを広げていきたい」と決意を新たにする。

 コウノトリ見守り隊長の加藤信之さん(70)は「ふっくん、さっちゃんが子育てに専念できるように、見守りをしっかりし、ルールを守った観察を呼び掛けていきたい」と話した。

 西川一誠知事もこの日、ひな誕生は、地元白山地区と越前市、県が力を合わせて努力した結果とし、「ひなが無事に成長するよう、気をつけて飼育するとともに、餌場環境の整備など多様な生き物と共生する地域づくりを進めたい」とのコメントを発表した。

 (山内道朗)

 

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