2017年02月

 コロンビアの学校には朝の会も帰りの会もありません。Consuelo校では、教室の鍵は担任が持っていて、朝授業が始まる時に開けられて、やっと教室に入れます。日本のように昇降口があって靴を上履きに履き替えて教室に向かうなんてことはなく、直接中庭側にあるドアから教室に入ります。はじめの頃は6時45分始まりでしたが、やっと時間割が確定して、1校時は7時から8時まで(朝の会など無しで、いきなり授業が始まるんですよ)、2校時は8時から9時まで。そのあと30分休みがあってその時に飲み物とちょっとしたおやつや果物などが配られます。3校時は9時半から10時半、4校時は10時半から11時半、5校時は11時半から12時半となっています。でも12時くらいになると授業になりません。なぜかというと1年生から順番に一番奥にあるレストランでランチタイムが始まるからです。お弁当を持ってきている子もいるのですが、大部分がそこで食べています。小さい子たちはお昼ご飯をどうするんだろうなあと思っていたのですが、そこはちゃんと準備されていました。失礼しました。午後も1時半から2時間(6校時と7校時)、3時半まで授業が組まれているので、小さい子どもたちには本当に負担が大きいと思います。

 1年生の1週間の各教科の授業数は、音楽-5時間、ダンス-5時間、理科-3時間、国語(Castellano)-6時間、社会-2時間、体育-2時間、英語-3時間、情報-1時間(なにやるんでしょうね?)、宗教-1時間、道徳(倫理)-1時間、算数-6時間、計35時間です。日本と違って、1校時はまるまる60分。おまけに各教科のほとんどが2時間続きで授業が組まれています。音楽とダンスは専門の先生が来て授業をしています。朝と昼の2部制が多い中、全日制になっているのは珍しいんですよ。でも各学年2クラスあって、それが40人近い生徒数となると、もう大変。学年が上がるとそこまでの差はなくなりますが、1年生には5歳~7歳で入ってきますから、字が読めない、自分の名前が書けない、長時間ちゃんと座っていられない…教室内はてんやわんやです。机はちゃんとありますが、体に合っていないので、椅子に座っても足が床にちゃんとつきません。鉛筆は削られていない、家で復習なんて「なにそれ?」状態。鉛筆の削りカスは床に平気で落とす、食べたものはその辺に散らかしている。そんな中で、今週も先生たちと協力しながら算数の授業を進めました。

P2210828
「6~10の数」の授業。1年B。ジョカスタ先生。実は、赤い丸のカードを忘れたので、青いのを絵の上に貼って数を確認しています。これ全部作ったんですよ。左側の模造紙の絵も描きました。子どもたちには具体物が必要です。1年Aは1人用の机なんですが、1年Bは2人用の机です。
P2230017
1~10の数字の勉強が終わって、最後にパーティー会場にあるおやつや飲み物の数を絵グラフにしているところです。できあがったグラフで、どれが一番多いか、少ないか、同じ数のものはあるのかなど、比べます。こっちは1年A。
P2230022
先生が数のカードを見せて、生徒が机の上にその数だけ赤いマルのカードを並べます。この子が持っている封筒は折り紙で作りました。中にカードが10枚入っています。とても丁寧に扱ってくれて、ほぼ全員がちゃんと並べることができました。教材・教具づくりには時間がかかりますが、一度作れば何回も使えます。コロンビアで手に入るものを使って作っています。こんな教具を使ってこんなふうにやるんだというのを見てもらうのが狙いです。板書にも気を使っています。少しずつ少しずつです。
P2210835
レストランでの昼食風景。ちゃんとした給食でしょ?

明日から息子と9日間の旅行です。アルメニア→ボゴタ→ラ・パス(ボリビア)→ウユニ。ウユニ塩湖を堪能して、ラ・パス経由でペルーのクスコ・マチュピチュへ。その後リマに移動してナスカ見学。3月6日に戻る予定です。ラ・パスもウユニも3600mくらいあります。アルメニアが約1700mで、ボゴタが約2700m。1000mずつ高くなります。少しずつ体を慣らしていかないと高山病になってしまいます。マチュピチュでは、30年前に行けなかったワイナピチュ登山も予定しています。あそこはボゴタより標高が低いのでそんなに大変ではないはずです。でも細心の注意が必要。次回の報告をお楽しみに!
あ、そうそう。黄熱病第3報です。結局、イエローカード提示義務は完全になくなって、提示を推奨するとのことです。流行している地域に行く方は接種しておく方が安全ですよ! 息子は、ポルトガルのリスボンからボゴタを経由してボリビアに入るので、全く問題ありません。





 先週の騒ぎ(黄熱病予防接種)の続編です。

 ボリビア政府のことだから入国までにどう変わるかわからないので、ボリビアのニュースや保健省のホームページなどを注意して見ていました。東側の低湿地辺りから、あるいはそちらから来る人については予防接種をしてほしいようなことを言っていましたが、特に大きな変化はありません。そうしているうちに16日になって在ボリビア日本大使館がホームページに続報を掲載しました。移行期間が先週は3月2日までと言っていたのが、期限そのものがなくなってしまいました。ここ1週間の騒ぎはいったい何だったんでしょうね。でも、ボリビアのことだからいつ状況が変わるかわかりません。落ち着いたとはいえ黄熱病が流行していることは間違いないので、中南米旅行を考えている人は予防接種をしておくことをお勧めします。ボリビア国民の9割近くがこの予防接種を受けているようですよ。

 このまま終わるのは寂しいので、今週の活動状況を少し。
 月曜日から木曜日まで、Concuelo校の1年生に授業をしました。「同じ」「少ない」「多い」から始まって、「1~5」までの数字の勉強です。これ、簡単に見えますが、準備がけっこう大変だったんですよ。まず数字の「1」ですが、日本だとただの縦線ですが、こちらではアルファベットの大文字の「I(アイ)」と区別するために必ず上部左側に斜め線をつけます。「2」と「3」は同じ。「4」は上部がくっついているものと開いているものが混在しているので、どちらを教えるか、あちこちに相談して、開いている形を教えることになりました。「5」は書き順が問題。上の一棒を先に書くか後に書くか。先生たちもバラバラなんです。おまけに一棒を右から書いてそのまま一筆書きに最後まで書いてしまう人までいて、大混乱。最終的に、上の一棒を最後に書く日本の書き順が採用されました。びっくりでしょ?
 それを子どもたちに教えるんですが、それがまたひどい。幼稚園で習っているはずなんですが、鏡文字はもちろん、下から上に書く子がけっこういるんですよ。先生たちは出来上がったノートを見るだけなので、どんなふうに書いているか気にしていません。仕方ないので、一人ひとり手を取って書き順の指導をしました。もちろんちゃんと書ける子もたくさんいるので時間内には終わりました。
 
 金曜日は午前中に来週の授業の準備(時間がかかるんです)。午後は県庁で算数プロジェクト関係者他が一堂に会して、今後の方針や予算について約2時間協議しました。来週には教育省の方々がやってきます。私たちの教科書は国に認めてもらえるんでしょうか。とっても大きな話になっています。

 今週は「6~10」の数字。子どもたちはどこに行っても同じですね。ここの子どもたちは人懐っこくて、みんな抱き着いてきます。スキンシップはここの習慣なんです。

P2160799
教材、教具すべて手作りです。この学校では1時限は60分授業です。算数は2時間続きなんです。集中力を持続させるのは大変。おまけに先週後半から、お弁当持ちで午後授業も始まりました。1年生の子どもたちにとってかなりの負担です。毎日朝7時から始まるんですよ。
P2160803
数字を書く練習をしているところ。配布したプリントをノートに貼り付けて、そこに書いています。
P2140792
向かい側の幼稚園の教室前で子どもたちがおやつを食べているところ。先生たちは朝食と呼んでいます。
10時からの30分間の休憩時にパック牛乳(ヨーグルトの時もある)と小さなパンやビスケット、果物が配られます。費用は政府が出します。朝が早いのでこのおやつは大事。
 

 コーヒーブレイクのことをスペイン語辞書で調べると「Descanso para tomar café」とあります。「コーヒーを飲むための休憩」という意味ですが、あまり聞きませんね。

 ということで、ちょっとブレイク。というのは、息子が大学の卒業旅行の最後に(もう日本を発っています)ヨーロッパからボゴタに移動してきて、2月26日から3月6日まで、ボリビアのウユニとペルーのクスコ・マチュピチュとナスカをメインに一緒に観光する予定にしているのですが、ここ数日ひと騒動あったので、その顛末をお話ししましょう。

 事の始まりは9日夕方。いつもお世話になっているボゴタの旅行社の方から「黄熱病リスク国からボリビア入国する時にイエローカードの提示が義務化された」というお知らせの電話が入りました。ドッカーン! ボゴタ経由だとカードが必要? 急に何てこと! 私は長期滞在者だから、黄熱病に破傷風、狂犬病にA型肝炎、B型肝炎の予防接種を1日最大4本も受けてきたのでOKですが、息子は接種していません。これまでは、ウユニは接種なしでOKだったんですが…旅行社の話では、2月2日にボリビア保健省が上記の通達を出し、それを航空各社に連絡したのが6日。そこからさらに旅行社に伝わったのが9日で、8日の時点でボリビア税関は大混乱だったそうです。航空会社組合と当局とで猶予期間15~30日を設けられないか協議中とのこと。これは大変。息子はすでに日本を発っていてその時モスクワにいました。黄熱病は効果を発するまで10日かかるので、16日までには接種しておかなければなりません。外務省のホームページには、各国の予防接種が受けられる医療機関を紹介しています。ワルシャワでなら受けられそうだとやりとりしていたら、10日夜に第2報が届きました。「15日猶予が決まったが、2月26日はギリギリアウト」とのこと。あらら。とにかく早く予約して受けるよう指示していると、息子から「ギリギリOKかも」と言ってきました。在ボリビア日本国大使館のホームページに「2月10日から15営業日は同措置の移行期間とし、イエローカードを提示しなくても入国が可能となりました(移行期間は3月2日まで)」とありました。ボリビアの旅行社にも問い合わせて、OKということが確認できました。よかった~~~! 保健省の通達は2月1日だったみたいだし、伝言ゲームで微妙な違いが生じて、ボーダーのところで右往左往させられました。ブラジルからの渡航者が発症したため、こんなことになったみたいです。でも急すぎますよね。
P2120779
これが黄熱病接種証明書イエローカード。3月からはボリビア入国にはこのカードの提示が求められます。効果が出るには10日必要なので、ご注意を! 
 
 せっかくなので、コアラのファッションショーを。
P2120781
ボゴタのウサケンにあるお人形のお店で買いました。
P2120783
カルタヘナの着せ替え人形のお店で買いました。ポンチョです。アンデスの人っぽいでしょ? バックはうちのアパートのベランダからの景色。
P2120780
普段はこれです。バックはうちのダイニング。

タイトルがタイトルなので、飲み物のご紹介を。
P2120785
左がキンディオのコーヒー。コロンビアコーヒーは柔らかくて飲みやすいです。右は赤砂糖の粉、パネラ。普通は塊で売っているのですが、この方が扱いやすいので私はこっち。お湯や冷たい水で溶かして飲みます。それをアグアデパネラと呼びます。直訳すると「砂糖水」。お湯に溶かしてもこの名前です。甘くておいしい。帰国した後、こんな味が懐かしく思えるんでしょうね。

 この1週間は、ConsueloというLibre校の付属小学校で授業観察とお手伝い、4年生への授業に教具づくり、JICAコロンビア支所との仕事のやり取りと、いつもの仕事+α+今回の騒動で、バタバタでした。Consueloの先生方は、自分たちでかなりしっかり授業の準備をして臨むので見ていて楽しいし、気づいたことを言うとどんどん取り込んでくれるので嬉しいですね。
P2090773
4年生Aの授業。この日は4年Aに2時間、4年Bに2時間やった上で、5時間目にまた4年A。この後バトンタッチして少し先に進めました。「角度」の単元です。この子たちは、去年何回か授業に入ったこともあり、休み時間になると抱き着いてきます。
明日からは1年生の授業に入る予定です。

 忘れるところでした。先週日曜日に、第51回NFLスーパーボールの試合がありました。ペイトリオッツ対ファルコンズ。21対3の時点でファルコンズに持っていかれるかと思っていたら、ペイトリオッツが挽回してきて、第4クウォーター残り57秒で同点(28点)に追いつき、史上初めて延長戦に入り、結局ペイトリオッツがタッチダウン決めて優勝しました。ビックリです。こちらでは午後1時から生中継で会場と周辺の放映が始まり、午後6時半過ぎに試合が始まって10時まで放送されました。アメフトはこの国ではマイナーなスポーツですが、一部で熱狂的なファンがいるらしく、たくさんあるスポーツチャンネルのどこかで必ず放送されるので楽しいです。日本と違って時差がほとんどないですからね。昼間から夜のゴールデンタイムに見ることができます。先々週チャンピオンシップでパッカーズが負けたからどうでもいいかと思っていたけど、やっぱりスーパーボールは特別でした。これから半年、楽しみがなくなって悲しい!!!

 1月30日月曜日に、複式担任対象研修をして、今回の一連の教員研修が終了しました。キンディオ県内にはEscuela nueba(新しい学校)と呼ばれる、1人の先生が全学年を1つの教室で教えている小さな小さな学校が25校あるそうです。幼稚園から5年生まで、最高25人の子どもたちを教えている先生も参加していました。1時間の間に各学年10分ずつしか割けないとなると、いったいどのように進めているのか、想像を絶します。発達障害の児童もいるとのこと。たった1人で、どうやって指導しているのか、その苦労を思うと、頭が下がります。日本では2学年が精いっぱい。学年間を「移動」して指導の時間を「ずらし」たりして進めるやり方を少しだけ説明しましたが、その程度のことはここでは実際役に立ちません。先週1週間で行った研修の内容を凝縮して、役に立ちそうなことをなんでも持って帰っていただこうと、主催者側の私たちも参加者も協力してみんなで学び合いました。

P1270691


 火曜日からは、Libre校の小学校部(Libre校の道路を隔てた隣にあります)に活動を移しています。しばらくはここで、1年生の授業の協力と4・5年の授業の観察とアドバイスを行う予定です。1年生の担任2名は経験豊富な方々ですが、両クラスとも37名もの児童がいて、もう大変なんてものじゃありません。この状況で新しい方法での授業を進めていくにはかなりのバックアップが必要です。出来上がった指導書が実際に使えるのかどうか…綿密に事前準備をしておかなければなりません。実際に始めるのは来週から。どうなりますことやら。数字の書き順や形が日本とは若干違うものもあるので、注意が必要です。上下、前後、左右なんていうのも算数の指導内容なんですよ。

 P2030742
5年生Bの授業。パソコンの教科書ファイルをプロジェクターで映し出して見せながら授業を進めています。まだ教科書の印刷ができていないので、それぞれのノートに問題を写さなければなりません。それにかなり時間がとられてしまいます。

P2030753
4年生Aの事業風景。先生は右の方にいて、写っていません。ごめんなさい。4年生Aは、去年3年生の時に助っ人に入ったクラスで、2か月しか経っていないのになんだかとっても落ち着いて、大人になった感じがします。ここでは4年生以上になると中学生と同じように、教科担任制になるため、ちょっとお兄さんお姉さん感覚なのかな? みんなかわいいですよ。制服の洗濯が間に合わない場合は私服で来ても何も言われません。掛け算がおぼつかない子がけっこういます。う~ん、ですね。ここでは高学年になっても、掛け算ができない、当然割り算もできない、という子が少なからずいますね。本当は、すぐに新指導書の内容に入りたかったのですが、掛け算九九の復習を終えてからということで、金曜日にやっと4年生の内容に入りました。来週からが本番です。
P2020738
外の公園から小学校を見たところ。環境はとってもいいですね。

明日は、第51回NFLスーパーボール。ハーフタイム・ショーはレディ・ガガ。見逃せません!




↑このページのトップヘ