ななつ星vs「自然災害」運休回避への一部始終

突然の代替ルート運行に観光業者の対応は?

日本初のクルーズトレイン「ななつ星i n 九州」(写真:HANIHANISTAR/PIXTA)

日本における豪華クルーズトレインのパイオニアである、JR九州の「ななつ星 in 九州」。2013年10月の運行開始以来、高い人気を誇っているが、この間、九州の鉄路は2016年4月の熊本地震に続き、2017年夏も豪雨、そして台風と度重なる自然災害に見舞われた。一部区間では現在も不通が続いている。

そんな中、「ななつ星」は九州のフラッグシップトレインとして、災害の影響を乗り越え運行を続けてきた。その陰には、関係者の臨機応変な対応と、地域の人々の支援があった。

記録的な豪雨が九州を襲う

2017年7月上旬、九州北部を記録的な豪雨が襲った。福岡県と大分県を中心に大きな被害をもたらした「九州北部豪雨」だ。「ななつ星」の通るルートでも、久大本線で鉄橋が流失する被害が発生。当分の間、同区間の運行再開は難しい状況となった。

当時、「ななつ星」は8月からの運行を控えた準備期間中だった。次回運行までの期間は約1カ月。担当者らは別ルートでの運行を実現すべく、さっそく検討を始めた。列車の運行経路を変えること自体も手間が伴うが、クルーズトレインの場合は観光や食事といった要素も加わる。「なるべく大きな変更が生じないようにしつつ、(災害の)影響を回避できる方法を考えた」と、JR九州クルーズトレイン本部長の福永嘉之氏は言う。結果として、博多からいったん北上し、日豊本線経由で大分へ向かうルートをとることになった。

この変更には、ちょうど準備を進めていた2018年春からの新コースに向けた用意が生かされた。1日目の観光はルートの変更により由布院から宇佐神宮へと変わったが、これはもともと新コースで組み込む予定だった観光地。「先方にご理解いただき、時期を前倒しすることにした」(福永氏)と言う。食事にも変更が生じたが、翌年春からの予定だった業者が引き受けてくれた。走る経路が変わるとクルーの訓練なども必要になるが、新コースに向けて6月に試験運行を行っていたことが役立った。乗客の反応も好意的だったという。

18年春までは、このルートで運行を続ける予定だった。

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  • NO NAME885436225a8c
    正直な話、地元の方々は観光列車を盛り上げるのもいいですが、普段自分たちが利用する列車の事も考えないといけないような。
    大袈裟な意見ですが、そのうち観光列車しか走らなくなるかもです。
    up12
    down0
    2018/5/5 12:07
  • NO NAME83c2d0f09e30
    2018年1月に阿蘇や湯布院には立ち寄らない3泊4日の代替えコースに乗車しました。サービス、食事、外部宿泊、観光ともとても満足出来る内容でまったく代替え感はありませんでした。運行の都合からか門司港駅、大畑駅等で長時間停車があり列車外観をくまなく撮影できたこと、海幸山幸にも乗車できたことは鉄道ファンとしてはありがたかったです。(他のクルーズトレインでは観光に忙しく列車外観をたっぷり撮影する暇がなかったので)JR九州や地元のみなさんの頑張りに感謝、感謝です。機会とお金ができれば復活した行路でまた乗車したいと思います。
    up9
    down1
    2018/5/5 10:32
  • NO NAME8d019b7ece94
    普段から想定外を想定しておかないとといけない話の典型的な話では?
    普段から代替案を持っていて、そのルートを動かすためには普段から使っていれば地元も立ち上げられる。
    up6
    down2
    2018/5/5 11:39
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