米国にはアル・カポネ、日本にはやくざ、香港には三合会、イタリアにはマフィアがいる。韓国にも金泰村(キム・テチョン)、チョ・ヤンウンといった有名どころは存在するが、「アル・カポネ」に比べれば、「スクーターに乗った配送員」レベルにすぎない。
政治愛好家の必読書『南山の部長たち』を書いた先輩記者は「思いもよらぬ清掃効果」と説明する。「『国家代表クラス』の暴力団組職は、長期政権下で育つ。韓国は、後任の大統領が前任者を一人残らず牢屋(ろうや)に送るため、『暴力団と手を取り合う政権』が育ちにくい」といった主張だ。
常に内視鏡で大腸を検査し、「ポリープ」を切り捨てるため、「がん」になる確率は低下するといった説明だ。ただし、あまりにも引っかき回すため、腸に穴が開く「穿孔(せんこう)」も、しばしば見受けられる。「5年周期の大腸検査」の効果は、「暗い世界」でより大きく発揮される。
もちろん「政治暴力団」も結成されるわけがない。自由党時代の「政治やくざ」を撲滅するため、朴正煕(パク・チョンヒ)少将率いる「国家再建最高会議」は1961年6月、「暴力行為などの処罰に関する法律」を制定することで、処罰を可能とする強力な根拠をまとめた。
盧泰愚(ノ・テウ)政権の「犯罪との戦争」も同じような脈略だった。組職を構成するだけで死刑まで宣告することができるという過剰処罰に対し、違憲ではないかとする見方は後を絶たなかった。しかし、法は実行されるため、恐ろしいのだ。暴力団は、実定法の重さや、「政権は賞味期限の短い商品」といった理由から、縄張りを安々と拡大することができなかった。