「中国では人命はとても安い、臓器のほうが高値だ」元医師の告白
トフティ氏は、臓器狩りに関与した医師として、背景にある善悪判断をゆがませる共産党の宣伝と洗脳について語った。「共産党政権下で生まれ育ったら、人々は中国共産党、共産主義だけが素晴らしい、他は悪くて『人民の敵』だと刷り込まれてしまう。つまり、国のために敵を除外することは(愛国心を煽動されて)国のために良いことだと信じ込ませる」
当時は若手医師だったトフティ氏。「ワイルドなことをしてみないか」と上司に唆され、処刑場に行き、まだ息のある受刑者から臓器を摘出した。当時、罪悪感など全くなかった。「悪者を懲らしめている」という自負、プライドさえあったほどだという。
中国の臓器移植問題を調べるカナダ人権弁護士デービッド・マタス氏によると、臓器狩りの犠牲者はウイグル人、チベット人、地下教会信者、政治犯、法輪功学習者で、中国国内の収監人数では最も多く、非暴力を理念とし、健康的な生活を送る法輪功学習者と推測している。
1999年7月、当時の江沢民・中国国家主席により法輪功弾圧政策がスタートした。北京に14年在住していたジャーナリズム研究者クレイブ・アンスレイ氏は論文『完全なるメディア支配』のなかで、「共産党は、法輪功に対するすさまじいヘイトキャンペーンを展開して、法輪功は非人間だとの憎悪を人々に植え付けた」と解説する。
大紀元は社説「中国共産党についての九つの論評」(略称・九評)を通じて、民族、信仰、階級など、あらゆるグループで闘争を煽動して「革命の火種」とするのは共産主義の手法と論じてきた。
トフティ氏も、新疆ウイグル自治区で民族間の緊迫感があるのは、中国政府のプロパガンダ(闘争の煽動)が原因であるとみている。現地では、政府や共産党当局に対して反発はあったものの、ウイグル人も漢民族の人も共に暮らすことができていたという。
アンスレイ氏によると「中国市民は100%死刑制度を支持している」とし、無神論の共産党政権下の中国では、罪人に対して無慈悲な対処が適当とのムードが流れる。
党のプロパガンダにより「非人間」のレッテルを貼られた、平和的な思想を持つ法輪功学習者数千万人の命は、共産党にとって「移植手術用の生きた臓器」に映っているのかもしれない。
(文・佐渡道世)