アンコウの繁殖行動に研究者愕然「こんなの見たことない」
深海でアンコウが繁殖行動をする様子が、初めて映像に収められた。深海魚の研究家をもって「このようなものはこれまで見たことがない」と言わしめるその映像には、メスがヒゲのようなものを広げてキラキラと発光し、小さなオスがメスの横に結合している様子が収められている。海外メディアScienceが伝えた。
【写真】アンコウの繁殖行動の様子
自然環境で生きている様子を見ることはほどんどない深海魚がこのように撮影されたことで、深海生物学者には大きな衝撃が走っている。
ワシントン大学の深海魚研究者テッド・ピエチは「こうした生物をほとんど一生かけて学んでいますが、このようなものはこれまで見たことがありません」とコメント。巨大なメスの横に結合したオスは、精子提供者の役割でそこに定着している。
この映像は、ポルトガルのアゾレス諸島近海、深さ800メートル付近で撮影された。深海探検家のクリステン・ヤコブセンとヨアキム・ヤコブセンが潜水艇で探索していたところ「変な形のもの」が彼らの目をとらえた。それがこのアンコウだったのだ。大きく見えるアンコウのメスだが、実は体長が16cmほどしかなく、撮影には苦労したという。その後二人は映像をピエチに送り、ピエチはその優雅さ、特に糸状に広がるヒゲのようなものの形にうっとりとしたという。
これまで深海のアンコウについて得られた知識は、引き上げられた死骸から得られたものがほとんど。160種以上が特定されているが、映像はわずかしか存在しない。