能舞とモーツァルトのオペラが融合した舞台=金沢市の石川県立音楽堂
「いしかわ・金沢風と緑の楽都(がくと)音楽祭」(北國新聞社特別協力)は4日、金沢市の石川県立音楽堂邦楽ホールで「能舞とモーツァルト」が開かれ、渡邊荀之助さんら宝生流能楽師がモーツァルトの優美な調べに乗せて舞を繰り広げ、慈愛に富んだオペラの物語を新たな感性で紡いだ。観客は金沢の音楽祭ならではの組み合わせに「ブラボー」と歓声を上げ、拍手でたたえた。
題材のオペラ「皇帝ティートの慈悲」は、皇帝ティートの妃(きさき)の座を巡る愛憎の人間劇で、ソプラノの山口安紀子さん(ドイツ在住)、稲垣絢子さん(金沢市出身)、メゾソプラノの鳥木弥生さん(七尾市出身)が、アリアで伸びやかな歌声を響かせた。
能装束に身を包んだ荀之助さんはティートを演じ、洗練された能の所作で、自身の暗殺を企てた男女の罪を許す皇帝の寛容さを表現した。渡邊茂人さんと川瀬隆士さんもアリアに合わせて舞い、登場人物の心の変化を表現した。
指揮者の辻博之さんがピアノを弾き振りし、地元音楽家による「ガルガンチュア弦楽四重奏団」、笛の江野泉さん(小松市出身)が演奏した。金沢市出身の演出家中村豊さんが舞台演出を手掛けた。