整形する前、恋愛は片思いで終わることばかりだった。そもそも自分の見た目に自信がなかったから積極的になれなかった。私なんかが好きっていっても迷惑だろうな、きっと振られるんだろうな。そんなネガティヴな感情しか抱けなかった。ブサイクはブサイクらしく、控えめに生きようと思っていたし、ブサイクのくせに身の程知らずだと思われるのが怖かった。
それが整形して、ダイエットして、メイクもファッションも勉強して「綺麗ですね」と言われる見た目になってからは、恋愛観が180度変わった。
今回は、整形して、見た目が大きく変わった私だからこそわかるモテと恋愛について書いていこうと思う。
美人ばかりの受付嬢の仕事
整形後、成人した私は、一時期、とある企業の受付をしていた。いわゆる、受付嬢というやつだ。わりと大きな会社で、毎日慌ただしくいろんな人が通っていく。受付嬢は私を含めて4人いた。それぞれ顔の系統はバラバラだったけれど、みんな美人だった。
「美人は性格が悪い」と思っている人もいるけれど、彼女たちはみんな明るくて性格が良かった。彼女たちのような天然美人(生まれつきの美人)は、子供の頃からずっと周りの人に優しくされて育ったのだろうし、他人と比べられて嫌な思いをしたことがないぶん、卑屈にならずにすむのだと思う(ちなみに、天然美人はそこまで自分の見た目に執着しておらず、サバサバしてる人が多い気がする)。
「また変な社長にしつこくされててさぁ」
黒木メイサのようなキツめの美人の由美さんは、おじさん受けがとてもよく、いつも社長さんやお偉いさんに声をかけられていた。あとの2人は彼氏がいることを公表していたので、必然的に私と由美さんがよく男性から声をかけられた。
「良かったらお食事でも行きませんか?」
「連絡先教えてください」
「お綺麗ですね」
褒められて嫌な気持ちになる人なんていない。私は男性に声をかけられる度に嬉しい気持ちでいっぱいになった。
目の前を通っていく、社長さんやサラリーマン。その中でもひときわ目を引く男性がいた。185センチはあるだろうスラッとした体型に高い鼻、くっきりとした切れ長の目。
「いつもお疲れ様」と、笑顔で声をかけてくれる彼は私たち受付嬢の間でも話題の中心になっていた。私も密かに憧れていたし、あんなかっこいい人と付き合えたら幸せだなーと思っていた。
ドラマのようなことが現実に起こるなんて
ある日、他の3人がたまたま席を外していて、一人で受付にいた時があった。私は暇だな~なんて思いながら外を飛んでいる鳥の数を数えていた。
「あの、すみません」
急に声をかけられてハッと我にかえると、目の前にその彼がいた。
動揺する気持ちを抑えて「はい、どうされましたか?」といつも通りの笑顔を返すと、 彼は照れたような表情でこう言った。
「前からお綺麗だと思っていました。いつも癒されてます。あなたのおかげで今日も一日頑張れます。ありがとうございます。ずっとお話してみたかったんです」
驚いた。
私はこの人になにもしてあげてない。なにかを手伝ったわけでもないし、しゃべったこともない。それなのにこんなにも感謝されている。
美しさの持つ力は、本当にすごい。
ドラマのようなことが現実におこるのだ。
「僕、高岡と言います。もしよかったら、連絡ください」と、小さなメモ用紙に電話番号を書いて彼は去っていった。
嬉しくて嬉しくて、誰かに自慢したくてしょうがなかった。こんな飛び上がるぐらい嬉しいことが美しい人にはたくさん起こっているんだ。
ブサイクだった学生時代は、憧れだった男の人を遠くから眺めることしかできなかった。いつも気持ちを告げることもできずに片思いで終わっていた。
それなのに、今はどうだ。憧れの男性に求められている。
恋愛に小細工なんて必要なかった
美しくなってから、男の人が積極的で正直な生き物だと知った。重い荷物を運んでくれる逞しさや、体調を気遣ってくれる優しさを、今までは知らなかった。
女の子扱いされることやチヤホヤされることはこんなにも気持ちのいいものなんだ。
その後、高岡さんと連絡を取り合って何回かデートしたあと、告白された。
恋愛って、美しければこんなにもスムーズに進んでいくものなんだ。整形前は、どんなに恋愛本を読んで恋愛テクニックを勉強しても、男受けを意識した服装をしても叶わなかったのに。顔を変えた途端、片思いすることがなくなった。
はっきりわかったことは、恋愛において小細工なんて必要ないということ。男の人は女の人を顔で選ぶ。美しければ、たいていの恋は叶う。
整形してからはこんな感じのサプライズがよく起こるようになった。
一人で牛丼チェーン店に入ったら隣の席の男の人がお会計を済ませてくれていた。タクシーのおじさんが料金をサービスしてくれた。 服屋のお兄さんがレシートに連絡先を書いて渡してきた。
男の人はとても優しい。
困ってたら助けてくれるし手伝ってくれる。
美しければ。
ただ、美しいことがマイナスになる一面も味わった。恋愛する機会や男性と食事に行くことが増えたぶん、チャラついている、男好きなどと言われることが増えた。誰々と付き合ってる、誰々と関係をもっているなどとありもしない噂をたてられたり、男女関係のトラブルに巻き込まれることもあった。
でも、そんな悩みをさしひいても、私は美人になって良かったと心から思う。
少しでもブサイクになったら嫌われてしまう…
高岡さんと付き合って1年が過ぎた頃、いつもどおりにデートをしているとき、ふとこんな会話になった。
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