2017年05月

先週21日(日)に、キンディオ大学数学科の先生(教材開発チームGEDESのメンバーではありません)のエドガール・ハビエルさんに誘われて、彼のFinca(フィンカ/農園)にコーヒー摘みに出かけました。アルメニアの南西部です。奥さんのマリアさんと息子のジェフェルソンも一緒です。後から、大学1年生の長男のアルベルト(だったと思います)が自転車でやってきました。彼らは普段はアルメニア北部の大学の近くに住んでいますが、週末になるとこうして農園にでかけてコーヒーを摘んだり、ゆったりした時間を過ごしています。専業のコーヒー農園は、年2回収穫して出荷します。今がその最盛期。でも、エドガールさんの農園は、1年中少しずつ収穫しているそうです。約2週間に1度、赤く色づいたコーヒー豆を収穫して、その都度収穫した実から殻の部分を取り除き、乾燥させ、それを炒ってコーヒーにしています。
P5210083
これがエドガール一家の農園の家。左側の道路を通って向こうからここまでやってきました。門も何もなく全くのオープンで、飼っているアヒルや鶏もほぼ放し飼い状態。それでも逃げていかないんだから大したもんです。家の右側の谷沿いにコーヒーの木が植えられています。
P5210128
農園に着いて簡単な朝食を取った後、9時半ごろから谷を一旦下って、また上ったところで収穫開始。こんな斜面にコーヒーの木が植えられています。あちこちにバナナの木もあります。
P5210156
この方はマリアさん。小さな虫が刺すので、首回りには特に注意が必要。これがけっこう痒いし痛いんですよ。
P5210161
虫よけスプレーもしたし、フードも被って万全の体制です。腰につけた小さな籠に摘み取ったコーヒーの実を入れていきます。
P5210190
1時間くらいでこれだけ摘みました。けっこう重いので、いったん大きな袋に空けて軽くなったところで出直しです。
P5210179
全体が赤い実だけを採るのかと思ったら、次に来るのは2週間後で、その間に熟してしまうから、ちょっと色づいていれば摘み取っていいんだそうです。
 
 2時間くらい作業したところで雨が降り出しました。「コーヒー農家じゃないんだから、雨が降ったら中止、中止!」私が摘んだ実は、ドル換算にして1センターボくらいにしかならないそうです。これで食べていくのは大変です。
P5210214
 家の下側にある小屋に摘み取ったコーヒーの実を運び込みました。農園を管理してくれている男性とエドガールさんご夫妻と長男と私の5人で袋いっぱいのコーヒーを摘みました。左側にある機械の上部に実を入れます。
P5210222
スイッチを入れて回転させると外側に殻が出てきて、内側に実が出てきます。
P5210249
こっちが小屋の内側。白いのが実の部分。手前にあるのが摘んだコーヒーの実。
P5210302
小屋の屋根の下の部分に広げて乾燥させます。雨が止んだのでこうして日に当てています。この乾燥台、うまくできていて、屋根の下に収納できるんです。
P5210309
近くで見るとこんな感じです。
P5210279
この方がエドガールさん。小屋の横に大きな豆の木があって、そのさやをマチェテ(鉈みたいなもの)で切って中身を取り出しました。
P5210286
大きなさやには、こんな大きな実が入っています。おいしいんだそうです。

 ここで事件勃発! なんと、飼っているニワトリが大ネズミに襲われて、首をかまれて瀕死状態。しばらくすると動かなくなりました。私たちの横で、管理の男性がさっさと毛を抜き、さばいています。もしかして昼食に出てくる?
 準備された昼食には、ちゃんと肉になって収まっていました。あ~~~。鶏肉が嫌いとは言えず、仕方がないので、死にそうになりながら口に入れました。どうやってもおいしくないんですよ。私の口に入るトリはかわいそうですよね。
P5210320
テーブルの左側がマリアさん。右側がエドガールさん。向かいがジェフェルソンくん。彼は障害があって、養護学校に通っているそうです。この後、彼と一緒に「Sapo」(カエル)という名前のゲームを延々とやります。大きな箱の上部に3匹のカエルといくつかの穴があって、カエルの口か穴に、離れたところから大きなコインを投げ込むゲームです。交代でやるんですが、これがけっこうおもしろいんです。こんなことをしながら夕方まで楽しく過ごしました。向こうに座っているのが長男のアルベルトくん。化学を勉強しているとか。
こんな休日もいいものですね。声かければ、いつでも連れて行ってくれるそうです。
ただね~~鶏肉がね~~~。料理はどうだったと聞かれて、「おいしかった!」と答えたので、次に来た時にも鶏肉が出される可能性大。あ~~~~。

 先週はサン・ホセ校に通いました。基本生徒は女子だけです。リブレ校と比べるとかなり静かな感じです。カトリックの学校なので神への祈りの賜物だろうということでした。先生たちのストはまだ続いています。断続的ですが。火曜日にもアパートの前の通りでデモ行進がありましたし、金曜日にリブレ校に行った時は、ストの影響で時間短縮になり、生徒たちは早々と下校しました。先生たちはほとんどいないし、来ている子も少なかったんですけどね。ストに参加するのはいいんだけど、教科の進度が遅れた分は自分で取り返さなければならないから大変だと言っていました。私は来ている子たちに算数の指導です。エドガールさんに聞いた話ですが、平和のためにゲリラには月1600000ペソも出すのに、先生たちにはどんなに持ち帰り仕事をしても月1000000ペソちょっと。物価上昇に給与アップが追いつかない。今年はまだベースアップさえなされていないのです。政府は聞く耳を持たないんだよと言っていました。

 5月31日からボゴタでの研修が始まります。6月2日には活動の中間発表をしなければなりません。カウンターパートのマルタさんと一緒にスペイン語での発表です。パワーポイント資料はすでに送りました。あとは、発表用の原稿をチェックして時間内に収まるよう練習です。次回はそのご報告をしますね。





 本当は、今週一週間、教員研修をする予定でしたが、ストの影響で31日からのボゴタ公務出張(中間発表)・語学研修の後に延期されました。先週11日に、コロンビア最大教員組合がストの勧告をして、今週15日(月)に決行。アルメニアでもお昼頃、デモ行進がありました。彼らも授業のボイコットはしたくないのですが、ここにきてそうも言っていられない状況です。教員の給与は信じられないほど低く、おまけに毎年のベースアップが今年はまだ。物価は上昇しているのにこの状況では教員は生活できません。教員の初任給は何と、月900,000ペソなんですよ。日本円で約36000円。全体の物価が日本と比べてずいぶん安いので比較できませんが、米1kgが3000ペソ弱だし、牛肉1kg15000ペソくらいはするので、衣食住をこれで賄うのは大変だと思います。給与は毎年少しずつ上がって、上限5倍くらいになりますが、多くの一般教員はそこまではたどり着けません。

P5150013
この辺り、アルメニア支部の先生たちが固まって歩いています。こんなふうにシルカシア支部など各支部が横断幕と一緒に歩いていました。

 さて、今回のテーマは「わり算」。アルメニア市で使われているシンガポール版2年生教科書から拾ってみました。

 2年生教科書では、かけ算九九の後、繰り上がりのない2桁×1桁の計算、3桁×1桁計算があって、その次にそれぞれ繰上りがある計算が出てきます。続けてわり算が出てきます。まず、かけ算九九を使ってできる簡単な2桁÷1桁の計算。その後、答えが2桁になるわり算のひっ算、3桁÷1桁のひっ算と続きます。ひっ算の最初のページがこれです。
img311
93÷3をこのように計算するんですよ。駒ヶ根研修の時のスペイン語クラスのメルセデス先生がスペイン人で、この計算の仕方を見て「あら、なつかしい」なんて言っていたので、スペイン語国ではたぶんこの形式で教えられているのだと思います。やり始めてみると、日本式よりこちらの方が簡単かもしれません。問題1は「ホセは、93個のビー玉を友だち3人で同じように分けたい。93を3つに分けなさい。10ずつのブロックを使いなさい」。ビー玉の絵くらい載せてもよさそうですが…ね。次のページがこれ。
img312
問題2「テーブルの上に、同じ大きさのオレンジが入った籠が3個あります。オレンジの数が42個あるとすると、それぞれの籠には何個入っているでしょう? 42を3つに分けなさい。」オレンジの絵でも載せればいいのにね。
少し練習問題をやってから3桁のひっ算に移ります。
img313
img314

2ページにわたってプロセスが説明されています。問題「アリシアは、378個のフクロウのコレクションを同じように3つに分けたい。378を3つに分けなさい。10ずつのブロックを使いなさい。」何回も言いますが、コレクションの写真くらい載せてほしいものです。これで皆さんもコロンビア式わり算のひっ算ができますね。意外と簡単でしょ? でも、これ2年生ですよ。かけ算に続けてわり算。それも3桁までなんて、畳みかけすぎ。だから、5年生になってもかけ算もわり算もできない子が多いんです。この教科書はシンガポール版で、アルメニア市で使われているものです。キンディオ県の若干の学校で使用されているカナダ版では、2年生では3桁÷1桁は出てきません。それでもね~~です。こんなおかしさをなくすために、算数プロジェクトでは日々、教科書・教師用指導書作りに励んでいるところです。

 教員研修が延期されたおかげで、今週は余裕でいろんな準備ができました。6月2日の活動中間発表用のパワーポイント資料や原稿のメドも立ちましたし、カリキュラムの見直し会議や教育省とのスカイプ会議にも出席できました。来週からいよいよサン・ホセでの活動が始まります。






 今週から、リブレ校と同じシルカシアにあるサン・ホセ校の小学校部に通い始めました。ここは女子児童数が圧倒的に多く、学校全体がとても静かで統制が取れている感じがします。児童のデータ管理がしっかりされていて、発達障害児のための特別支援教室があり、親学級およびアルメニア市内に1校ある養護学校とも密に連絡を取り合っています。
 リブレ校には、教育省からの教科書配本はありませんでしたが、こちらにはあります。学年ごとに児童用の教科書と教師用指導書、作業用ノートの3冊が用意されています。教科書は2年に1度の配布なので書き込みはできず、学校に置いて大切に使われます。でも作業用ノートは個別配布なので、しっかりドリルができます。低学年のテコ入れが必要とのことで、今回も1・2年の教室に補助に入り、必要に応じて授業を行う予定です。
 コロンビアでは、2年間の教員養成校(ノルマル)を卒業すれば低学年(1~3年生)の先生になることができます。4年生以上は大学の学士資格が必要です。2年間の教員養成校のカリキュラムでは数学の専門知識をしっかりと身につけることは難しく、教育実習はあるものの、指導教員自身が数学の専門知識を持たないため、きちんとした指導を受けられないまま教員になる人が多いとのことです。P5090278
ここは小学校部の中庭。今週は1~2年生が午後で3~5年生が午前に教室を使います。来週は逆。1~2年生が午前になります。こんなふうに週ごとに午前と午後が入れ替わります。学校ごとに様々に教室の使い方を工夫しています。子どもたちが集まっていますが、これは避難訓練。日本のように学校全体ではなくて、クラスごとに時間をずらして行っています。
P5090266
幼稚園の教室。
P5090269
1年1組児童数37名。ソル・マリエラ先生。1月の教員研修に参加してくださっていて、
「2桁の足し算のひっ算の授業をぜひお願いします」と頼まれました。
P5090270
1年2組。36名。アンヘラ・ロサ先生。作業中でした。
P5090271
2年1組。35名。サンドラ・パトリシア先生。写真委は写っていませんが、右の方にいます。
2年2組は中に入れませんでした。34名で、マグダレナ・マリン先生の担任です。来週からが楽しみです。

 ところで、2週間前にかけ算のお話をしましたね。貸していただいた2年の教科書(カナダ版です)ではどうなんでしょうか。覗いてみましょう。
img298
かけ算の一番初めのページです。
img299
次のページがこれ。7が2回を2×7と書きます。この後、2の段と3の段が2ページにわたってまとめて扱われ、次の2ページで4の段以降がまとめて扱われます。この間、式の順序の説明に矛盾はありません。続けて教科書を見ていくと、最後の方でパターンの単元が出てきます。
img300
2倍ずつ増えていくパターンなんですが、表記が「×2」。こう表すしかないんですよね。皆さんどう思われますか?
カナダ版の3年生以降を見てみたいのですが、今後の楽しみにとっておきます。この他にも、割り算のひっ算が日本と全然違います。いつかご紹介しますね。面白いんですよ。

 今週は、空き時間は、来週の教員研修の準備に明け暮れました。ところが、教員のストの影響でどうも来週の開催は無理のようで、月末からのボゴタ出張(中間報告会)から帰ってからになりそうです。コロンビアの教員の給料は低く、毎年年度初めにベースアップがあるはずなのに今年はまだそれがない。物価上昇に全く追いついていなくて生活ができないと、11日に教員組合によるストが通達されました。教員の生活が守られなければ、きちんとした教育はできません。早く解決してほしいと思います。なので、5月後半の活動は流動的。中間報告の準備もあるので、目の前の課題を1つ1つ片付けていくことにします。



 この週末に、ボゴタ在住の同期SV居村さんが、アルメニアに遊びに来ました。
 
 土曜日には、アルメニア同期SVの菅原さんと3人で、アルメニア市南部の市場(Mercar/普通はMercado メルカドなんですが、ここではなぜかメルカルと呼びます)に買い出しに行き、夜、うちで焼肉パーティーをしました。私のアパートにはベランダがあります。以前からホームセンターに行く度にキャンプ用のグリルを物色していたのですが、他の家にご迷惑にならないかと、二の足をふんでいたところでした。ところが、菅原さんが「他の家でもやってるのを見た!」と言うではありませんか。こちらの床はタイル張りが多く、うちのベランダも床はタイルで壁はレンガが貼り付けてあるので火災の心配はありません。居村さんも来るし。他所もやっているなら、ということで1週間前に一番小さいのを買ってきました。次の日は、次の隊次のSV久米さんのお宅で手作りカレー会です。居村さんはコーヒーが大好きで、近くのコーヒー農園を覗いたり、市内のいくつものコーヒーショップを巡って、コロンビアコーヒーを堪能していました。
 
 アルメニアの市場はモンテネグロへの幹線道路の右側にあって、集積場といった感じ。トラックが横付けできる大きな3つの建物とその周りの小さなお店の集合体です。
P5050100
これが入口。
P5050074
入って最初の建物です。大きな3つの建物には、こんなふうに野菜や果物のお店がたくさん入っています。
雨が降っていたので、右側に誰かの傘が映り込んでいます。気が付かなかった! 毎日よく雨が降ります。
P5050077
中の通路。この国では昼食にバナナ料理が必ずと言っていいほどついてきます。焼いたり揚げたり、いろいろです。
P5050079
足元の袋に、小さなジャガイモが入っています。これを1kg買いました。
P5050090
これは、ジャガイモ洗浄機。建物の端っこにありました。
P5050099
お店のお兄さんたちと。真ん中が居村さんです。
ここで、玉ねぎ、トマト、レタス、キャベツ、にんにく、ほうれん草を買いました。他にも、ピーマン、ナス、お肉やチョリッソを買い込んで、バスで帰宅。私の知り合いの先生や菅原さんの生徒に出くわしたり。出かけるとよく知り合いに会います。
P5060112
うちのベランダ。久米さんが、マーマレードに付け込んだ豚肉の塊を持って来てくれました。絶品のおいしさです。
P5060116
揚げたジャガイモやサラダ、おにぎりも含めてとんでもない量あったはずなのに、みんなの胃袋にちゃんと収まりました。アルメニア隊員はみんな近いところに住んでいるので、集まりやすいんです。ビールの消費量もハンパじゃない! コロンビア経済に貢献していますね。

 翌日の夜は、久米さん宅でカレー会。久米さんはお料理が得意な方で、この日は前日からカレーを仕込んでくださいました。ルーから全部手作りです。おまけにロールケーキまで焼いてくださって、もう大感激です。
P5070264
跡形もなく食べてしまった後の写真です。写真撮るのをすっかり忘れてしまうほどのおいしさでした。まさかのナンまで作ってくださったんですよ! ごちそうさまでした。

 アルメニアはコーヒー地帯だけあって、どこに行ってもおいしいコーヒーが飲めます。路上で売っている500ペソのコーヒーだって、それなりのおいしさなんですから。
P5060104
ここは、うちのアパートの側のカフェ・キンディオ。コーヒーを頼むと、こんなふうに、1杯ずつ説明しながら丁寧にコーヒーを入れてくれます。コロンビアコーヒーはとても柔らかいので、コーヒーがあまり好きではない私も抵抗なく飲めむようになりました。お茶感覚です。
P5060102
これ、カプチーノ。撮った写真をクリームに焼き付けます。びっくりでしょ?
P5060109
これがその機械。まだ画像が残っています。

 仲間というのはいいものですね。ここで一緒に濃い時間を過ごすから、帰国してもずっと交流が続くのだと思います。パラグアイの仲間たちとも30年来ずっと濃いままで交流が続いているのですから。

<おまけ>
 以上は土日のお話。先週、リブレ校での仕事が一段落して(させた、かな?)、今週から8月の一時帰国の前まで、同じシルカシアのサン・ホセ校に通います。来週は1週間毎日教員研修があるので、空き時間は準備に追われています。今回は100人規模なので、後半の教具づくりのところがけっこう大変。複式授業の相談に乗ったり、次から次にいろいろありますが、これがけっこう楽しいんですよね~。
P5040038
2年B。授業が終わった後に撮ってもらいました。私は真ん中あたりに座っています。
P5040061
2年Aの子どもたちと、教室前で。
P5040068
先生たちの部屋です。保護者や子どもたちへの対応でてんてこ舞い。左の男性は心理カウンセラー。けっこう手厚いんですよ。

*私事ですが、5月8日は27回目の結婚記念日でした。感慨無量です。












 

↑このページのトップヘ