「自分の家族が、同性と結婚することを想像したことがある人は、どれくらいいるだろうか?」
今年3月にNHKがBSで放送したドラマ「弟の夫」を観ながら、ふとそう思った。
そして、「もし想像したとしたら、どういう思いや考えがよぎるのだろう」と。
ドラマ「弟の夫」は、ゲイの漫画家、田亀源五郎さんが描いた同名の漫画が原作となっている。『月刊アクション』で、2014年から2017年に連載。単行本(4巻)にもなっており、第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞している。
物語の主人公は、妻と離婚し、娘(夏菜)を一人で育てている弥一。彼の双子の弟、涼二は、カナダへ渡り、マイクと結婚したものの、交通事故で亡くなってしまった。
その後、「弟の夫」であるマイクが弥一の元を訪れ、涼二も育ったその家に滞在することになる。その間の、彼らの関係性の変化、周囲の人々の反応が描かれる。
BSで放送されると、感動を語る言葉がTwitterでも多く書き込まれた。今日、地上波で3話連続で放送がされることになったことからも、反応の大きさがうかがえる。
このドラマは、今後、日本での同性婚や同性愛に対する価値観を変える影響力をもったものとして語られることになるかもしれない。
ときどき、「日本は同性愛に寛容な国だ」という言葉が聞かれる。確かに日本には、同性間の性行為を罰する法律はない。
また、実は、同性婚に関する賛否について、2015年の調査で、賛成の人が反対を上回り半数を超える結果も出ている。
しかし、その一方、同じ調査で、子どものいる人を対象に、自分の子どもが「同性愛者」だった場合にどう思うか尋ねた質問では、次のような結果が出ている。
この結果は、社会的な制度としては賛成でも、自分の子の問題として考えたときに否定感を拭いされない人も多いことを示している。
私は、講演で、「自分の子や孫、あるいはきょうだいが、同性のパートナーを結婚相手やパートナーとして紹介してきたら、どう感じますか?」と問いかけることがある。
その問いが、その人の持つ同性愛に対するイメージや感覚がもっとも露わになるからだ。
しかし、この問いは、単なる思考実験的な問いではない。これから実際に、少しずつではあるだろうが、そういうケースが増えていくのは間違いないからだ。