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2018-05-05

発表!全ガンダム大投票 富野監督インタビュー 23:43 発表!全ガンダム大投票 富野監督インタビューを含むブックマーク 発表!全ガンダム大投票 富野監督インタビューのブックマークコメントAdd Star

https://www.nhk.or.jp/anime/gundam/

Q.富野監督にとってどんな40年間だった?

富野 元々1話完結のつもりだった、つまり「機動戦士ガンダム」で完結のつもりだったものが、結局継続してしまった。じゃあ「機動戦士ガンダム」を抜く方法は、越えられる方法はないのか?という風にして悪戦苦闘した40年間があって。そしてこの40年間の結果っていうのは結局「機動戦士ガンダム」に敗北しましたっていう経歴しかないっていう僕にとっての40年です。

小松 「機動戦士ガンダム」に敗北したっていう……?

富野 はい。だって「機動戦士ガンダム」以上の人気が出る作品が作れなかった。

逆襲のシャアに満足しているお気に入りシーン(アクシズ譲渡契約)

富野 まとめていくためのセリフという考え方をしてていった時に、例えばその会議のシーン。どれだけ言葉数を少なくっていう、その理論と理論武装のセリフをなるべく削っていって。要するにシャアが金塊を渡した。渡したってことでこいつら全部を買収したんだよね、っていうのをこれだけで見せちゃう(アタッシュケースを置くジェスチャー)。ここでこれを下す時のね、「ゴトッ」っていう。お、悪役と金塊。この動きが満足っていう(笑)。その説明ゼリフがない。良くやってるよねって感動するもん。

最近「逆襲のシャア」を見て不満だった点

富野 4Kの「逆襲のシャア」を見てほんと腹が立ったもんね。倍、戦闘シーンが多いって。これじゃ話わかんねぇだろって。要するに巨大ロボットものに聞こえてくるしゃらくさいセリフ。「発進します!」とか「ここでやってやる!」とか、そういうセリフをなるべく外していく努力、死ぬ程したもん。

シャア誕生について

富野 敵役はシャアという名前にする。で、シャアって名前かっこいいだろう。どうしてかっこいいの? シャーッって来るからシャアなんだよ、えぇー。僕が作ったのはそこだけなんです。そしたら安彦のバカが、僕はシャーッと出てくる敵役だから、マスクなんかしてると思ってなかったわけ。あのマスク。マスクをしている下にいる顔を持ったキャラクターが、ものすごく人間的な設定を加えれば、マスクは取れるだろうと。で、肉親が近くにいて、その肉親と出会って、みたいな生々しい話があったときに、マスクが取れる瞬間があるんじゃないかなと思った。これは事実。だから妹がセイラだっていうのはね、実際にコンテを描きはじめてから作った設定のはずなの。はなからあった設定じゃないの。つまり味方側に妹がいて。味方側にシャアという敵方が踏み込んで行かなくちゃいけない。で、敵方が踏み込んで行くような設定にしてくっていうのは、今までのこの手の作品に一切なかったから。これは劇のキャラクターとしては成立するな。つまり、作劇ができるんじゃないのかな、と思った。

富野監督が心を揺さぶられるシーン

富野 シャアが金塊をホワイトベースに残していった後で、セイラさんがひとりで泣いて「兄さん」って言う……ダメ、あの話になると本当に泣けてくる。よく作れたと思う。演出家と言われている人とか、それから小説家とか言われている人。ある時からキャラクターとか人物が動き出しちゃう。私は追っかけるだけだっていう。その感触ですね。それを手に入れられた時はそれはもう。40年経っても泣けちゃうんだもん(泣)。

小松 キャラクターたちが演じてくれた?

富野 そう(ハンカチで涙をぬぐいつつ)。だからそれはロジックじゃないし。だからその部分を「俺が作った」なんて口が曲がっても言えない。だから「ああ兄さん」って言った時に、一人部屋で股に手突っ込んで、セイラがドンとなっちゃうという。あれを全部作れた自分というのは、その部分に関しては威張れますね。だけど作ったんじゃない。作ったんじゃない。セイラさんが勝手にやってるだけ。

ようやく話せる!ニュータイプ問題 未公開ver.

富野 SFっぽく見せるのはどうしたら良いんだろうかっていう。要するに単純な戦記ものになってしまう、ということで、うっすらとそれは企画の時から考えていたニュータイプ話みたいなものを一応入れようと思ってたんだけども、いや迂闊に入れるとヤバいよとも思いながら。要するに入れてみたんだけどもニュータイプという言葉を作品中に出した瞬間に、人の革新論に対しての言葉を、言ってしまえば哲学論として持っていない自分に気が付いてしまったために、作劇ができないとこに行った。さぁどうするかっていうことで、このままではあと2クール保つわけねぇよねぇと思ってたところに打ち切りになったので、やれ良かった。全く逆転なんです。打ち切りで命拾いをして。全部喋らなかったおかげで結局余韻が残っちゃって。ニュータイプはなんだ、みたいなことが、それこそ受けてのファンに残ったおかげで。

小松 みんなで伝説になった。

富野 ダーッと行って。だけど今あえて哲学という言葉を使ったのは、実を言うと人の革新論は哲学論に足突っ込むことになって、すごく軽けんに考えることとか規定できることじゃないんだよね、ってのはずーっと言いたかったんだけど、それは僕この30年間今みたいな言い方で一度も言ってません。正直これで逃げ切れるとも思ったし、逃げ切れるということは、結局この問題一切合切まさに考えないで済むと思ってた。思って終わったら、なんか知らないけども「次やらない?」「何を?」「ガンダムを」って落ち込んだもんね。

小松 (笑)もうじゃあ、いわゆる「機動戦士ガンダム」終わって打ち切りになった時点では……。

富野 もうできないし、これ以上やるだけのまさに自分の中に器量、劇作家としての器量がないということもあったし。それからあとアニメとしてなんかちょっとまずいんだよねー。どういう風にまずいかと言うと、演出論的に言うとちょっとリアルっぽくなりすぎて。つまり実写の写りが見えてきて。アニメとしてあんまり良くないな。だからその時に、ほんとはここで宮崎監督の名前出したらいけないんだろうけども、傍に宮崎さんみたいなのが仕事やってるのがチラチラ見えるわけじゃない。アニメとしてはなんだかんだ言ってあっちだよね(笑)。それがバカじゃないからありますよ。あっちにも行けないし、ドラえもんとかオバQとかにはもう行けないし。って時に、どうして暮らしていこうか、ってことでそりゃもう絶望があるわけ、まず。それで「Ζガンダム」っていう言っちゃえばパート2ものみたいなものをやらせていった時に、こういう意味での「巨大ロボットもののトミノ」ってレッテル貼られちゃったんだから、だったらその部分で休み休みするしかないってのがそれ以後の僕のキャリアだったんで。それ威張れるものなんか何もありませんよ。

質問は全部で15問とのこと。