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【プロ野球】

清宮、デビュー5戦連続ヒット 高卒新人で新記録

2018年5月7日 紙面から

日本ハム-ロッテ 8回、中島卓の適時打で生還し迎えられる日本ハム・清宮=札幌ドームで(堀内翔撮影)

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◇日本ハム6-1ロッテ

 日本ハムが2位に浮上した。1回、中田の犠飛、中島の適時内野安打などで4点を挙げた。加藤が7回途中まで1失点で2勝目。ロッテは来日初登板のオルモスが立ち上がりに3四球と自らの2失策で自滅し、5位に転落した。

    ◇

 日本ハムのドラフト1位新人・清宮幸太郎内野手(18)が6日、ロッテ戦(札幌ドーム)5番・指名打者でスタメン出場。1回2死の第1打席でボテボテの三塁内野安打をもぎ取り、ドラフト制後の高卒新人では史上初となるデビュー戦からの5試合連続安打とした。会心の一撃にはほど遠くても、新記録を樹立するのはまさに「持ってる男」の証明。1試合に1安打という“一日一善”のペースながら、球史にしっかりとその名を刻んだ。

 デビュー5戦目。早くもプロ野球の歴史に清宮幸太郎の名を刻んだ。2点を先制直後の1回2死走者なし。フルカウントからロッテ先発・オルモスのスライダーにバットの芯は外されたが、これが超ボテボテのゴロとなり三塁へ。「バントみたいな当たりだった。思い切って走りました」。一塁へ全力疾走で駆け抜ける内野安打だ。

 ドラフト制以降、高卒野手のデビュー戦からの連続試合安打は、1999年の西武・赤田、2015年の日本ハム・浅間の4試合を抜いて新記録となった。

 「(記録の)意識はあまりなかった。毎打席集中してやれていることが結果につながった。次はヒットらしいヒットを打ちたいですね」。GW最終日。多くの子どもたちが見守る中での達成に「こういう舞台でできて幸せだなぁと思う」と笑顔をみせた。

 怪物らしからぬ当たりとなったが、その過程に価値がある。ロッテの新外国人左腕・オルモスは193センチからインステップ気味で投げ込み、清宮にとっては背中からボールが来るイメージだ。カウント2-2からのスライダーは、ストライクからボールに外れるいわば勝負球。並の新人ならバットが回りそうだが、しっかり見極めた。清宮の打席でのアプローチに、城石打撃コーチも「打席の中で修正したり対応しようとしている。慌てる感じがないですね」と目を細めた。

 動じず、慌てず、基本的にマイペース。食事もゆっくりで、ファームでは練習の次の行程に向かうのに「早く!」とコーチから急かされることもあった。そのメンタリティーは、巨人時代は遅刻の常習犯だった松井秀喜をほうふつとさせる。

 ただ、そんな清宮でも今年3月は自分を制御できなかった。オープン戦無安打、2週間の入院生活、そしてファームでも無安打続き…。そんな時、テレビ画面に映っていたのは、エンゼルス・大谷だった。オープン戦の不振時も、日本ハム時代と変わらぬ振る舞いをみて背中を押された気がした。「自分はあんまりへこむことはないですけど、考え過ぎず堂々と、いつもの自分でやることが大事だなと。そう思って見てました」。海の向こうで奮闘する偉大な先輩の存在が、心の大きな支えとなった。

 たかが5戦、されど5戦。清宮はプロの厳しさを肌で感じ、自らを奮い立たせた。「ヒットを打つのはこれだけ難しいのかと。そこが高校の時と一番違う。前は当たり前だったけどそれができない場所。相手に合わせなきゃ行けないときもあるし、自分を貫かなきゃいけないときもある。いろいろ考える中で成長したい」。着実にスターへの階段を上り始めた背番号21。大谷同様、期待を超えることこそ18歳に託された使命だ。 (土屋善文)

 

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