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2018.01.22 | 国会活動
第193回国会における施政方針演説を受けて代表ぶら下がり会見

1月22日(月)代表ぶら下がり会見

【記者】施政方針演説についてどう見たか。
【代表】一言でいうと、永遠の道半ばという感じがしました。5年も総理をしておられますが、特段新しいことはなかったかなと思います。都合の良い事実は並べ立てる一方で、都合の悪いことについては取り上げない、また巧みな言葉でうまくごまかすといった印象です。例えば人生100年時代ということで、しっかりと対応していかなければならない課題だと思いますが、国民の皆さんが一番知りたいのは人生100年時代になったら、年金はいつからもらえるのか、今まで通りもらえるのか、減らないのか、社会保障制度の持続可能性はあるのか、ということに関心があると思いますが、一切そうしたことには言及がありませんでしたし、外交面で見ても、例えば脱炭素社会を牽引するという言葉がありましたが、皆さんもご存知の通り脱炭素社会に向けての取り組みにおいては、むしろ日本は国際社会において孤立しています。ですからこうしたことについてしっかりと国会の中で論戦をして、明らかにしていきたいと思います。また防衛で言うと、気になる言葉があったのは「専守防衛は大前提としながらも従来の延長線ではない対応をしていく」というところがよく意味が分かりませんでした。一体何を目指していくのかが不明でしたので、ぜひこの点は国会の中でも議論を深めていきたいと思います。最後に財政再建です。これは麻生大臣、茂木大臣にも共通しましたが、2020年のプライマリーバランスの達成はできないと言っておられましたが、その旗は降ろさないと言いつつ、新しい健全化目標については今年の夏に示すということで、具体的な財政健全化の目標もないまま、予算を組み、それを国会で審議してくれ、というのはあまりにも無責任だと思います。こうした財政規律が緩んでいるということについてもこれからしっかり取り上げていきたい。冒頭申し上げたように、5年間色々なことに取り組んでこられたと思いますが、物価上昇2%は典型ですが、実現できていないことに対して、まだ道半ばだから更に皆さんやろうじゃありませんか、というような呼びかけもありましたが、そろそろいつまでたってもできないのではないかと。その意味では永遠の道半ば政策が乱発されていると思いますので、過去に掲げた政策やキャッチフレーズについてもひとつひとつ検証をしたいと思います。


【記者】希望の党として、施政方針演説の中で認められるような点はあったか。
【代表】河野大臣のほうが安倍総理よりも拍手が多かった、という印象です。中東和平に関して積極的に関与していくという河野大臣の言葉については評価できると思います。応援できるところはしっかりと応援していきたいと思います。

【記者】安倍総理は今国会を「働き方改革国会」と位置付けたが、希望の党としては働き方改革法案についてどう臨んでいくか。
【代表】働き方を改革していくことは重要ですが、今の政府案、例えば高度プロフェッショナル制度ということで一定の年収以上、または一定の職種については、残業代が出ないという新しいルールですが、年収基準がこれから下がってくる可能性もあるし、本当に働く人にとってプラスになるような改革になっているのか。いわゆる裁量労働制ということもそうですし、残業代の規制を入れることは賛成ですが、100時間という時間が果たして適当な規制なのか。時間外労働月100時間は過労死基準ともいわれていますから、過労死の水準までは働いていい、というのは規制としていかがなものかと思います。我々としてはしっかりと問題があると思われる点は改善をした対案を出していきたいと思いますし、これは他の野党とも力を合わせて取り組んでいきたいと思います。


【記者】安倍総理は、自民党内において憲法改正議論を急ぐような発言をしているが、今国会において、希望の党は憲法改正議論にどのように臨むか。
【代表】私たちは憲法の議論はしっかりと行っていくというのが党の方針でありますが、大事なことは変える必要があるかどうかの見極めだと思います。憲法に限らず法律も変える必要があれば時代に応じて変えていけばいいと思いますし、優先順位もそうした必要性の中で決めていけばいいと思います。ただ総理がおっしゃっているような、例えば憲法9条1項2項を残して、自衛隊を明記するということについては、先の特別国会でも総理は「それをやったとしても自衛隊の役割などについては変わらない、このことだけは申し上げておきたい」とおっしゃっていた。つまり憲法改正しても中身は全く変わらないということであれば、立法事実がないということになる。果たしてそうした形の憲法改正が必要なのかどうか。あるいは法的な論理性等があるのかどうか。こうしたことは自民党の中でもしっかりと議論していただきたいと思います。野党の中でもまとめていただきたいと思います。
 先ほど総理からも言及がありましたが、今年は明治150年であります。この150年は評価すべきところはもちろんありますが、ある意味中央集権で突っ走ってきた150年でもあり、人口増加を前提とした経済成長を追い求めてきた150年でもあります。そうしたことが曲がり角を迎えている中で、これから50年、80年先の国のあり方は、まさに中央と地方の関係性についても、ここでしっかりと考えていく重要な局面、時代認識が必要ではないかと思います。私たちとしては、すでに議論を始めていますが、地方自治の本旨などの分野から議論を積み重ねて、本当に意味のある国民の合意の得られる憲法議論を深めていきたいと思っています。

【記者】憲法9条については変える必要があると考えるか。
【代表】すでに代表指示という形で党内に指示を出しておりますが、9条に関しては自衛権についての明文がないということで却って時の権力による恣意的な解釈や自衛権の範囲についての自由な解釈が可能になる問題点については指摘をしてきたところです。だからこそ2015年の安保法制というのは、これまでできないと言ってきた集団的自衛権が、一夜にしてできるようになってしまう大変な混乱を生んでしまった。9条を議論するにしても、自衛権の議論―どこまで我が国が行使できる自衛権が行使できる範囲なのか、行使の前提条件は何であるか、など軍事的公権力の行使を抑制する観点からの議論はしっかりと行っていくべきだと思います。ただその議論は今後党内でしっかりと行った上で、そうした歯止めをかけていくような9条改正議論が必要かどうか、明文化することが必要かどうかは党内議論を経て党として決めていくことかと思います。

【記者】安倍総理の自民党両院議員総会での発言の詳細は、「私たちには実現していく大きな責任がある。いよいよ実現する時を迎えている。責任を果たしていこう。」とこれまでの発言よりも踏み込んだ印象だが、どう受け止めるか。
【代表】憲法は国民のものでありますので、国民の合意を丁寧に形成していくことが大事だと思います。ですから与党だけで走るものではなく、与野党の合意をできるだけ得る形で、国民の納得を得ていくことが大事だと思います。与野党が対立してしまうと、国民から本当に大丈夫なのかと、当然思われてしまいます。我々野党ももちろん数の大小はあるにせよ国民の多くから選ばれて議席を得ていますので、ここは改正するとしても憲法が国民のものだという立場に立てば、後には国民投票が待っていますし、与野党の丁寧な合意を行っていくべきだと思います。
 いよいよ実現する時を迎えている、ということは自民党総裁としてはそう感じておられるのかもしれませんが、世論調査を見ても、議論してもらいたいテーマとしては社会保障などが上位に来ているわけですし、憲法は色々改憲について意見はありますが、それほど優先順位が高いと国民の皆さんは思っておられないと思います。現に総理ご自身がおっしゃっているように、憲法を変えても何も変わらないというのであれば、そのスピード感としてはそれほど急ぐ必要はないとご自身も認めておられると思いますので、そこは丁寧な議論と与野党を巻き込んだ合意形成をしっかりやっていただきたいと思います。我々も建設的な議論を否定するものではありませんが、一つの党が「実現する時を迎えている」と言うのは、いきなり時を迎えているような印象で、違和感を禁じえません。

【記者】今国会で希望の党で優先順位が最も高い政策は何か。
【代表】総理からも国難という言葉も出てきましたが、一番大きな問題は人口減少問題です。日本人の人口がどんどん減っていく中では、成長にも限界があり、地方創生と言っても人がいなければ創生すべき地方がなくなってしまう。色々な美辞麗句を並べていますが、与野党関係なく、緊急な課題として真剣に取り組まなければならないのは人口減少問題だと思っています。あらゆる観点からこの人口減少問題をより具体的に問題提起をしつつ、我々の考えもしっかりと出していきたいと考えていますので、まず人口減少問題の議論を正面からやっていきたいと思っています。もう一つは、財政の現状についての危機感です。財政再建の旗は降ろさないと言いつつも、何かタガが外れたような財政運営になっていることについて非常に心配しています。消費税の使い道を変えて子育てに回していくと言っても、軽減税率を導入したことによって1兆円の財源がすでに飛んでしまっているわけです。しかもその穴埋め財源も見つかっていない。その中で子育てに回しても、それは単に赤字国債を発行するだけですので、子供のための政策を赤字国債で行って、その借金を子供たちに回していくというこれほど矛盾に満ちた政策はありません。財政運営が本当に規律あるものになっているのかどうか、という点についても国会で重点課題として論戦を挑みたいと思っています。

【記者】沖縄県の南城市長選挙の結果の受け止めと、名護市長選挙への対応は。
【代表】沖縄の皆さんの民意が示された結果だと思います。当選された瑞慶覧さんはかつての同僚でもありますので、心からお祝い申し上げます。名護市長選については、希望の党としては候補者の擁立や推薦なども行っていませんので、コメントを差し控えますが、頻発する飛行機やヘリコプターの事故を見ていると、やはり沖縄の皆さんの気持ちに寄り添って政策が行われているのかということについては非常に疑問を感じざるを得ません。毎回再発防止を申し入れているが、これほど頻発するというのはやはり大きな根幹の問題として、我が国当局が事故を調査したり捜査したりできないよう定めている地位協定の見直しをやるべきだと思います。憲法9条改正の前に、やるべきは地位協定の見直しです。
 そして今日日露交渉、領土交渉において言及はありませんでしたが、プーチン大統領と信頼の下で進めていくと言いましたが、そのロシアは「北方領土を返還した際に、そこに米軍基地が作られることは容認できない」としていますが、これが実はこの問題の一番の本質です。このことに対して、ロシア政府、ロシア外務省からは度重なるメッセージが出されているのに、日本はそのことには一切答えず、単に共同経済活動をしても全く意味がないと思っています。イージスアショアについてもロシア側の懸念は高まっています。ことほど左様にアメリカとの関係、特に地位協定の見直しもできずに、領土返還交渉はできないと思います。沖縄の話に戻りますが、憲法改正よりむしろ、地位協定の見直しをスピード感を持って政府には取り組んでもらいたいと思います。

【記者】週末のFNN・産経共同の世論調査で希望の党の支持率が1.3%、内閣支持率は50%以上となったが、受け止めと要因はどう考えるか。また今後の党勢回復や野党再編についてどう考えているか。
【代表】大変厳しい現実だと思います。謙虚に真摯に受け止めなければならないと思います。特に最近の統一会派をめぐる動きが、混乱と受け止められたことも支持率低下の要因だと思います。ただ統一会派については民進党さんの方で、当初の予定通りできない、ということになりましたので、一度これはストップした形になっています。通常国会が始まりましたので、予算委員会をはじめとした各委員会での国会論戦を通じて我々の考えをしっかりと国民の皆さんにわかりやすくお伝えするとともに、その中で存在感を発揮していきたいと思います。

【記者】代表質問では具体的にどういったテーマを取り上げる予定か。
【代表】今考えています。今日の総理の演説を聞いて、最終的にまとめたいと思っています。働き方改革、生産性革命、などの言葉が出ましたが、その政府が言っていることが的外れになっていないかどうかは当然取り上げたいと思いますし、繰り返しになりますが、財政や金融政策の問題についても幅広く取り上げていきたいと思います。

【記者】今国会、野党の一つとしてどのように安倍政権に対峙していくか。
【代表】やはり行政監視機能を果たしていくことが野党の役割ですので、補正予算、当初予算について、予算の無駄遣いや効果のない予算が計上されていないか、など予算本体についての議論を深めていきたいと思います。合わせて政権が中心的課題と掲げている、人づくり革命、生産性革命のように、単にスローガンに終わらないように厳しく検証していきますし、合わせて過去にいくつか掲げた政策、例えば新三本の矢と言われた、GDP600兆円、介護離職ゼロ、希望出生率1.8。こうしたものについても、あの時は安保法制が終わった後、目先を変えようとして出てきたのだと思いますが、例えば介護離職ゼロは実現しているのでしょうか。少なくとも、あの頃より減っているのでしょうか。過去に言ったことを言いっぱなしにさせないためにも、しっかりと過去掲げたスローガンや政策項目などについても厳しく検証していきたいと思います。

【記者】野党同士の連携についてはどう考えるか。
【代表】やはり力を合わせるべきところは、力を合わせなければいけないと思っていますから、共通して戦っていけるところは共同戦線をはりたいと思っています。その意味でも、わが党の考え方を本格論戦が始まる前にしっかりと整理をしたうえで、一致団結して論戦に臨んでいきたいと考えています。

【記者】先ほどの北方領土問題について、日米安保の適用を外すのであれば返還を考えてもいい、というのがロシアのスタンスだが、日本政府はそれは考えていないようだ。一方、竹島について政府は日米安保の対象に含まれているかどうか明らかではないが、少なくとも米軍は日米安保の対象に含んでいない。この点、日本政府の矛盾を感じるが、これによって北方領土返還交渉が進んでいない現実をどう考えるか。
【代表】施政権の下にある、というのが安保上の規定になっていると理解しています。今回も米軍基地のことはロシアは頻繁に言っていますので、そのことは解決しないまま領土交渉が進むとは思えない。一方で経済活動だけどんどん進めていっては、言葉は悪いが、お金だけ取られていつまでも領土は返ってこないと。これもまた永遠の道半ば政策に映ります。もう一つ具体的な話をすると、例の共同経済活動にしてもロシアの法律でもなく、日本の法律でもない、特別な制度の下で行うというのが長門合意だったと思います。ただ4島が共同経済活動の対象になっていますが、地対艦ミサイルが配備されている国後・択捉島で、ロシアの国内法以外の法律を適用するというのはとても考えられない。本当にそんなことが実現できるのか。ロシアの国内法ではない特別な法律を4島に適用することがあり得るのか。そうしためどが希望的観測を持ちながら、共同経済活動に突き進もうとしていますが、私はそうした今の取り組みについては大きな懸念を抱いています。

【記者】FNN・産経共同世論調査において、希望の党の支持層のうち、改憲を望むのは4割以下との結果が出ているが、どう受け止めるか。
【代表】これも以前申し上げたかもしれませんが、希望の党の理念や政策に集った、いわゆるチャーターメンバーの方々もいらっしゃいますが、今の希望の党の構成議員を見ると、その多くは民進党から大きな塊を作ろうと、先の衆院選で党の決定、政策協定に基づいて合流された方が多い。今希望の党を支援しようという方は、そうした議員の支援者も多いのかと思います。希望の党オリジナルの候補者がたくさん当選していれば、支持層の中で改憲を進めろともっと多くの声になったかと思います。現状51名衆議院議員がいて、その多くが民進党からのちに合流してきたことからすれば、仮に希望の党を応援する方と所属議員の支援者が重なっていれば、少しそこはオリジナルの希望の党の改憲支持に比べて少し低めの数字が出るのかなと、私なりに分析します。
(了)