1.冒頭発言
きのうは深夜まで与野党の幹事長、書記局長レベルの協議が行われました。また、けさも野党幹事長・書記局長会談を開催して、改めて与党に対して協議を求めましたけれども、与党はこれを拒否したと聞いております。われわれは、予算が衆議院で上がるかどうかという大事な局面を迎えておりますけれども、やはり問題となっている裁量労働制のデータの不備の問題、再調査は不可欠だと思いますし、この法案の中から問題となった裁量労働制、そして高度プロフェッショナル人材の部分については削除をする、これは撤回をするということは強く求めていきたいと思います。
与党に対してもどのような法案に対する対応か。昨日(2/26)、私は総理にも聞きましたけれども、明確な答えがないままになっております。データ精査するといっても、そもそも調査の手法そのものにやはり問題があるのではないかと思いますので、根っこからそもそも調査に問題があるのではないかと思いますから、精査に時間をかけること自体、私は意味があまりないと思っております。
併せて、今、財金の方でも非常に強引な運営が行われておりまして、かつての平成3年の地価税から数えて久しぶりの新税の創設が、国際観光旅客税法案という形で出てきております。これを4時間で通そうとしていますが、例えば前回、新税を検討した地価税の際には14時間以上の審議をしておりますし、参考人も入れてやっております。国民に新たな負担を求めるという新しい税でありますから、乱暴に行うことなく、しっかりと慎重な審議をぜひ行うべきだと思っています。
こうした中でいよいよ来年度予算案の採決ということが言われておりますけれども、きのうも質問に立って思いましたが、まず内閣、閣僚側に緊張感がありません。非常に残念だと思いますし、総理自身も総理席からやじを飛ばしたり、とても一国の総理とは思えない、極めて残念な状況が続いているということは極めて遺憾であります。また、働き方改革についても、どんどんデータの不備等が明らかになっておりますので、採決の環境は整っていないと思います。さらなる審議を求めていきたいと思います。
併せて、江崎大臣が体調不良によって大臣を辞するということであります。辞任はやむを得ないとは思いますが、新任大臣が福井照衆議院議員ということでありますが、新しい大臣が就任されたということでありますので、ぜひ大臣所信もしっかりお伺いした上で予算を通過させていくのが筋であろうということでありますから、いずれにしても、時間を取って来年度予算案の審議を継続すべきと思います。とても採決の環境が整っていないと思います。
私からは以上です。
2.質疑応答
【記者】まず1点伺いたいのは、総需要不足の解消のために希望の党はどのような政策を掲げるのか。もう1点は、去年の落選者に対して何か手当てをするとかということは考えておられるのか。
【代表】総需要不足ということでありますけれども、一つは、きょう一部報道もありましたけれども、いわゆる若年層の消費が非常に低調です。比較的高齢の方の消費は伸びていますけれども、いわゆる子育てをしている世代、あるいはそれよりも若い世代の、本来お金があれば使うであろう層なんですが、賃金の伸びも非常に弱いということで、そういった働く若年層に対する支援ということが必要だと思います。ですから、われわれは今回の予算の組替も提案していこうと思っておりますが、いわゆる人への投資、教育負担の軽減でありますとか、こういったところに特に力を入れていきたい。あれば使えるという層に対してお金を使いたい。特にそういった家族政策に対する支援を強化することで、需要を喚起していきたいと思っております。
落選者に対する対応でありますけれども、これは一定の基準で判断をして、順次、支部長として選任をして、選任した人に対しては月50万円の活動費を出すということを既に決めて、一部10名程度の人には実行しております。それ以外の人についても、これからは個別の事情をよく聞いて、本人のやる気であるとか選挙区事情、地域での支援団体との関係などを総合的に勘案して選定をして、選定された方にはしっかりとした活動支援を行っていきたいと思っています。
【記者】与党がゼロ回答、そして、委員会での採決、本会議の採決を与党が強行してきた場合、どう野党としては対応すべきと考えるか。
【代表】強行しないことをまずしっかり求めていきたいと思いますが、そうなった場合には、どのような形で委員会が開かれるかにもよりますので、対応は国対に任せたいと思いますけれども、最後までわれわれが要求した幾つかの条件というか要求については真摯に向き合っていただきたい。数の力で押し切るようなことは決してないように、最後まで求めていきたいと思います。
【記者】与党側は、あくまで法案を提出するのは政府だとする考えを野党側に伝えているようだが、この法案の扱いに関して、自民党もしくは与党の公明党が果たすべき役割についてはどう考えるか。
【代表】きのう(2/26)総理とこれも何度か私はやりとりをしました。しっかりとしたデータの精査が終わるまでは法案を出さないのか、逆から言うと、精査などは関係なく出すときには出すのかということを聞いたら、それは明言を避けられ、かつ、自民党の政審、総務をかけなければいけないし、そこの判断もあるということでした。
ということは、これは与党、特に自民党、公明党がこのようなデータの不備がある中で党として法案の提出を承認できるかどうか、自民党や公明党の責任も厳しく問われると思います。国民の多くが、アンケートを取っても、世論調査でも、6割、7割の方が今国会、この裁量労働制と高プロの問題については、そのまま出すべきではないという意見もある中で、全く精査が終わらないのに自民党や公明党としてこれをもし提出を了承したとすれば、今度は与党自民党・公明党に対して国民の厳しい目が向けられることになると思いますから、当然、この間の議論、与党としても国会で審議をしっかり聞いておられたと思いますので、両党において厳しい精査、データのチェックということを当然厚労省に求めることになると思いますし、間違っても精査が終わる前に提出を了承するようなことはないと信じております。
【記者】江崎大臣のこれまでのいろいろなご対応についてどう思われるのか。また新たに就任予定の福井議員についてどのようなことを期待されるのか。
【代表】沖縄北方大臣、また消費者担当大臣という重要なポストであります。ですから、江崎大臣は謙遜して言われたのだと思いますが、当初、就任時にお役所の原稿を読めばいいとか、あるいは「北方領土の日」のときに「沖縄北方の日」というふうに間違って発言されたりすることが確かあったと思いますので、北方領土の問題にしてもそうですし、もちろん消費者担当大臣としてジャパンライフの問題等々もこの国会でも指摘をされました。非常に重要なポストだと思いますので、新大臣におかれては、単に役所の答弁を読むとか、あるいは自分の所管の仕事について理解を欠いたような、そういう言動はないように、ぜひ喫緊の諸問題についてしっかりと正面から向き合って、適切な行政執行に努めていただきたいと思います。
【記者】奨学金の返済に苦しむ若者や親子破産が広がる中で一体何ができると考えているか。
【代表】私は大学でもこの間何度か講演もさせていただきました。そうすると、やはり大学生、大学院生、奨学金という名前の借入金をして、一生懸命学業に励んでいる方も多いことはよく分かりました。卒業した途端に数百万円の借金を追って社会人として出ていくというのは、やはり若い人たちにとっては相当な負担になると思いますし、そういう状況で夢を持って働いてくださいというのも非常に厳しい状況だなと思います。ですから、例えば給付型の奨学金、これはもっと対象も拡大する必要があると思いますし、所得に連動して返済が認められるような、そういった奨学金についてもさらに拡充していく必要があると思っていますので、われわれとしては、大学の無償化ということができればベストですけれども、まずは返さなくていい奨学金の拡充といったことをこれからも進めていきたいと思いますし、併せて、これは与野党を超えて議論したらいいと思うのは、既に卒業された方で借金を抱えておられる、奨学金という名前の借金を抱えておられる方々の負担軽減についても考えていく必要があるのではないかなと思っております。
【記者】働き方改革について、結局経営者のための法案だということは、誰でも本当は分かって気が付くはずだが、ただ、数の力でいくとこのまま押し切られてしまうことが濃厚。国民運動のような、市民に訴える、国民に訴える方策についてのお考えは。
【代表】法案の審議はいずれにしてもこれからですから、これは予算が仮に衆議院を通過したとしても、まさにこれから議論していかなければならない課題でありますから、今おっしゃったような国民運動といったようなものをどのように起こしていくのか。やはり多くの働く皆さんに自分の問題だというふうに理解していただくような活動をやっていく必要があると思っています。国会でいくら議論しても、まさにその国会で議論しているような時間帯は、対象になるような方はみんな働いておられる人がほとんどだと思いますから、どういった形でやっていくのか、これから検討していきたいと思いますが、自分のことだというふうに多くの働く皆さんに理解してもらえるような活動、国民運動、こういったことはやはり展開していきたいと思っています。
【記者】先の衆院選で希望の党から出られた方で、落選してその後離党届を出された場合、その受理や最終的な判断はどこでやることになっているのか。
【代表】それは寺島さんのことでしょうか。届けは出ているので、あすの役員会で判断するということになると思います。
【記者】井手英策先生のAll for Allという経済政策については、どのようにお考えか。
【代表】非常に私は賛同できる考え方だと思っています。ポイントは、全ての人が受益できるために全ての人が負担をするというのがAll for Allの考えですけれども、その(前の)オールの中身と(後ろの)オールの中身ですね、つまり、多くの人に、全ての人にご負担をいただく負担の内容がどのような形で行っていくのか。その結果、全ての国民の皆さんに生活保障という形で提供できる給付等の内容が何なのか。こういったことをしっかりとこれから詰めていくことが大事だと思っています。今、そういった内容は社会保障制度調査会で検討をお願いしているところでありますけれども、私は、少し国会でも紹介をした、例えば高齢者向けの最低保障年金というものを全ての高齢者の皆さんに提供するというのを全ての皆さんにご負担をいただいて行うということになれば、高齢者向けオールフォーオールということをまず最初につくっていくということも一つのアイデアかなと思っていますので、ベーシックインカムといったような考えとも親和性があると思いますので、具体的なわれわれとしての考えはこれからしっかりと詰めていきたいなと思っています。
【記者】先ほど、党のエネルギー調査会の会合がありまして、そこで示された、いわゆる原発廃止の法案の骨子案では、今回は「法律の施行後10年以内に」というふうに表記が変わっていました。公約では2030年までに全ての原発をという話であったかと思うが、これはその公約を変更したというふうに捉えてよいのか、どういった判断があったのか。
【代表】まず、きょう、政調・国対合同役員会で福島第二原発の廃炉法案を了承いたしました。これは自民党の福島県議会からも、この福島第二の廃炉については求められておりますので、これはオール福島の願いということで、やはり過酷事故を経験した福島から原発をなくしたいという党派を超えた思いがありますので、これをまずわれわれとして了承して、3・11の前にこれを出していきたいというのが一つです。
二つ目に、今いただいた質問についてですけれども、2030年にゼロということを公約に掲げたということでありますが、私が代表になってから、やっぱりこの原発の問題は現実的にやっていくことが大事だということで、今、われわれ野党でありますから、やはり野党のときにいくら言ってもそれはなかなか実現できないので、政権を取ってから、あるいは実現できる立場になってから10年間ぐらいでやっていこうということで、より具体化、現実化させた形で法案の一つの骨子をつくったという趣旨であります。
併せて、私どもは過酷な事故を経験しましたから、原発の事業に関しては国の関与と責任をもっと強めるべきではないかという観点から、内容についてもそうした方向で国の責任、関与を強める形での内容で今骨子をつくっていますので、詳細はこれから、さらに関係者の意見も聞きながら詰めていくということになると思います。
【記者】平昌五輪を総括してどう感じられたか。
【代表】良かったですね。特に私はLS北見が良かったなと、カーリングが良かったですね。もちろん金メダル、銀メダル、銅メダル、そしてそれを取れなかった方も非常に皆さん頑張っておられて元気と勇気をいただきましたけれども、特にカーリングは、私、思っていて、これからの日本の、あるいは社会の在り方に非常に参考になるなと思ったのは、北見という北海道の小さなエリアで、みんな同じ常呂の出身で、地方出身者が力を合わせて世界で戦っていくと、あるいは戦えるんだという姿は、これからの地方の活性化という意味でも非常に私はモデルになるなというふうに思いました。特に出場された選手以外にも、本橋麻里さんがチームを立ち上げて、それで資金調達も走り回って、そして人材も集めてきて、戦力外になったような方も集めてきてやっていくというのは、例えば地方で何か、なかなか芽が出ないけど頑張ってやろうという人たちにも大きな勇気を与えたと思いますし、何か事を起こしていこうとするときの一つのモデル、ローカル性を大事にしながらグローバルに挑戦していけるという姿を表したものとして、非常に示唆に富む銅メダルだし、活躍だったのではないかなと思っています。
【記者】共産党と院外でも働き方改革について何かアピールするようなことがあり得るのか。
【代表】まだ具体的なそういう話がないのでコメントは特段することはないんですが、今回、働き方改革などについては、野党が協力して調査をしたり質問をしたりすることによって、ここまで政府側の問題点を浮き彫りにすることができたと思いますので、協力できるところはしっかりと協力を、どの党問わずやっていくことが大事ではないかなと思います。
【記者】憲法改正について。例えば日本維新の会は「教育の無償化」という文言に非常にこだわりをお持ちで、自民党の案に「無償化」という文言が入っていないことに対しては同意できないというふうに言っているんですが、希望の党としては、この無償化という文言についてはどれぐらいこだわっているのか。
【代表】われわれは、きょう多分了承される案の中には中等教育までは無償ということを明言、明示しております。われわれの仲間の多くは旧民主党から合流した仲間も多いんですが、高校の無償化というのは(旧民主党政権)当時自民党からもばらまきだと口を極めて批判された中でも、やはり教育投資、未来への投資ということは大事だということで、高校の無償化、事実上、実質無償化まで実現をしたというわれわれなりの矜持、プライドもありますから、そこは中等教育までの無償化ということは、やっぱりしっかりと主張をしていきたいなと思っています。
(了)