イニシャルや伏字でも発信者情報開示は認められる?

ある人の悪口を書いてしまいました。名前についてはイニシャル伏字にしていますが、このような場合でも発信者情報開示請求は認められますか?

誹謗中傷やプライバシーを公開するような情報が書かれていたとしても、それが「誰のことを指しているのか」が分からなければ、権利侵害があるとはいえず、発信者情報開示は認められないことになります。(このことを「特定性」ないし「同定可能性」といいます。)

そのため、例えば「Wさん」とか「渡○さん」といった記載になっているときは、権利侵害があるとは認められません。なぜなら、これらの記載だけでは「渡辺さん」なのか「渡貫さん」なのか「渡利さん」なのかわからないからです。

もっとも、他の記載と併せて読むと、誰のことを指しているか分かってしまう場合があります。

例えば、「Wさん」が「●●株式会社を語るスレ」に書かれている場合で、●●株式会社に「W」のイニシャルの人が一人しかいない場合は、特定性はありと判断され、発信者情報開示が認められる場合があります。

このように、特定性は周辺の記載と併せて判断されます。イニシャル伏字になっているからといって、発信者情報開示請求は認められないと安易には判断されるものではありません。

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渡辺 泰央

渡辺 泰央

上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会)。 ウェブサービス、スマートフォンアプリをはじめとするIT関連、デジタルコンテンツ関連案件の訴訟、紛争や意見書作成、契約書作成、著作権侵害性リサーチなどを得意とする。