ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

見えない道場本舗 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

.      HP(Mail有)  twitter  togetterまとめ twilog 社説を一覧で 読書メーター

2006-01-16 時間ないので本格的に書くのは夕方

「ゲームは脳内を汚染する」・・・批判本が毎日新聞で高評価Add Star

| 「ゲームは脳内を汚染する」・・・批判本が毎日新聞で高評価を含むブックマーク 「ゲームは脳内を汚染する」・・・批判本が毎日新聞で高評価のブックマークコメント

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/dokusho/archive/news/2006/01/15/20060115ddm015070135000c.html

今週の本棚:鹿島茂・評 『脳内汚染』=岡田尊司・著

 (文藝春秋・1680円)

 ◇精神科医が説くゲームネットという麻薬

 書評ルール違反は覚悟の上で、本書が大ベストセラーになって一人でも多くの人に読まれることを強く願いたい。なぜなら、本書は、日本が直面している社会現象、すなわち、キレやすい子供不登校、学級崩壊、引きこもり家庭内暴力、突発的殺人動物虐待、大人の幼児化、ロリコンなど反社会的変態性欲者の増大、オタクニートなどあらゆるネガティヴな現象を作りだした犯人が誰であるかをかなりの精度で突き止めたと信じるからだ。


 では、医療少年院勤務の精神科医という苛酷な現実の最前線に立つ著者が、犯人と名指ししたのは誰なのか? 結論から先に言おう、コンピューターゲームインターネット(とりわけネットゲーム)である。


 では、ゲームネットのどこが広範な異常を引き起こしてしまったのか?

 まず内容の問題がある。これは、小説漫画映画テレビなどの既存大衆メディアすべてに言えることだが、享受者の自己愛を肥大化させるものほど人気を得るという法則がある。自分が全能の主人公になった気分を味わえるファンタジーが愛されてきた所以である。幼児のときから人間の心に残っている「良い存在」と「悪い存在」に二分する思考法をファンタジーが快く刺激してくれるからだ。

 だが、これらのメディアは受動的なものであったがゆえに、受容者が現実とファンタジーを簡単に取り違えることはなかったし、人類の心にインプットされた暴力回避装置のピンが抜かれることもなかった。ところが、仮想現実への「参加」を可能にしたゲームは、受容者にこの敷居をいとも簡単に越えさせてしまったのである

 「攻撃を繰り出すためには、ボタンを押し続けなければならない。それは引き金を引く行為と同じである。(中略)破壊行為は、満足と報酬によってどんどん強化されることになる。暴力は、悪いことどころか、『楽しみ』になっていく。(中略)子どもや未熟な大人が、こうした暴力シーンになじむことは、『悪い敵』を攻撃してもいいという考えを強化し、それは、とりもなおさず、思い通りにならない存在は攻撃すべしという態度や考え方を強めてしまうのである」

 しかし、著者がむしろ強く危惧するのは、じつは、ゲームのこうした内容そのものではない。一番恐ろしいのは、ゲームをしていると脳内ドーパミンが大量に放出されて快感が引き起こされ、麻薬と同じような効果がもたらされることだ。つまり、やめたくてもやめられなくなるのだ。「毎日長時間にわたってゲームをすることは、麻薬覚醒剤などへの依存ギャンブル依存と変わらない依存を生むのである」

 とはいえ、ゲームが初歩的なとき、依存は深刻ではなかった。ところが近年、ゲームが飛躍的に進化して、現実とほとんど変わらなくなると、危険は増大する。

 「ずっと飽きが来ないほどに、エキサイティングなものとなったゲームは、逆に極めて危険なものとなってしまったのである。なぜなら、ずっと飽きが来ないほどにわくわくし興奮するとき、脳で起きていることは、麻薬的な薬物を使用したときや、ギャンブルに熱中しているときと基本的に同じだからである。子どもLSDマリファナクリスマスプレゼントとして贈る親はいないだろう。だが、多くの親たちは、その危険性について正しく知らされずに、愛するわが子に、同じくらいか、それ以上に危険かもしれない麻薬的な作用を持つ『映像ドラッグ』をプレゼントしていたのかもしれない」


 だから、ゲームも時間を決めてやればいいという議論は、麻薬でも少量ならかまわないという議論と同じく、成り立たないのである。しかも、戦慄すべきことに、ゲーム漬けになった脳は薬物中毒の脳と同じように破壊され、元には戻らなくなるという


 「依存や耽溺が起きるとき、脳のレベルで広く共通してみられることは、前頭前野の機能が低下していくことである。コカインマリファナ覚醒剤などの慢性使用は、前頭前野機能の低下を起こし、一層理性的判断を失わせ、危険に対して無頓着になっていく。(中略)その結果、『魂の抜け殻』になっていくのである」


 また、長時間のゲーム耽溺で失われる時間の損失も深刻だ。家族や友人との接触の中で学習される人生体験がまったく積まれないことになるからだ。


 「子どもの二度とない貴重な時間が、奪われていくのだ。(中略)だが、中毒状態になりかけの子どもは、もうそのことしか頭になく、いくら保護者が注意し言い聞かせても、自分で行動をコントロールすることは非常に困難なのである」


 一時大騒ぎされたノストラダムスの大予言の解釈に地球崩壊は日本発だというのがあったが、アンゴルモアの大王というのがゲームだったとすれば、予言はまさに当たっていたことになる。子ども部屋からゲームネットを取り除かない限り、亡国は必至である

毎日新聞 2006年1月15日 東京朝刊

毎日新聞書評欄ではトップ扱い、評者もかなり知名度が高い鹿島茂氏である。

今後の反響も大きかろう。


さて、私見を申しますが、私は「ゲーム脳」騒ぎのとき、批判側の論理のほうに説得力を感じた一人だ。しかし、「ゲーム脳内麻薬を、ドーパミンをうんたらかんたら」という議論を、最初から排除する必要はないし、してはいけない。

なんだかんだでテレビゲーム歴史は浅い。個人的にはシューティングゲームはたいそうヘタだが、世代的にも偏見はないので、ゲーム社会的認知はあったほうが望ましい。

しかし、だからといってそれに反するような医学的、科学的知見を圧殺してはならない。

時に「医学的合理性」「科学的知見」は、社会の理想形、望ましいと思っていた社会の在り方に相反する結論を出す。それは織り込めねばいけないリスクなのだ。


だから、この本をめぐる「科学的論争」の盛り上がりに期待したい。

逆に言うと、科学的論争以外の何ものをも不要だ。このまえ、とくに「ゲーム脳」を批判した論者は、この本の主張と以前とどこが同じで、どこが違うかを分析してほしい。

実際のところ鹿島氏は、そういう任に堪えられる人ではあるまい。

HAGANEHAGANE 2006/01/16 09:36 【ゲーム中毒】ネズミの脳の快楽を感じる部位に電極を刺しスイッチを押すとそこに電流が流れる装置を作る。するとネズミは寝食を忘れてスイッチを押し続け最期には餓死してしまう。 今回のお話を読んでこのエピソード(たしか池谷裕二の本に書いてあったと思います)を連想しました。

HAGANEHAGANE 2006/01/16 10:05 しかし問題は(A)ビデオゲームにそうした中毒性がある事。(B)ソレが「日本が直面している ~ 中略 ~ を作りだした犯人」である事。の関連性ですよね。 (A)はある程度定量的な計測が可能ですが(B)はそうは行かないのでどうしても主観に左右されやすい。

ド北郎ド北郎 2006/01/16 11:13 シンプルな善悪判断。悪と決めた側への攻撃性。この評者自身が、まさにゲーム脳の典型ですな。

高倉仮面高倉仮面 2006/01/16 16:15 ずっと飽きが来ないほどに、エキサイティングなものとなったゲーム<そうなかなぁ。少なくとも最近の市販のゲームはすぐ飽きがくる気がするんだけどなぁ。ネットゲームはやらないから知らんけど。

高倉仮面高倉仮面 2006/01/16 16:18 ゲームをしていると脳内にドーパミンが大量に放出されて快感が引き起こされ<好きな事をしてりゃ、大体こんな感じになるんじゃないのかな?

guestroomguestroom 2006/01/16 21:32 日本は世界でも飛び抜けてゲームの需要が多い国と思われていますが、すでに過去の幻想です。
http://www.scei.co.jp/corporate/release/pdf/050603.pdf
http://www.quiter.jp/news/36/001400.html
日本に限定して社会の様々な事象や変化の原因をゲームに求めるのは、その前提が破綻しているので議論にならんのです。

guestroomguestroom 2006/01/16 21:37 ゲーム脳の場合も、結局はその根拠や前提のあまりの特殊性,曖昧性,恣意性を指摘されまくったということで、科学的論争にもなっていません。

unuboreyaunuboreya 2006/01/16 23:48 ゲームと脳の働きについて科学的に調べるならば、各ジャンルを別のものとしてひとつひとつ調査していかなきゃならないはずなのに、ゲーム脳にしても何にしてもゲームを批判する人間の誰一人としてゲームに触った気配もないわけで。科学的知見なんて出るはずがないと思います。「ずっと飽きが来ないほどに、エキサイティングなもの」だと思い込んでいるなら一度手にとってみればいいのにね。
学問的知見から考えれば、現実とファンタジーの区別云々なんかよりもゲーム内競争の過熱による日常生活の崩壊の方を指摘すべきだし、指摘しているはずなんです。依存して長時間プレイしなければ勝利できない構造のゲーム(ネットゲームや一部のアーケードゲーム)に問題があって、一日のプレイ時間に制限をかけるべきだと僕は思っていますが、偏見でとまってしまってそういう議論をしようとする気配もない。論理的思考がないということは悲しいことです。

高倉仮面高倉仮面 2006/01/17 00:12 依存して長時間プレイしなければ勝利できない構造のゲームに問題があって<まあ、売上を出す姿勢としては正しいんですけどね。またこのテのゲーム、アーケードだったりすると一ゲームあたりの単価がやたらと高かったりするから始末が悪い。個人的には「クレイジータクシー」あたりが「100円でいつまでも遊べるゲーム」の最後かなぁ…と思っております。ま、クレタクはーゲーム200円ですが(笑)。

(仮)(仮) 2006/01/17 01:41 ファミコン以前のテレビゲーム黎明期からのゲーム好きなのですが、このての話は確かに
ゲーム以外のものの検証をせず、ゲームに全てを押し付けるだけのために成されてると感じます。
あと最近のゲームがおもしろいかどうかについては、ゲーム自体のデキ以外に、自分自身の変化、
これもかなり大きいのではないかと思います。食べ物の好みが変わっていくようなもので。
とりあえず、ゲーム側が大きく反論しなければ。とりあえずCESAあたりがそのへん頑張ってほしい。
もの凄い売上げになってるNintendoDSを牽引してる川島隆太教授の脳トレとか
一応プラスイメージのものもあるんで。

(仮)(仮) 2006/01/17 01:42 クレタクはプレイのしすぎで、ドリキャスのアナログボタンをぶっ壊してしまいました。

kitkit 2006/01/17 04:04 >キレやすい子供ほか
gryphonさんならもう読んでるかもしれませんが、「反社会学講座」というHPと書籍があります。大半はメディアリテラシーの話です。
http://mazzan.at.infoseek.co.jp/lesson2.html

gryphongryphon 2006/01/17 04:34 それ、紹介しようと思ってPCのそばに積んでいる本のひとつ。
久々の、ニセ外国人(らしいよ)による本だしね。

pon-taropon-taro 2006/01/17 09:44 PONでございます。なんとびっくり、PCなしではてなに登録してしまいました。そのうち日記もやりますのでドゾヨロシク。
ゲーム脳の話。
むつかしいコトはよくわからんが、「バカになるからゲームしちゃダメ!」と言われたらやだなぁ。「バカって言うほうがバカなんだぞー!」と抵抗します。

高倉仮面高倉仮面 2006/01/17 11:13 ゲーム自体のデキ以外に、自分自身の変化、これもかなり大きいのではないかと思います。食べ物の好みが変わっていくようなもので。<多分(仮)さんならわかると思いますが、「自分自身の変化以上」に「ゲームビジネスの変化」が大きいように思うんですがねぇ。昔はゲーマーと呼ばれる少数の人種を相手に作っていれば良かったゲームがビジネスの拡大に合わせて大衆向けに作らなきゃいけなくなった時、殆どのゲーム、とりわけRPGは「とっつきやすさ」や「見た目の派手さや美しさ」「わかりやすさ」が優先されるようになって、反対にゲームの奥や底は浅くなっていった気がするんですよ。最近は、大衆はゲームに飽き始めた為(携帯電話の出現とかが要因のような気がしています)、肥大化しすぎたゲーム会社はガタガタになってきていますが(特に CAPCOM かな?)。ま、ゲームっていうのは最近なら「Mrドリラー」程度のモノで充分な気がするんですがねぇ(スイマセン、僕はアーケードゲームが基準です。家庭用についてはこの範疇ではない、と思いますが)。

kitkit 2006/01/17 12:23 やはり既読でしたか>反社会学
紹介お待ちしてます。

guestroomguestroom 2006/01/17 23:15 ついでに、仮にゲームが脳に何らかの影響を与えるとして。
テトリスと大戦略と弟切草のそれぞれの場合で、脳を使い方は違うってのは誰でも容易に想像できると思います。ゲームに熱中している時の脳の働きをジャンル別に整理できたら、悪影響が排除できる以上によい方向でのゲーム利用を導けるはずなんですよ。すでにゲームをリハビリなどで医療にいかそうとの動きもあります。
ここであえて問題提起するならば、幼児期から小学校低学年の脳の発育途中におけるゲームによる刺激の是非(ジャンルにもよりますが)は、謙虚に考えないといけないかなと思います。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20060116/p2