プログラミングなんて大嫌いだ

プログラミング教育や子育てに通じるかもしれないプログラミングが大嫌いになった体験談をよかったら聴いて欲しい。こんな悲しい子どもが2度と生まれてはいけない

自分が小学生のころのこと、まさに昭和の全盛期と言っていい時代だった。経済は発展し新しい文化や文明の利器が世の中には溢れ出していた。
その中の一つが全ての小学生が夢中になったファミリーコンピューター、通称ファミコンだった。

僕たちはファミコン世代とも呼ばれ外で遊ぶことが減った最初の世代だ。ゲーム機本体を持っていることは最高のステータスであり、人気ソフトを持っているとそいつの家はたまり場になる。特にゲームのうまいやつはヒーローだった。

そんな時「ゲームが欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい」とねだる少年に手を焼いた父親は一冊の本を買ってきた。うろ覚えだが多分、C言語のプログラミング系雑誌だったと思う。そして少年に手渡してこういった。

「ゲームを作れた方が面白いだろう?」

なんという圧倒的な言葉。生まれて初めて脳から汁がでた。脳汁が溢れながら少年は一つ先の世界を見ていた。
それは自分でゲームが作れるようになれば神として崇められるに違いない。
なんでも思い通りの世界を作れる神になれるかもしれない。

そんな本をいただけるなんていいんですか?お父上。少年のはじめてのプログラミングがはじまった。

なんと一緒に文字を打つための機械を持ってきてくれた。

本と一緒に会社から借りてきたというクリーム色の小ぶりな画面と何やら英語の文字のたくさんついている大きな機械だ。
つまりキーボードと小さな画面のついた機械も持ってきてくれたのだ。こんな高価な機材を借りれるとは、我が家の父親のとてつもないアドバンテージと「お父上の威厳」を感じた。

始まった文字を入力する毎日。

正直本を買ってきただけで父親もプログラミングについてはわかっていない。
が、それでも気持ちは盛り上がり、とにかく本に書いてある内容を一生懸命打ち込んだ。

完成すると「シューティングゲーム」が出来上がるというそのプログラミングの経典を丸写しにしていた。
初めは完成すれば、いつもいじめてくるTくんや、お金持ちで頭もいい別のTくんがきっと少年を神のように崇めるに違いない。
そんな浅はかな気持ちだったが、だんだんとワクワクが止まらなくなっていた。

そして、学校が終わったらまっすぐ帰ってきて、仏間の隣の部屋で人差し指で得体の知れない英語の文字に向かった。
毎日。毎日。それはもう、飛ぶように帰ってきて、入力を繰り返した。

 そして、その時はきた。

全てを入力し終えた少年は、自分が誇らしかった。いよいよ動かす時が来たのだ。
1週間ほどだったと思う、やり遂げた自分を誇りに思った。
だが、結局そこから動かし方はよくわからない。全くわからないので父親を大声で呼びにいった。

「全部いれられたよ!お父さん!全部いれたよ!」
「どうすればいい?」
お父さんが現れて、これじゃないか?と
ボタンを押してくれた。

ウィーーーン
ゥゥウ...
ガガッガッガ

う..動いた。なにか動いた。いよいよか!!!!!!

ガッ..ガガガッ.. ガガgagaga...
紙がでてきた。

ガッ..ガガガッ.. ガガッガッガガガgagaga...ガガッガッガ
僕が書いたプログラミングが印字されながら紙がでてきた。

何が起こっているかまだわかっていなかった。
これからまだシューティングゲームが動き出すことを信じて疑わなかった。

ガガッガッガ
次々と出てくる紙。紙が切れ一旦補給し、最後まで印刷されたのを見守ったあとでわかったこと。

ワープロやん?

ねぇこれ、ワープロやん?

もちろん当時はワープロとパソコンの違いすらわからない。
何が悪いって別に父親ですら正しい知識がなかったわけで。
だれも責めることはできないが、少年の心にはトラウマになるほどの悲しい気持ちがいっぱいに溢れ出たのは間違いがなかった。

プログラミングが大嫌いだ

プログラミングは正しい環境作りや全体像を知っていないと失敗につながることがほとんどである。
環境を用意する準備の方が大変だったりする。
プログラミングを「簡単」だというプログラマーにであうと、「こいつ頭いいんだろうな」とか「ワープロで打ったことないんだろうな」とか嫉妬からムカムカする。
いまでもちょっと勉強しようとすると古い記事を参考にしてつまづいたり、結局本家が英語だったりとイライラが止まらない。

プログラミングなんか大嫌いだ

もしこれから子どもたちに教える人がいたら、最初は必ず成功体験をさせてあげて欲しいと切に願う。
ワープロなんていまのお子さんは知らないんだろうな...

お詫び
タグなど関係ないということで怒られておりました。今週のクソ記事にも選んでいただきました、すいませんでした。「プログラミング教育」のタグに変えました。

172contribution

笑いましたw

環境を用意する準備の方が大変だったりする。
プログラミングを「簡単」だというプログラマーにであうと、「こいつ頭いいんだろうな」とか「ワープロで打ったことないんだろうな」とか嫉妬からムカムカする。

さすがに打ったプログラムが紙になった経験はないので恐縮ですが、お気持ちはわかります。

Nekonecodeさん、初めての投稿へコメントありがとうございます。
ここには書きませんでしたが、「お父さん〜紙なくなったよ〜」という自分の言葉を今でも鮮明に覚えております。もしそこで成功体験があれば今はバリバリのプログラマーになってると思います。

1604contribution

貧乏だった私の場合、30年以上前ですが、展示パソコンを自由にいじらせてくれる電気店があり、毎日通って雑誌掲載プログラムを写経しては動かしてました。
分からないことがあれば、隣のお兄さん(お客さん)に教えてもらったりしながら。
時々、事情を知らないお客さんが「このスイッチなんだろう?」とスイッチを押してしまうことがあり、それが電源タップの大元スイッチで、長時間入力したプログラムが吹き飛んで泣きたくなることが何度もありましたが、嫌いにならずに続けることができました。

@shiracamus さま
コメントありがとうございます。嫌いにならずに根気強く続けられたこと、とても素晴らしいですね。
最近少しだけプログラムに関わることが多いのですが、一番初めの体験と全体像や根本の部分をぼんやりとでも知っておくのがが本当に大切だなと感じています。プログラミング教育が盛んになってきている中で、こんな大人にならないよう教育に関わる方にはぜひ頑張って欲しいものです。

2contribution

キータでこんな面白い記事よんだのはじめだ!!

@kurikuri さま
ありがとうございます。嘘のようで本当の出来事なので笑っていただければ幸いです。他にもいろいろとあるのですが、そのうちまた別のエピソードも紹介できればと思います。プログラミング教育が当たり前になってきた今だからこそ、皆様に知っていただければと思って投稿しました。これからもよろしくお願いいたします。

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