サイドハッスルのすゝめ — お金よりもやりがいを求める副業
こんにちは、TAKUYAです。フリーランスやりながらMarkdownノートアプリを一人で作っていたら徐々に売上が伸びて、それだけで食べていけそうな位になりました。毎日楽しい。
僕はこのプロジェクトを副業ではなく「サイドハッスル(Side Hustle)」と呼んでいます(もうほとんど本業ですが)。サイドハッスルとは、ただ単に時間を切り売りするものではなく、やりがいを主眼においたお金の稼ぎ方を指します。主に英語圏でよく使われています:
A side hustle is a passion-driven product or service that you create and sell without leaving your day job. The benefits are multiple. It gives you the opportunity to grow through experience in an area of passion. You add to your income. And — most importantly — it tends to boost happiness because you spend a little bit of time everyday creating something you love. — Cathy Hutchison
つまり「いくら稼ぐか」よりも「いかに稼ぐか」を重視するのがサイドハッスルの特徴です。好きなことに没頭したり自身の成長から幸福感を得ることを主な目的としています。「Hustle=はりきる」という言葉からもニュアンスは伝わると思います。
日本ではこの言葉を普段見かけません。そこで本稿では、サイドハッスルをやる意義やメリットについて持論を交えつつ書きたいと思います。
概要
- 副業はお金のイメージが強い
- 自分の作ったモノが売れると最高に楽しい
- 「評価」という報酬を稼ぐ
- 世はサイドハッスル全盛期
- こだわりが自分の未来を作る
副業はお金のイメージが強い
昨今、副業が前向きに受け入れられ、一部では推奨すらされる空気になりつつあります。例えば国が「働き方改革」の一環で副業を容認したり、大手企業も副業を認めたりしています。ベンチャー企業でもちらほら見かけますね。
しかしながら、ではいざ個人開発をする際にそれを副業と呼ぶと、少し違和感が無いでしょうか — — アクセサリー制作でも、音楽活動でも。ネットでの「副業」と聞いてぱっと思い浮かぶのはアフィリエイトや仮想通貨、FX、せどり、アンケートなどです。これらの業界には「1ヶ月で○○万円稼ぎました」という眉唾な話がよく出回っているように、お金が第一というイメージが強いです。
「いやいやこれはお金のためだけじゃないんだ、これが好きなんだ」とか、「お金は、まぁうまく行けば欲しいな」「将来的にこれで食いたいが、今はそのための準備」「どちらかというと勉強のため」みたいな心の叫びが聞こえたら、副業の代わりにサイドハッスルと言ってみてください。違和感が和らぎます。それがこの言葉の生まれた理由です。
つまりサイドハッスルとは副業のブランディングです。
自分の作ったモノが売れると最高に楽しい
僕は冒頭のノートアプリで稼いでいることをブログやツイッターで強調しています。これは単にお金を強調したいのではありません。LINEやSnapchatのような爆発的ヒットを狙わなくても、個人開発で充分食っていけるという可能性を示したいからです。
単にお金を稼ぐだけなら受託開発の方がよっぽど確実だし楽です。過去にも案件の見積もり方のコツについて書きました。確かに沢山稼いだ時は満足感があります。でも僕は、依頼されたものを作っている時間より自分が欲しいものを作っている時間の方が段違いに幸せを感じるのです。この「幸せ=ハッスル」をずっと味わいたい。これが僕のサイドハッスルを始めたきっかけです。
やってみて実感したのは、自分のアプリで10万円稼ぐ喜びは受託で10万円稼ぐよりも何倍も大きいという事です。自分が作ったアプリが売れるのは最高に幸せです。副業とサイドハッスルの本質的な違いはそこにあるのでしょう。
「評価」という報酬を稼ぐ
サイドハッスルにおける報酬はお金だけではありません。社会的評価も得られます。
会社の中で働いていると、あなたの業績は外から見れば全て会社のものです。あなたがいくら「これ俺がやったんだ」「私が作ったんだ」と言っても境界が曖昧だったり、目に見えない部分だったり、原理的に証明するのが難しかったりします。どこまで行ってもあなたは「○×社員の人」止まりです。
個人で何か作れば、その業績はすべてあなたのものになります。僕の場合は「Inkdropの人」とか「個人開発の人」と覚えられるでしょう。プロジェクトそのものが名刺代わりになるのです。これは醍醐味と言っても過言ではありません。
すごいモノや面白いモノを作れば、人が集まります。フォロワーが増えて、影響力が高まります。情報発信力が高まれば、何か企画した時に人を集めやすくなります。社内でも認められるかもしれませんし、より魅力的な転職先が見つかる可能性も高まります。
このように活動が直接お金に結びつかなくとも、社会的評価が得られれば将来的にキャリアアップに繋がったり報酬が上がることがあります。例えば僕は音楽アプリを作って13万人を集めた結果、大手の取引先と一緒に仕事をさせてもらえました。だから僕は、無料アプリの開発も立派なサイドハッスルだと思います。
別に派手な実績でなくても、例えばアプリを完成させて世に出したというだけでも立派な実績です。なぜなら世の中の99%は口だけか、途中で諦めた人たちだからです。あなたは有言実行できる人間だということを証明できます — — 千の言葉を並べなくても、アプリを見せるだけで。
世はサイドハッスル全盛期
好きなことからお金を得る仕組みは既にいろいろ出てきていて、昔より凄くやりやすい時代になりました。
例えばnoteなら記事に価格をつけることが出来たり、有料マガジンを発行できます。オープンソースならOpen Collectiveという寄付支援サービスがあります。Stripeなら厳しいカード会社の審査を受けなくてもすぐにアプリやウェブサイトに決済の仕組みを付けられます。元手となるお金を集める必要があるなら、キャンプファイヤーやpolcaなどのクラウドファンディングが便利です。最近だとpixivFANBOXという月額課金制ファンコミュニティの運営支援サービスが出ました。
これらのサービスが隆盛を見せている背景には、やはり副業ニーズの高まりがあるからでしょう。これらを利用しない手はありません。どのサービスも導入条件が緩く、法人化している必要が無いので個人でも気軽に始められます。自分にあった仕組みを見つけて試してみてはいかがでしょうか。
こだわりが自分の未来を作る
「好きなことで飯が食える」のはほんの一握り、というのが現代の通説です。一方で、「好きじゃなくても飯が食える」仕事の多くは将来コンピューターやロボットに置き換えられると言われています。その時、自動化された仕事に勝てる要素があるとすれば、それは「人間のこだわり」なのではないでしょうか。なぜなら、アルゴリズムは自律的な問題発見が苦手だからです。
サイドハッスルは、そんな未来で生き残るための準備運動になります。好きなことを見つけて、それを突き詰めて、収益化する。このプロセスが「こだわり」を生業とするためのスキルを醸成します。
また、サイドハッスルを通じてバイネーム(By Name)の社会的評価を貯めておくと後々有利になります。なぜなら実績は腐らないし、経済の影響を受けにくいからです。これからの日本は人口減少で経済的にも更に厳しくなると言われています。経済が悪化するとお金の価値が下がりますが、社会的評価は変わりません。フォロワーも減りません。実績はものによっては海外でも有効でしょう。だから社会的評価は今後重要度が増すと予想されます。
もちろん、サイドハッスルはいいことばかりではありません。多大な時間とエネルギーが必要ですし、時には挫折や敗北を味わうこともあります。答えのない、厳しい世界だと思います。でも好きなことに打ち込める事そのものが幸せなんですから、結果で自分を左右するのはナンセンスです。人生は学校のテストのような減点方式のゲームではありません。サイドハッスルで、自分のやりがいと情熱を未来に繋げましょう。
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