イラン核合意離脱なら米国は「歴史的な後悔」直面 ロウハニ大統領が警告
イランのハッサン・ロウハニ大統領は6日、ドナルド・トランプ米大統領が2015年のイラン核合意を放棄した場合、米国は「歴史的な後悔」に直面することになると警告した。
ロウハニ氏の発言は、トランプ氏が5月12日を期限として核合意から離脱するかどうか決断するとしているのを受けたもの。
トランプ氏は核合意を「ばかげている」とし、強く批判している。
2015年にイラン、米国、中国、ロシア、ドイツ、フランス、英国の7カ国間で締結された核合意は、イランが核計画を制限することと引き換えに、同国への経済制裁解除を定めた。
フランス、英国、ドイツの首脳は、現在の核合意がイランの核兵器開発を止める最良の方法だとして、トランプ氏の説得を試みてきた。
ボリス・ジョンソン英外相はホワイトハウス高官とこの問題を話し合うため、6日からワシントンを訪れている。
国連も、トランプ氏は核合意離脱するべきではないと警告を発した。
しかしトランプ氏は、米議会と欧州各国が核合意の「破滅的な欠陥」を修復しない限り、経済制裁解除の是非を再検討する120日間の期限にあたる5月12日に、米国は核合意から「引き上げる」だろうとけん制している。
ロウハニ大統領はイラン国営放送で6日に生放送された演説の中で、「もしアメリカが核合意から去るなら、それは米国に歴史的な後悔をもたらすだろう」と述べた。
ロウハニ氏はイランが「トランプ氏が取りうるあらゆる決定に対抗する計画を持っている」とし、「あらゆる決定に対決する」と警告した。
イランは同国の核計画が完全に平和的なものであると主張しており、核合意は再交渉する余地のないものだと考えているとしている。
イスラエルは先週、イランが2003年以前に秘密の核兵器計画を進めていて、技術的な知識を秘密裏に保持し続けており、核合意に違反することを示しているとする「秘密の核ファイル」を公開した。
イランはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相をうそつきと呼び、同氏が作った資料は国連傘下の核監視機関である国際原子力機関(IAEA)が既に対応した古い疑惑の焼き直しだと述べた。
しかしマイク・ポンペオ米国務長官は、資料は信頼できるもので2015年のイラン核合意は「うその上に築かれた」ことを示したと話した。
トランプ大統領は既に、核合意がイランの核計画を期限付きでしか制限できていないことや、弾道ミサイル開発を止められていないことに不満を示している。
また同氏は核合意が、中東地域全体に「武器、恐怖、抑圧をもたらす不正資金」として使われた1000億ドルの臨時収入をイランにもたらしたとも述べた。
制裁によって凍結されていた経済資源は、核合意が定めた規定の下でイランに返還された。イランは、同国が軍事組織を支援しているとする米国の主張を一貫して否定している。
英国のジョンソン外相はワシントンでの2日間の日程で、マイク・ペンス米副大統領やジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、米議会の外交担当者などと面会する予定だ。
ジョンソン氏は今月初め、「米国の法的懸念に配慮するために取り組みながら」核合意を維持するのが重要だと述べた。
イスラエルのネタニヤフ首相は6日、イラン政府と対決するなら遅れをとるより早いほうがいいとし、再びイランを非難した。
ネタニヤフ氏は閣僚会議での演説で、イランがシリア政府に高性能兵器を供給し、イスラエルに危険をもたらしていると糾弾した。
同氏は「我々は、たとえ紛争になってもイランの我々への攻撃を阻止するつもりだ。遅くなるより今がいい」と付け加えた。
(英語記事 Iran's Rouhani warns Trump of 'historic regret' over nuclear deal)